〜いつかの二人〜 芳恵&竜次
<作者望遠、ズームアップ!!>
「久しぶり、かわりない?」
「ああ、そっちも?」
「うん」
竜次くんと逢うのは久しぶりだった。今年お互い大学の4年生になって、クラブも引退したはしたで教育実習や教員試験の準備で忙しかった。
「芳恵は教育実習は地元の中学校に行くんだったっけ?」
「そうだよ、竜次くんは高校だったよね?今、確か……紗弓のお兄ちゃんがいなかったっけ?」
「いるよ、挨拶に行った時声かけられたよ。すごくいい先生って感じだった……けど、あの話って本当なのか?」
あの話っていうのは、紗弓の兄である和明さんが教え子に手を出してるって話。まあ、教え子って言っても元々家庭教師してた娘らしく、親も公認なんだけど、今年確か高校3年生だっけ?
「うん、紗弓からもそう聞いてるよ」
「俺も、遼哉から聞いてたんだけど……すごいよな、17歳の女子高生とか。小畠先生今年24歳だって言ってたから」
思わずむっとしてしまった。イマドキの女子高生っていったらお化粧も凄いし、どの子も可愛いような気がする。
「俺は、今は女子高生は対象外だから」
そう笑って見せる竜次くん。確かに、付き合いはじめた当時は女子高生は対象外じゃなかったはず。
「俺の対象は芳恵だけだから安心して」
そういうことストレートいう所は来栖の影響だろうか?思わずその言葉にときめいて嬉しくなったけど照れてごまかしてしまった。だって、まだ再会したばかりで、喫茶店の注文の品さえ来てないのに飛びつきたいほどの衝動を抑えないといけなかったから。
「そういえば来栖って最近まで竜次くんのとこにいたんでしょう?」
竜次くんは大学の野球部引退と同時に寮を出てアパートを借りた。もちろんわたしも何度か行った事あるし、恥ずかしながら泊まった事もある。
「そうなんだ。あれからしばらくは騒がしかっただろ?マスコミがさ」
来栖は竜次くんと同じ大学の映画研究会の久我って人の自主製作映画に出て、それが賞を取り、劇場用にリメイクされその映像が世に流れるや否や『あの美青年はだれだ?』とえらい騒ぎになりしばらく姿を隠していた。その時久我ってヒトとも連絡が取りやすいからって、竜次のアパートに身を寄せてたらしい。わたしが紗弓を連れて上京した時は、二人にアパート譲ってわたしたちは、その……ラブホにいったりもした。
「今ごろさ、紗弓と来栖は久々に逢ってるんだろうね」
わたしは新幹線で、紗弓は飛行機でこっちに来てるはずだった。彼女は短大卒業したあと就職して、地元の企業に事務職で勤めている。
卒業後ますます綺麗になった紗弓相手にさすがのあの来栖も焦ってるらしく、わたしが流す紗弓情報に一喜一憂してるらしい。
同じ課の先輩に告られたとか、通勤電車で痴漢に遭うからといってマイカー通勤に変えたとか、他愛のないことまでごっそりとわたしが伝えた。もちろん竜次経由で。
「今回の遼哉もかなり切羽詰ってたからなぁ……」
うう、また?あいつは際限ないんだから!紗弓のことまた壊してないでしょうね?
「「紗弓(ちゃん)可愛そうに」」
思わずふたりでハモってしまった。
「ぷっ」
「あはは……」
思わず二人で噴出していたら、不意に彼に耳元で囁かれた。
『人の心配ばっかりしてちゃだめだよ?日曜の夜まで離す気ないから』
竜次くんの真剣な声。
そう、寮とかラブホとかっていう時間的規制のない彼のアパートで過ごす時間は、濃密で……恥ずかしいぐらい甘い週末を過ごしていたりする。
春休みなんか、ほんとに凄かったもの……
お互いにこんなにえっちしちゃうとは思ってもなかった。紗弓や遼哉たちに影響されて一線越えるまでは本当に学生らしい清い付き合いだったから。
離れていることがこれほどお互いを求めてしまうことだったなんて、全部後で気づかされた。
その夜は、たぶん紗弓たちにも負けないくらいえっちしちゃったんじゃ、ないかな?
作者望遠鏡
「甘いよ、芳恵ちゃん!あの二人はもっと凄いことを…遼哉が限界来てたからね〜君たちはぜひ、清く正しい交際をこれからも……って無理かな?竜次くんすっかり遠慮しなくなったし、芳恵ちゃんはならされちゃって、まあ……」
「どう?」
「うっ…ん」
「イキそう?」
組み敷いて貫いた体勢で竜次が問いかけ、芳恵は必死で首を縦に振る。
「あっ……」
まただ、また浅く引き抜かれてしまった。そんな行為に身体は焦らされ、身体がよじれるほど奥まで欲しいと思ってしまう。
「もう少し芳恵の中に居たいから……」
そう言う竜次の表情も結構切羽詰っている。眉は寄せられ、耐える腹筋は今にも筋肉が動き出しそうなほど張り詰められている。
筋肉質の竜次の身体に比べれば芳恵の身体なんて女そのもの。コンプレックスの強い彼女も、いつもそのことをこうやって肌を合わせたときに教えられてしまう。
「可愛いよ、芳恵」
彼女のことを可愛いなどというのは彼ぐらい……いや親友の紗弓はすぐに可愛いと口にするが、その本人の方がよっぽど可愛い。
「やっ……あたしなんか……」
「俺には、一番可愛い……明日がまだあるから、壊していい?このまま」
体力と筋力以上に忍耐力に自信のある竜次がひとたび本気を出すと恐ろしいほど長く攻められてしまう。それこそ遼哉の回数に比べ持久力では優に勝ることを、比べたことのない二人はしらない。それを普通だと思い込んでいる。
「あっああぁん」
「芳恵、芳恵……」
「やぁ、りゅ……じくん」
名前を呼び合い、竜次の緩慢だった腰の動きは激しい動きに変わり、奥の奥まで攻められた芳恵が悲鳴に近い声を上げる。
その声はアパートの部屋から漏れ、隣の若い大学生を一晩中悩ませたという。