1月4日朝〜将志〜
「将志、母さん達もうしばらくいるから。」
「ええっ!!」
単身赴任の父親について行ってた母親がそう言った。親父の正月休みは5日までだった。6日からは仕事がはじめるからといって、5日の朝にはまた赴任先へと戻る予定だったのに。さっさと帰れよとは言えなかった。まあ言える立場でもないけど...
「いてどうすんだよ?」
別にすることないだろ?掃除もそこそこしてるし洗濯だって...普段は槇乃さんにしてもらってるけどさ、溜めてないだろ?料理もほとんど槇乃さんちでやってるから台所も汚れてないはず...年末に掃除した時だって、こっちはやるとこないくらいだったんだからな。それでも二人で二軒分やりましたよ?
「あんた全然ご飯とか作ってないでしょ?もうしばらくいてご飯作ってあげようかと思ってね。まぁ、あたしったら久々に母親してるわぁ〜」
浸るなよ...ったく万年新婚さんやってる夫婦の片割れが何を仰る?19で俺を産んだこの方、広野操38歳、まだまだ現役の女性なさってます。息子の俺から見たって所帯くささは少なくって、普段着の組み合わせなんかも完璧だったりする。俺の槇乃さんも密かに憧れてるとかなんか言ってたりするんだ。
「いらないよ、俺今日からバイト行くから。夕方から夜中まで、そっちでまかない出るからって俺が作るんだけどね。」
「えーっ、将志作れるの?お母さんそれ食べたい!」
「な、何言い出してるんだよ。まかないは店の中で従業員が食べるんだよ?」
「将志色々作れるようになったんでしょう?いいなぁ、ちょっとぐらい食べさせてくれたっていいじゃないのぉ、ケチ!」
一人息子と母親なんてこんなもんなのかと思うくらいうちは母親が俺にフレンドリーだ。
だけども過保護じゃない。自分のことは自分でやる、それが基本な我が家。
けれども単身赴任に行ってた親父の部屋で妙なもん見つけたらしく、問い詰めたら部下の女性が強引に家の中のことをしてくれるというのだ。まぁ親父も23で父親になっただけあってただいま41になったばっかしのちょっと渋めのエリートサラリーマンだ。奥様の教育がよろしいのか自分のことはそこそこできるし、見た目もそこそこイイ線いってるし、息子の俺から見てもまあいい男の部類だ。親父もおふくろもどちらも一目で恋に落ちたらしい。おまけに二人は仲がいい。結婚19年目にして未だにらぶらぶカップルだったりする。その分ケンカもすごいけどね。
まあほっておいたら危ないって、息子置いて旦那の赴任先に飛んで行っちゃった訳。
けれどもこっちは受験も終わって別段構ってもらう事なにもないんですけど?
それに...
帰ってもらわないと、槇乃さんとゆっくり逢えない=えっち出来ないじゃないか!!
これが最大の理由だったりする。
今日も本当はバイトは入ってない。槇乃さんが今日帰って来るんだよ!!2日の朝に見送って3日シテないんだからね!!
あぁ、セックスって癖になるんだろうか?あれだけヤッてりゃ持つと思ったんだけど...毎夜思い出される槇乃さんの官能的な表情、体の感触...ったく毎晩抜かなきゃやってられないでしょ?けれども本物に勝るものはなく...やりたい盛りの自分の体が恨めしい。早く槇乃さんに逢いてーよぉ!
「そうだ、槇ちゃんはいつ帰ってくるの?今は新しい実家の方にいってるんでしょう?聞いてない、将志。」
ぎくっとする。お隣同士だから知っててもおかしくないよな?
「たしか、今日か明日ぐらいかな?」
「ふ〜ん、そう...じゃあ、今日はもう帰らないわ。貞明さんには先に帰ってもらって、あたしは月曜日の朝にでも新幹線で帰るわね。」
「もったいね〜親父車だろ?一緒に帰れよ!」
「やだよ〜槇ちゃんと飲むのよ〜あー久しぶり♪」
お袋はこの辺でも数少なかった女の子の槇乃が大のお気に入りだったんだよなぁ...槇乃さんのファッションセンスに人格にお袋が作用したのは間違いない事実だろう。槇乃さんちのおばさんはどっちかっていうとほんわかおばさんってタイプ。むかしっから頼りになるおばちゃんだったんだよな。できちゃった結婚で料理もまともに出来ないうちのお袋に一から叩き込んだんだ、うちのお袋の料理の先生といってもおかしくない。
おふくろにつかまったらさすがに槇乃さんでもおいそれと帰して貰えないだろう。俺もバイトって嘘ついちゃった限り外に出なきゃなんないし...もちろんそっと槇乃さんちに忍び込むつもり♪合鍵もってるしね〜
メール『槇乃さん、お袋まだ帰らないらしいから、俺バイトだと言って4時からそっちに行くからね〜まっててねv』送信っと...
『ピンポーン』
「あら、槇ちゃん!!」
なんでだ?今メール送っただろ?見てないよな...
「こ、こんんちわ...じゃなかったあけましておめでとうございます。操さん、まだいらっしゃったんですね?母がこれ持って行けって言うもんだから...よかったらまた実家の方にも来てくださいって、母が...」
「うわぁ、うれしい!ほら、将志みなさい、お煮しめよ〜」
「まだいらっしゃるかどうか判らなかったんで、将志くんの分ぐらいしかないかも知れませんけど...」
おふくろのやつ、さっそくひとつつまんでる...
「あぁ、佳代子さんの味だわ!!ね、槇ちゃんこれ肴に飲まない?旦那はもうすぐ帰るんだけど、あたしだけもう少しいようかなって思って〜不肖の息子も心配だけど、槇ちゃんとも久しぶりだしね!はい、あがって!!」
強引に引きずられてくる槇乃さん...片目つぶってごめんなさいか...
どうしよう?バイト休んだことにしてこのままいるか、それともそっと隣の部屋で待つか...それでもって友達んとこに泊まることにして、明日ゆっくり帰ればいいじゃん?今晩ぐらいだもんなぁ...槇乃さん次の日が休みじゃないと回数させてくれないもん。
「槇ちゃん、すっごくきれいになったね〜お肌なんかもつるつる!いい恋してるのねぇ〜嬉しいわ!槇ちゃんはあたしの娘同様ですもん!」
はい、間違いなくこのままだったらあなたの娘になります。いちおう俺だってそのつもり...あんまり長く待たせる気はないけど最低4年は待ってもらわないとしょうがないけど...
「み、操さんまだ飲んでないのにテンション高いですね...」
「あら、朝から飲んでるわよ?だって車運転するのは貞明さんだから...それに、もう帰らないから、もっと飲んじゃうのよ〜〜」
親父、あなたの妻はあんなこと言ってますよ?だから今日の新年の挨拶連れて行けといったんだぁ...なのに皆奥さん置いてくるっていってるとかいって...その方達はそのあと麻雀するからでしょう?あなたは今日中に帰るんでしょう?あっちでも新年のあいさつ回りに行くんでしょう?
「将志〜バイトまで時間あるんでしょう?それまで一緒にいなさいよぉ!
ったくこっちの気も知らないで...予定じゃ母さん達が帰った後、槇乃さんとあーんなことやこーんなことしながら、だらだらと過ごしたかったのに...
やば...思い出してたら反応してしまった。目の前には槇乃さん。きっと俺の顔を見に真っ先にきてくれたんだよな?まだ母さんたちがいてもいいから来てくれたんだよな?それなのに...
飲み会は始まった。
挨拶回りから帰ってきた父親は楽しく飲んでる奥様を横目にため息をついてすごすごと出張先へ戻っていった。おい、もうちょっと強引に連れて帰れよ!小さな声で『寂しいなぁ』なんていわずにさ...
「おれバイト休むよ...」
「あら?いいのよぉ、いってらっしゃいよ〜女同士で飲むんだから♪」
「行けっていうなら未成年に飲ませるなよ!アルコール入れたまま仕事できないでしょう?」
「そう?あたしは息子も可愛いけど、娘も可愛いのよ〜〜、あぁ、女の子産んどけばよかったぁ。今更ながらに悔やまれるわぁ。ね、槇ちゃん、お嫁になんか行かずにうちの子にならない?あたし怖いのよねぇ、将志が今時の若い女の子連れてきて彼女だぁとか結婚するぅなんて言い出したらどうしようって。今の子が喋ってる言葉わかんないんだもん。」
何言い出すんだ?おふくろは...それって、もしかして??気がついてるのか?
「操さん、別にそんな子ばっかりじゃないですよ。」
フォローするなよ、槇乃さん。
「でもね、この馬鹿がどんな子連れてくるかわからないじゃない?ダーリンに似て顔だけはいいんだけど、性格まで似ちゃってるから...」
「性格...?まー、将志くんは操さん似ですよ。」
ちらっと俺のほうを見る。あ、そんな目で見て...さては正月から色々とやったことまだ根に持ってるのか?そういう自分こそ性格はおふくろに似てきてるぞ、あれ...?
「せめて槇ちゃんとこに妹がいればもらえたのにねぇ。槇ちゃんとうちの将志じゃねえ...つりあい取れなくって頼みも出来ないわぁ。」
おいおい、やめてくれ、ドキッとするだろ?
「操さん、あたしと将志くんじゃあんまりにもかわいそうですよ。5つも上なんですから...」
自分で落とすなよ、槇乃さん!俺は槇乃さんがいいんだからなっ!!
「違うのよぉ、槇ちゃんはあたしの好みのタイプに育ってくれて嬉しいんだけど、将志なんてまだ高校生でしょ?もうちょっと大きかったら槇ちゃん貰うのに〜〜しばらく見ない間に綺麗になっちゃって、今度の彼氏は随分といいんじゃない?槇ちゃんいい顔になってる。お肌もぷりぷりだし〜はぁ、残念。」
それ、俺なんだけど?
槇乃さんもちょっと困った顔してるみたいだ。くそ、堂々と言ってしまいたいよ!
「おれ、槇乃さんがいいっていうんなら、槇乃さんがいいなぁ。」
「「えっ!?」」
二人揃ってこっちを見る。槇乃さん、目つき怖い...
「俺も槇乃さんがうちに来てくれたらいいなぁ。今時の女の子よりも昔っから知ってる槇乃さんがいいよ。おふくろ、槇乃さんがいいって言ったらもらっていい??」
「え?まぁなに言ってるの!冗談よぉ〜そりゃあ嬉しいけどねぇ。あんたが相手にされるはずないでしょ?もう馬鹿なこといってるんなら、部屋に行きなさいよ、女同士で飲むんだからぁ。」
「はいはい、槇乃さん最後まで付き合ってたらきりないよ?じゃあね!」
くそ、そんな言い方ないだろ?ちゃんと相手にもされてるし、俺の頭ん中の計画では4年大学で頑張って、ちゃんといいとこ就職したらプロポーズするんだよ。いまプロポーズしたって全然現実味がないから黙ってるけどさ。
もう俺の人生槇乃さんなしじゃいられないんだよ。
おふくろも喜べよな?槇乃さん貰うんだから。あんたの義理の娘になるんだぜ、待望の。
しっしと払われたのでとりあえず部屋に戻った。
「まーくん、操さん酔って寝ちゃったんだけど...」
「リビングでか?しょうがないな、部屋に連れて行こう。」
俺の部屋に顔を出した槇乃さんもかなり酔ってたみたいだった。
お袋たちの布団は昨日使ってるからもう一度押し入れからだして敷いて寝かせる。まあ部屋着だから着替えさせなくてもいいかな?
「槇乃さんも酔ったの?」
部屋に寝かせてリビングの片付けをし始める。槇乃さんはふらついてるから座っててという。
「だって、操さんあんな話するから...一気に酔いが回っちゃったのよ。」
「あんなって?」
「あたしをその、うちの子にってやつ...まーくんまであんなこと言い出すから驚いたわよ。もう冗談でも止めてよね、心臓に悪いわ。」
「冗談じゃないよ?いつか、って思ってる。いけないか?」
「ま...だめだよ、あんなこといってたら...ばれちゃうよ。」
「俺はかまわない。」
「まーくんっ、んっ!」
三日ぶりのキス。ホントは帰って来てすぐそうしたかった。三日逢えないだけで中毒症状。やりたい盛りだって言うの抜いても槇乃さんはもう俺の生活の一部なんだよ?離せない、離れられない...それはお互い判ってるはずだよな?
『だめだよ、操さんに気づかれちゃう...』
『じゃあ俺の部屋に行く?』
『もっとダメでしょう?』
『じゃあこれはどうするの?』
俺は自分の下半身を指差す。
『今日だけ我慢して?それとも今からうち来る?』
「行く!」
なんだ、槇乃さんも気持ち同じだったんだ。俺は友達のうちに泊まりに行くと置き書きして二人でうちを出た。そしてすぐ隣に...
「でも明日の朝あたり、いきなり槇乃さんちに来ないかなぁ、おふくろ...」
「手は打っとくわ。」
「え?」
「いいからまかしといて。」
そういって槇乃さんは電話を1本。
「でも、あたしちょっと酔っちゃってるんだけど?」
「いいですよ、槇乃さんがして欲しいこと全部してあげますよ。最初は何がいいの?お風呂?飲み物?それとも...俺?」
「う〜ん、全部!だめかなぁ?」
「いや、いいよ。やっぱ酔ってる槇乃さん可愛い。最初もそんな感じだったんだぜ?覚えてないだろうけど。」
「そ、そうなの?」
「そうだよ、可愛くて、年上に思えないくらい甘えんぼになるんだ。槇乃さんが酔うとさ...だから、外では酔うなよな?飲むときは必ず迎えに行くから、お持ち帰りされちゃいけないんだぞ?」
「ふふ、今日はわたしがまーくんお持ち帰りしちゃったvv」
「よおし、じゃあ大サービスで風呂で洗ったげるよ。全身くまなく洗ってあげるよ。シャンプーもね、してあげる。そのあと一緒に冷たいもの飲もうか?そのあとは二人抱き合って一緒に寝よう...槇乃さんが眠いんなら何にもしないし...今日はもう抱きしめられないって思ってたから、こうしていられるだけでも嬉しいんだ。」
「ダメ...あたしが我慢できないでしょう?」
うう、その上目遣い、可愛いぜ!一気に下半身が熱くなる
「槇乃、わかった。そしたらお風呂でスペシャルコースな。声は出しちゃだめだよ、いい?」
「まーくんもね。」
そこからはしっかりとヤラさせていただきました。
俺は飲んでないし、元気だし、溜まってるしで、槇乃さんを思いっきり攻めさせてもらった。槇乃さんちはマットが引いてあるからその上で攻めたら槇乃さんあっけなくいっちゃって、寒いからお風呂の中でゆっくり繋がった。お湯が邪魔で思いっきり動けないからゆっくりしてたけど、3日ぶりだったんで思わず暴発。もう少しで危なかった...急いで抜いたら槇乃さんにいっぱいかかっちゃって...お風呂場でよかったよ。
声が出せない分、辛そうにしてる彼女が可愛くてつい力が入ってしまって...そのあと槇乃さんのお布団で槇乃さんが寝ちゃうまで、ね。まあ、明日も休みでよかった。酔ってるのをいいことに結構無茶させたから...槇乃さん完全に落ちちゃった。
そして朝まで、ぐったりとした素肌の槇乃さんを抱き寄せて眠った。
翌朝俺の携帯にメールが入った。
『佳代子さんとこいって来るからね〜何泊かしてから直接ダーリンのとこへ帰るから、将志はごゆっくり♪』
「これ、昨日の電話?」
「そ、かあさんに操さん帰ってきてる、でもおじさま先に帰っちゃってるわよって言ったの。」
なるほど!そういう訳か...
でもさ、このメールの内容、微妙にばれてるような気がするのは...だぶん、俺の気のせい??
今回趣向を変えて?将志サイドでした。えっちが足りないかもですが、あいつにやらせると若い分際限ないですし、めちゃくちゃやりそうですから...(えっちシーンだけで2話ぐらいいきそう〜(爆)
年明けからこんな二人ですが暖かく見守ってやってください。
(今回はめずらしく推敲してたりするのだ...)