40000hitキリリク作品〜ちぇりーさんへ〜

ずっと好きだから...

〜お昼休み〜

〜遼哉〜
「遼哉、明日から朝練ないでしょう?試験前だし。だから、お弁当作ってくるよ、遼哉の分も!」
俺の部屋に寄ってきてた紗弓が突然そんなことを言い出した。
「どした?急に...」
「だって、遼哉いつもお昼は学食かパンでしょう?昨日も夕飯ピザで済ませたっていったじゃない。体によくないって思って。」
にこって笑うのが妙に可愛い。だめだ、むくむくと...今日はなしってさっき約束させられたんだよなぁ。でなかったら帰るって言われたし...。
「明日のお昼楽しみにしててね♪」
そっか、俺のために作ってくれるのか...そう考えたらなんだか急にくすぐったい気持になってきた。紗弓とはもう何度もえっちしてるのに、いつだってこうして向き合ってると関係なくドキドキしたりする。まるで手を繋いだことのないカップルのように。それって紗弓がいつも恥ずかしがるからだ。それにつられて俺までが...
手が出せないと思うと余計に出したくなる。男心って複雑だ...。
「紗弓、一緒にたべよっか?お昼。」
「えっ?でも...」
2人が付き合ってることはそんなにまだ知られてはない。紗弓が色々と言われたらかわいそうとも思うし、休み時間やお昼休みごとにいちゃいちゃしてるどっかのカップルみたいにみんなの注目を浴びるのが2人とも嫌だったからだ。ある意味俺も彼女も目立ってしまう。
「でないと今、紗弓を食べちゃうけどいい?」
指で唇をすっとなぞる。
「もうっ、だめ!キスだけで済まなくなるのは誰?今日は早く帰って明日のお弁当の下ごしらえするんだから...」
「それで今日はだめっていったの?」
「そうよ?」
何でそんなこと聞くのって、きょとんと不思議そうな顔して小首をかしげる。
「うっ、紗弓、可愛すぎる!!」
思わず抱きしめてキスしてしまう。こんなに可愛い顔されてブレーキなんてきくもんか。
「やっ!だめ、ん!!」
何度も押し付けるだけのキスを繰り返して、紗弓の身体から力が抜けはじめると舌を絡めてゆっくり味わう。キス位許してもらわないと、こっちがおかしくなってしまう。
「もう、だめって言ったのに!遼哉の馬鹿!」
「そんなに怒るなよ、学校でされるよりいいだろ?」
「学校?どして...」
「お昼休みずっと一緒にいて、手出す自信あるから。」
「そんな自信持たなくていい!だったら明日一緒に食べないっ」
ぷっと膨れたそんな顔も可愛い。だめだここまで毒が回ってる。
「いつだって一番食べたいのは紗弓なんだけどなぁ。」
真っ赤になって怒り出す紗弓を抱きしめて、黙らせる。ごめん止まらない...一回で終わらせるから許して、明日はプラトニックにするし、ね。
「あ、あん、だめぇ...ん」
返事は彼女の身体に聞いたけど嫌って言わなかったので...。


〜紗弓〜
「紗弓?どこいくの?」
お昼休みにお弁当を持ってこっそり教室を出ようとした時に芳恵ちゃんに捕まった。
「え、お昼だけど...」
「そのもう一つのお弁当箱はなにかな?」
芳恵ちゃん、その笑い方いやらしいよ。
「えっと...その、遼哉の分なの。」
「ははぁ、それで今日は一緒に食べれないって言ったんだね〜。まあ許してやっかなぁ。でもいいな、あたしは料理も出来ないし、今村くんは毎日お弁当だもんなぁ。ま、ゆっくり食べてくれば?」
そのあと小さな声で『食べられないように気をつけなよね〜』といった。
もう、お弁当しか食べさせませんてば!昨日しっかり食べられちゃったし...だから遼哉のお母さんがいないときに家に寄るの嫌なのよ。でも時々いるからって嘘つくし...。
「あ、遼哉...」
遼哉の教室を覗くとすっごく嬉しそうな顔して出てくる。相変わらずネクタイはちゃんと結んでないなぁ。
「おほ、珍しい〜、紗弓ちゃんじゃん。」
「なんだよ辰也、邪魔すんなよな?」
暮林くんがあたし達に気がついて寄ってくる。
「ほへ?遼哉、なんで睨むんだよぉ。ん?ま、まさか、まさかだよね!紗弓ちゃん、嘘だといってっ!!」
こういうことに感のいい暮林君は気付いたみたい。あたしたちは前にあんなことがあったのでそんなにオープンに付き合ってますってしてない。帰り遅いから目立ってないし、休み時間も直接あったりはしてなかった。たいていメールしちゃうもん。
でも隠してるって訳じゃないんだよ。
「辰也、やたらと言いふらすなよな。」
「遼哉ぁ、お前よくも紗弓ちゃんを!食ったのか?!遊びじゃ許せねえぞ!他の高校にいった奴らに言われてんだからな、紗弓ちゃんを守れって!だからずっと遼哉の情報流して近づかないようにしてたのに〜」
なに?それ...どういうこと?
「知ってたよ、お前が紗弓に余計なこと吹き込んでるのは。遊びじゃねえの、他の女はみんな手切ったから。他の高校って門田や佐々木だろ?諦めろって言っといてくれな、紗弓は俺のだから。」
にこにこ笑ってるけど??遼哉何言ってるのよ?門田、佐々木くんて中学の野球部の子達でしょ?小学校から一緒だった。
「あぁあ、とうとうくっついちまったのかぁ。お前ら小学校の時はすっげぇ仲良かったもんな。ったく、紗弓ちゃん、こんなのの何処がいいの?顔がいいのは認めるけどさぁ...」
「辰也、殴られたいか?」
「とんでもない〜〜!どおりでここんとこお前の噂聞かなかったはずだよ。はぁ、紗弓ちゃん、遼哉が浮気したら言えよな、門田達連れて成敗しに行ってやるから。」
「あ、ありがと...」
肩を落として去っていく暮林くん。いつものごとく自己完結。
「遼哉?ね、どういうことなの?」
「ま、気にするな、門田や佐々木らが密かにお前を守る会を作ってたんだと。小学校まで仲良かったのに、急に中学で話さなくなっただろ?同じ高校に行ったし、俺の評判があまりにも悪かったから、俺を紗弓に近づけるなっていってたらしい。ふざけてやがる。」
そんなの全然知らなかったけど?
「とにかく早く行こうぜ、時間なくなるし、回りの視線やばい。」
見回すとニヤニヤ笑ってる男の子や睨む視線の女の子...
「もうこれで逃げられないな、紗弓?」
そんなに嬉しいの?みんなに知られるの...。遼哉に手を引かれて体育館の裏側へと連れてかれた。
「ここさ、日当たりよくって、結構だれも来ないんだ。」
周り芝生で居心地のいいとこだった。校舎の一番端っこだから今まで来たことなかったな。でも、ここでいままで彼女達といたのかな?あの、春香さんと出てきたのもここからだったし...一気に暗くなる。
お弁当を広げて遼哉にもお箸を渡す。
「うわぁ、うまそうだな。和兄も言ってたよ、紗弓料理うまいって!」
朝から頑張ったもん、野菜中心で、肉じゃがや酢の物入れてみたりして、和食にしたんだから、手間もかかったんだよ。全部遼哉に喜んで欲しくって。なのに...
『来栖君ってえっちうまいんだって!』
『聞いたよ、3年の先輩が学校でえっちして骨抜きになっちゃったって!』
『そうそう足腰立たなくなって、やった場所から動けなくなったのに来栖君ほったらかして授業に戻ったって。』
『すごぉい!』
前に聞いた噂話が頭をよぎる。今じゃそれが本当だってこと判ってしまった。遼哉のえっちって凄いもん。前にラブホで足腰立たなくなるまでされちゃったもん...。
ここでしたんだろうか...あれ?わたしって、えっちなこと平気で考えるようになっちゃったの?やだな、ちょっとやだなぁ。
「紗弓、すっげうまいよ、これ。もうフライもんとか飽きちゃったしな、この酢の物とかもあっさりしていいよなぁ。あれ、どうした?」
「なんでもないよ、よかった喜んでもらって...」
「そんな顔して言うなよ。」
持ってたものを置くと立ち上がってあたしに近づくとぐいって引き寄せられる。
「ここは、いやなの!」
「なんで?どうしたの紗弓?」
「だって、ここで今まであの人たちとしてたんでしょう?あたし、やだ!」
唖然とした顔をした遼哉がいきなり噴出した。
「お前、何突然言い出すかと思ったら...馬鹿だなぁ。」
「だ、だって...」
「ここではしたことねぇよ。ここにいる俺の邪魔はするなって言ってたからな。そりゃ学校でしたことないなんて言わないよ。やりたい盛りだったし、簡単にさせてくれたから...でも今は違うだろ?」
「でも...時々あたしとやりたいだけなのかなって思うよ?」
「そんなはずないだろ?紗弓だからやりたくなるの!言っとくけど今まで俺から誘ったことないし、一度に何回もしたいなんて思ったのは紗弓だけだよ?実際自分でも時々おかしいって思うけどさ、こんなに抱きたいってばっかり思うのは俺おかしいんじゃないかなって...けど、それだけ紗弓がいいんだからな!お前にも責任あるんだぞ?」
「あたしに?責任って、そんなぁ...」
「ったく、食事中にそんなこと言い出して、勃っちまっただろ?」
「嘘!」
「嘘じゃないよ、言っただろ?手出す自信ならあるって。」
ぐいって引っ張られて膝の上に乗せられてしまった。
手出ししないって言った手前か、なにもしてこずにじっと見つめてくる。けれど、にって笑うと側にあったデザートの白桃(カンズメ)の入ったパックを持ち上げた。
「これを口うつしで食べさせてくれたら許してやるよ。」
にんまり笑ってそれを見せる。
「やだよ、そんなの、出来ない!」
ぷるぷると首を振る。昨日の今日だもん、絶対に危ないから。
「じゃあ俺からしてやる。」
そういって桃を一切れ頬張るとキスされた。こじ開けられた唇に桃の柔らかな果肉が移される瞬間にじゅぶっと潰れて、口の端から首筋にたれ落ちていく。それを追うように遼哉の舌が舐め捕っていく。すっごくいやらしいしぐさに体が溶けていく。
「あ、ん...やぁ...ふうんっ」
甘く掠れたあたしの声が遼哉の耳に届く。こんな声を出せば遼哉がもっとその気になるのはもう判ってる。なのに出てしまう、彼に聞かせるために...
そう、判ってたの...彼だけじゃない、あたしももうおかしくなってるんだって。近づきたくて、近づけば触れたくて、触れれば一つになりたくなる。切なくておかしくなってしまうけれど遼哉とスルそれはヤメラレナイ甘い行為。
「これはキスじゃないからな、食べさせただけだからな...俺だってたまには約束守りますって。」
そういって一つ一つ口元に運んで繰り返す。空になるまで...。
全部を食べさせられた時分にはもうからだからは力も抜けている。身体も熱く火照っていた。
「我慢するの辛いんだけどなぁ、あと10分でチャイム鳴るよ?」
「えっ!うそぉ、まだあたし食べてないよ!遼哉も早くたべちゃって!!」
遼哉の膝から飛び降りて、凄い勢いで片付けなら遼哉にも食べろと押し付ける。
「早く食べてよぉ!遅れちゃうじゃないのぉ。」
「紗弓...」
呆れる遼哉を無視して急ぐ。授業に遅れたらなんていわれるか...遼哉と一緒だったら尚更だから。
駆け足で教室に戻る時もなんだかにやにやしちゃって、遼哉おかしいよ?
「紗弓、ご馳走さん。うまかったから又作ってくれよな。」
あたしは真っ赤になって俯く。作ってもいいけど2人で食べるのって危険だもの...。


〜遼哉〜
紗弓の作った弁当は確かにうまかった。けれどもやっぱり一番おいしいかったのは紗弓のくちびるだったな。次は全部いただきたいなぁ。
次の作ってくれればだけれど...。ま、その時は昼抜き覚悟だよな。

2003.7.29修正

             

普通のシーンは紗弓視点なのですが、やはりえっちぃシーンは遼哉視点かなと、最初と最後だけ遼哉です。
こんな楽しいシーンをリクしてくださったちぇりーさんに感謝です。