「ずっとシリーズ」 紗弓&遼哉

     <作者望遠、ズームアップ!!>


「やぁ……ダメだよ、こんなところで……」
「なんで?何週間ぶりだと思ってるんだ?まず先に食っとかないと。俺、どうにかなりそ……」

ある事情で公然と紗弓と逢えなくなってしまった遼哉は焦れていた。地元にいるままの紗弓とはそうしょっちゅう逢えることもない。短大を卒業して就職した紗弓、大学の卒業を待たずに別の世界へ飛び込んでしまった遼哉。思った以上に自分に合っていて、やり甲斐のある仕事に出会えたのはいいが、愛しいカノジョと逢えない事も、えっちすら出来ないこともしょっちゅうで、彼を焦らすには十分な材料だった。
こうして逢えたとたんに求めてしまう。それがたとえ、車の中でもだ。

自分に逢うために飛行機に乗り着てくれた彼女を迎えに空港まで車で来たものの、顔が売れてしまっているので中に入るわけにも行かず、ただ駐車場で待つだけだった。それでも、嬉しそうに駆け寄ってくるカノジョを見つけると思わず車から降りて駆け寄ってしまう。
そして、車の中。思わず押し倒しては拒否しまくられていた。
確かに、ここじゃ何も出来ない。

「悪い、即ホテルでもいいか?」
そうでもなければこの高ぶりは収まらない。
「う、うん……」

(最悪だよな?こんな彼氏)
逢ったとたん身体求めて、気が狂ったようにセックスしまくるだけで時間切れなのが現状だ。休みもまともにないのだから仕方ないけれども、一人帰る紗弓のその姿がやたら疲れ果てており、下手したらまともに歩けないほどの目に逢わせる自分は高校生の時とちっとも変わっていない。

(成長してないよな?)
そうは思うが身体は止まらない。早くカノジョのそのやわらかくて熱い襞の中に自分自身を埋め込まないと落ち着かない。誰にも渡したくないから、その刻印を刻むように、そうすることでしか確認できない自分が情けない。
「やぁ、もう、だめぇ……ああぁぁっん!」
「オレも、もう……くっ」
繋がってすぐに果ててしまう。その代わり、後数回、時間と体力が許す限り何度でも挑むけれども……



「ごめんな」
「ん……なんで謝るの?」
オレに攻め立てられ、ぐったりと身体を寄せる彼女を腕に抱きながら思わず謝ってしまう。
「逢ってもホテルばっかりで……こればっかりじゃ、おまえに嫌われてもしょうがないなって思ってさ」
「別に……嫌じゃないよ?そんな風にしたのは遼哉でしょ?それに……逢えない分、寂しくて、こうやって激しくされると安心するかも……だって、遼哉の回りには綺麗な人ばっかりで、やっぱり不安になる……」
「紗弓!オレだって不安だよ?あんまり放って置くと誰かに取られるんじゃないかとか、そのうちおまえだって安定した生活のできるヤツの方が良くなるんじゃないかとか……そんなことばっかり考えてしまう」
「遼哉……」
「和兄にさ、時々相談したりすると怒られちまうんだ……おまえのこと信じてやれって。わかってる、信じてるさ。けど……」
「遼哉も、寂しい?」
「ああ、寂しいよ……紗弓が側にいてくれないと」

いつか、ずっと側にいてもらえる日が来れば……
毎日彼女の笑顔をみて目を覚まし、寝顔を見て眠りに付く。
そんな当たり前が手に入るなら……
「いつか……」
「ん?」
「いや、まだいい……」

自分の力で、彼女を守れることが出来るようになれば……その時は離しはしない。

「もう少しこのままでいてもいいか?」
「いいよ……遼哉の好きなだけ……」
疲れたのか眠りに落ちそうな彼女に口付けて、自分も目を閉じる。

あと少し、このままで……


 
<ほうほう、紗弓と遼哉は相変わらずですね〜以前のバレンタイン拍手の後もこんな風だったようです。しょうがないね〜誰かさんのせいであんな道に放り込まれて、不本意ながらも自分のやりたかったことを見つけちゃったんだからね♪もうしばらく見守るとしましょうw・ケイ>
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