300000キリリク〜夢月さんへ〜

ずっと、離れない...

〜番外編 1〜

〜紗弓〜
あたしも油断してたんだと思う。
平日だったけど、夕方からあたしは出かけた。遼哉がバイトしてたから、その後二人でご飯でもってことになって、ひとりで電車に乗っていた。そのバイトだって半分あたしに責任あるんだもん。この間の旅行の帰りのホテル代やタクシー代、全部彼に払わせちゃったから...それだってあたしに原因があるんだもの。あたしが昔の彼女に嫉妬して泣き止まなかったから、しかたなくいつものラブホに入っっちゃって...今考えると恥ずかしくってしょうがないんだけれども、自分から遼哉に迫ってしまったの...あたしが遼哉を抱きたいって思ったのは事実だけど、その後...結果、足腰立たなくって帰れなくなっちゃって...タクシーで家まで送ってもらったの。その帰りのタクシー代とホテル代で遼哉のバイト代は底を突いてしまった。ただでさえ受験勉強のためバイトセーブしてたから。仕方なく遼哉は週に何日か午後3時から夕方7時までと土日は朝から夕方5時までバイトを続けていたの。今日はちょっと早めに行って買い物しようと思ってたんだけど、ちょうど通勤ラッシュの時間帯で、乗り換えた電車は満員だった。
(やだ..)
最初は何かが当たってる程度にしか思わなかった。
ドア横の壁に向かって立ってたら電車の揺れに合わせて腰の辺りに何かが触れては離れる感じ。平日に逢おうって思うほど、遼哉とは逢ってなかったから、ちょっとおしゃれしてきてたカットソーと膝丈の薄い生地のスカート、それを通り越してきそうなソレは、だんだんと変な風に動きはじめた。
後ろにはやたらと体の大きな男の人がいた。その人の大きさではいくらああたしでもすっぽりと隠れてしまって、壁際に押し付けられてるような形のあたしは見えないんじゃないだろうか?
(も、もしかして...痴漢?)
そんなのされたことないからわからなかった。その手がスカートの中に潜り込んで来てはじめてわかった。
(や、やだよ!)
とっさに後ろ向いて声を出そうとした瞬間、どんと壁際に押されて口元を大きな手でふさがれた。
(うぐぅ、嘘...痴漢が口塞ぐなんて聞いたことないよっ!)
動けなくって、声も出せなくなったあたしの下着の上をその男の手が無遠慮に這いまわり始める。
(いやいや!触らないで...!)
遼哉にしか触らせたことのない場所に向かってくる男の指、頭の上からは荒い息が聞こえる。腰を引こうとするとその男の固いものが当たって余計に嫌悪感でいっぱいになる。
『騒ぐなよ、犯されたいか?』
耳元にぞくりとするほど欲望に満ちた男の声。体が知らず知らず震えだす...まさか、こんなとこで?
その瞬間下着の隙間から男の指が侵入してくる。膝をあわせて拒否してもその間に足を割り込ませてくる。その慣れた動作にますます恐怖を感じた。こっちのドアが開くのはあたしが降りる駅までない。あと2駅もこのままなんて...震える手で必死に男の腕を押しのける。これでも鍛えてる方だもん、負けてたまるか、こんな時こそ...
(やだ、絶対やだぁ!もう、気持ち悪いよぉ...遼哉ぁ...助けて!遼哉じゃなきゃやだよぉ...)
腕がだるくなるほど突っ張って逃げていた。あいてがこんな大男じゃなかったら絶対に負けないのに...悔しかった。あたしの大事なところに指が伸びてくる...もうだめ!!
その時電車が揺れた。
(いまだ!)
その勢いであたしは男の身体を押しのけるとドアに向かう。アナウンスが聞こえてドアが開くのを待つ。
(早く、早く開いて!!)
ドアが開くのと、そいつの手があたしの腕を掠めるのとはほぼ同時だった。あたしは泣きたい気持ちを抑えて駆け出した。後からあの男が追いかけてくるようで怖かった。もつれそうになる足で必死に遼哉のいる店を目指して、走った。
〜遼哉〜
「遼哉ぁ...」
紗弓が泣きながら俺のバイト先に飛び込んできた。夕方の秋物のシックな色合いにチェンジしかけた店頭ディスプレイの中で、明るいパステルカラーのカットソーと、柔らかい生地の膝丈のスカートが鮮やかだった。
俺はある事情で受験生なのに夏休みのバイトを続けていた。理由はまあ、なんだ、先日のえっち旅行の帰りにもう一回ホテルに入ってシタら、紗弓の奴が足腰立たなくなっちゃって...そのため歩けない彼女を家までタクシーで送ったらバイト代すっからかんってわけ。それでもう一回頼み込んでケンさんとこで週に何回か自分の都合のいい日だけバイトさせてもらってる。平日は夕方だけで、週末は朝から夕方までだ。今日は週末で夕方上がりだから紗弓と晩飯の約束をしてたんだ。
「紗弓どうしたんだ?」
俺の顔を見るなりドンと胸の中に飛び込んでくる。俺としては可愛くって抱きしめて離したくなくなるんだけど、それよりも何があったか気になる。
「ふえっ、えっ、電車で...」
「なんだ、電車がどうかしたのか?」
ち、痴漢された...
聞き取れないほど小さな声を搾り出して紗弓が言った。その後の言葉は嗚咽に消されていく。
「なっ、紗弓...?」
体が震えていた。前にも随分怖い目に遭ってる。紗弓の身体は脅えきっていた。
「ケンさん、すみません、バックに入っていいですか?」
「ああ、店はいいから...紗弓ちゃんについててやれよ。」
俺が入ったために舞さんが製作してくるといってアパートに戻ってるからケンさん一人じゃ大変なはずなのに...
「紗弓、こっちにおいで...」
俺は紗弓をバックヤードに仕切られたカーテンの奥の部屋へ連れて行った。
「遼哉ぁ...うえっ、怖かったの...ひっく、に、逃げられなくて....」
可愛そうにこんなに震えて...泣きじゃくる彼女をしっかりと抱きしめて背中と頭を何度も撫でた。しだいに落ち着いてくる彼女とは反対に、俺の心はかき乱されていた。
(俺の紗弓になんて真似しやがる!)
沸々とその痴漢野郎に怒りがこみ上げてくる。あいつらみたいに(ずっと一緒参照)ぶちのめせれば気も晴れるだろうけど、電車の中じゃ特定できないじゃないか!
「紗弓...触られたの?怖かったろ...大丈夫か?」
「ま、満員で...壁に向かって立ってたら、すごく大きな男の人に、...押されたのかと思ったら...押さえつけられて...いきなり触られたの...」
「...どこを?」
思わず唾を飲み込む。まさか...
「ス、スカートの中...いきなり手が入ってきて...ううっ...下着の中に...」
「なんだって!!」
下着の中だって?くそうっ!俺の紗弓に!!そこは俺だけが触れてイイトコなんだぞ!
「ひ、必死で逃げたんだけど...腰を引いたら嫌なものが当たるし...ひっく、声上げようとしたら、うっ、口押さえられて...手でのけようとしたけど、す、すごい力で、もう少しで...うぐっ...」
紗弓は黙ってしまった。
「紗弓?もう少しでって...」
「お、怒らない?...ひっく」
「怒ってどうするんだ?嫌な思いしたのは紗弓だろ?」
もう少しで入ってくるとこだったの...ふぇ...」
消え入るような声でそう言ったあと俺の胸で泣きじゃくった。
入るとこだったって?そこまで触られたってことか?まさか紗弓がそんなこと許すはずも喜んでるはずもない。それはわかってる。けれど俺が触れる時の彼女は、最近は期待してくれてるのかって思うほど、柔らかく濡れたそこを俺に示してくれている。ちょっとでも触れるとびくりと身体を反応させて、俺が指を埋め込む頃には熱くぬかるんでいる。それは俺だけにだよな?そこを他の男が、そう考えただけで怒りとともに欲望の熱情もたぎってくる。
「紗弓...」
悔しくてやりきれなくてきつく彼女を抱きしめた。
「怖かったの...遼哉にされるとすごく気持ちがいいのに...気持ち悪くって、気分が悪くなりそうだったの...ドアが開いた隙に逃げ出したんだけど、こ、怖くって...気持ち悪くって...早く遼哉に逢いたかったの...」
紗弓はぎゅうっと俺にしがみ付いてくる。体全体で助けてと叫んでいるようだった。
「な...消毒してやろうか?」
「え...?」
「触られたとこ全部俺が消毒してやるよ。」
そう言うと紗弓を休憩用のテーブルの上に座らせてキスした。
「んんっ...」
一瞬びっくりはしたものの紗弓は逃げはしなかった。
「ダメだよ...遼哉、こんなとこで...」
声だけが俺を非難するけれども、瞳はまだ不安に揺れている。俺のこの感情は紛れもなく嫉妬だけれども、紗弓は確かに繋がりを求めている。それはその目が物語ってるじゃないか?やめられないね、ここから先も...
「嫌なんだろ?触られたとこ全部...俺の感触を思い出すまで、嫌な感触を忘れるまで俺がシテやる...。」
「ひゃぁっん、うぐっ...」
『馬鹿、声出しちゃダメだ。店に聞こえちまうだろ?』
唇を塞いで胸を揉みしだく。
パステルカラーのカットソーの裾から片手を差し込んで下着の上から胸のラインをなぞった。
『あぁん、遼哉ぁ...』
紗弓を抱きしめてその胸の膨らみを堪能しながら次第にその手を下へと落としていく。外腿をゆっくりと撫で回すとそれだけで紗弓の体が柔らかく反応した。下着の上から紗弓の敏感な部分に指を這わせる。それだけでは消毒にはならない。ここに直接触れた奴がいるんだ!下着の横から指を滑り込ませて彼女の襞にそってゆっくり指で擦りあげた。なんどもそれを繰り返して、その蜜で濡れた指でそっと芽の部分を掠める。
『こうされたのか?それとも、こうか?』
「ひぁっ、ああ...っ!」
おもわず紗弓の口から高い声が漏れる。
『ダメだよ、これ噛んで、声だしちゃいけない。消毒して欲しいだろ?』
素直に出された俺のハンカチを噛み締めた。いったんテーブルから降ろして紗弓の下着を引き下ろして片足だけ抜いてしまう。もう一度テーブルに載せて、俺は身体をテーブルの高さに沈めて彼女のすらりと伸びた脚の間に顔を差し込む。嫌がるどころか差し出すようにその秘めたる場所を開いて俺を待っている。
『ふっ...うぐぅ...』
俺の舌がそこをゆっくりと舐め回す。知らない男の感触を消したくっていつもよりゆっくり、何度も舌を往復させる。
『ふっ、うぐっ...うっ、うんっ!!!』
紗弓の敏感な芽の部分に吸い付いたとたんに紗弓の体が大きく跳ねてテーブルががたんと音を立てた。
「はぁ、はぁ、はぁ...んっ」
慌てて立ち上がってぐったりとなった紗弓の口からハンカチを抜き取り、すべてを預けてもたれてくるその身体を抱きしめた。
「紗弓、消毒したよ...」
「りょ..うや...」
掠れた声の紗弓の身支度を整えてもう一度抱きしめる。
「紗弓、もう気持ち悪くない?」
「ん...よすぎるのぉ...もう、遼哉の馬鹿...」
「はぁ、俺の方が納まりつかないよ...」
ため息つくと紗弓の唇が近づいてくる。
「おい、だめだよ、紗弓...」
キスをねだる唇に囚われて俺はまた紗弓に溺れかけた。
「リョウ、あたし来たから紗弓ちゃんと帰っていいよ!って、あ、ごめん...」
バックヤードに飛び込んできたのは舞さんだった。ケンさんが気を効かして呼んでくれたんだろう。けどいきなり入ってくるなよ...まあヤバイとこは済んでたけど。
「じゃあ、お言葉に甘えて...こいつかなり参ってるから、すいません。」

挨拶もそこそこに俺は店を出た。ケンさんだけはニヤニヤしてた。くそ、聞かれたかな?
「紗弓、このまま帰れるか?」
黙って俯いたまま首を振る。あんまり手持ちはないけど、俺だってこのまま帰りたくない。消毒は済んだけど、あとは忘れるほど紗弓を抱きたいんだ。
ホテルの部屋に連れ込んで、愛撫もそこそこに服を脱がせて繋がる。とっくに準備できてる紗弓のそこは熱く俺だけを求めていた。
「遼哉、遼哉のがいいの...指も、舌も、コレも...あぁんっ!...あたしに触れていいのも、あたしの中に入るのも遼哉じゃなきゃ嫌なの!」
俺に激しく責められながら、紗弓のそこはいつも以上に締め付けて来る。
「紗弓、もう一人で電車に乗るなよ?」
「うん、乗らない...」
「俺が一緒じゃなきゃだめだからな?」
「うん...あっ、やぁ、だめっ!」
紗弓の柔らかい身体を折り曲げて深く繋がって攻め立てる。
絶対に、誰にも触れさせねえ...
俺の嫉妬交じりの激しい欲望は時間オーバーするまで続いてしまった。

結局ホテル代が足りなくて、紗弓に借りないとしょうがなかった。
恥ずかしかったけど、止まらなかったんだからしょうがない...

FIN

         

痴漢に遭った紗弓、遼哉の嫉妬、そして消毒が夢月さんのリク内容でした。期待通りに収まってますでしょうか?昨夜から二連チャンで紗弓&遼哉えっちを書いてて頭がおかしくなってるかもです。ダメですね〜動けないと鬱積してしまって...でもこの二人ってこんなもんだと思ってやってください。若いですから(笑)