2015クリスマス企画
1 今年のクリスマスは……?(予告編)
2015年12月17日
〜俊貴〜
「部長、もうすぐクリスマスですね」
「ああ。おまえ、毎年12月に入るとすぐその話だな」
社長秘書である富野は、この時期になると私のところへやってきてはそう言う。
去年も確かそうだった……
去年のクリスマス〜2014年12月19日パーティ前日へ〜GO!(ここから)
「それにしてもクリスマスが楽しみっすよね!」
「おまえは本当にそれしか言わないな」
一週間、いやもっと以前からその言葉を繰り返してきた富野だが、私の楽しみは……やはり年に一度のクリスマス、結婚記念日の日に思う存分妻を愛することだ。
「仕方ないですよ。僕の場合、何ヶ月も前からクリスマスの準備にかかってるんですから。毎年楽しみなんですよ、クリスマスパーティ!」
奴が秘書課に異動になって2年目、社長秘書でありながら実質は社長の妻であり筆頭秘書である楓のサポート役件子守役も兼ねているこの男、富野勝。営業や総務の仕事よりも、接待やイベントの準備に長けていることに気付いた亮輔が秘書課に昇格させたのは正解だったようだ。昔は私の部下で妻の朱音の……いや、やめておこう。ある意味馬鹿正直で下手打った時期もあるが、なくてはならない社長秘書のひとりだ。家族ぐるみの付き合いで、妻同士も仲良くしているのだから、何も言うことはないはずだ。
「去年は有給取ってのねずみーランド、楽しかったですよね」
「ああ、子供達も喜んでいたよ。うちはああいうところに行きつけてないから、一緒に行かせてもらって助かったよ」
昨年のクリスマスはパーティを前倒しにしたので、クリスマスにうちと富野と社長のところの三家族でねずみーへ泊まりがけで遊びにでかけた。富野のところは美奈ちゃんが小学校へ上る前から何度か行っているようだ。うちも前から誘われていたが、下の子が小さかったので遠慮していた。奴のところは同居している富野の母親に下の子を預けて行ってたそうだが、うちはそういう訳にはいかないからな。だが去年から聖貴も小学校へ通いはじめたし、そろそろいいかなと去年は富野の手筈で出掛けたが、結構大変だった。もっともそれにまさるいいこともあったが。
「さすがに今年は揃ってクリスマス当日に休みは無理でしたからねぇ」
昨年残って仕事をしてくれていた羽山が孤軍奮闘で、途中何度か私のもとにも連絡が来ていた。もちろん亮輔のところにもかなりの連絡が入っていたようだ。
「たしか今年は家族で前日から会場入りするとか言ってたな?」
「ええ、今年もクリスマスは平日続きですからね。23日の祝日にクリスマスパーティを予定してるんですけど、さすがにその前後が仕事じゃゆっくりできないから、前泊はどうかと社長が。そこで前日の夜は温泉に浸かってのんびりできるようにと会員制の温泉付きリゾートホテルのスイートを3部屋押さえてあるんですよ。5〜6人泊まれる部屋なので、子供部屋・男組・女組とに別れますけど……」
「ほう、夫婦別なのか? あの亮輔がよくそんな計画に賛成したもんだな」
結婚してからというものの、妻である楓を片時も離そうとしないのに珍しい。まあ、それはうちもだけどな。
「まあ、たまにそういうのもいいんじゃないかって。社長曰く焦らしも必要だそうです。リゾートホテルまでは送迎バスを頼んでありますし、翌日のパーティはこっちに戻ってホテルの会場でやりるので、すぐに帰れますよ」
「なるほどね……」
いつもと違う環境もいいが、一晩物理的に離されるのもなかなか燃えるよな。
「実は……昨年の正月明け、本宮部長と羽山さんとこで温泉に行ったでしょ? うちはねずみーに行ってたので参加できませんでしたけど。どうやらアレに参加したかったらしくて……社長のところも麻莉亜ちゃんが小さすぎて行けなかったのが悔しかったらしいです」
「温泉ね……」
私が大地くんの麻衣ちゃんとの恋愛相談に乗ってたという話を、後で聞いて悔しがっていたアレか。
しかし去年のクリスマスは本当に色々あったな。オレたちではなく、特にあの若いふたりに……
「というわけで、22日の仕事は早めに終えて会社からバスで行きますので。奥様方にはすでに連絡済みっス!」
「相変わらず手回しがいいな」
「パーティもですが、その前夜を楽しみにしててくださいね!」
富野の言葉通り、家族も皆その日を心待ちにしているようだった。いつもの如くの恒例の行事だが、妻たちはパーティに来ていく服を選んだり、私もクリスマスプレゼントを用意したりと、少し浮ついた日常はパーティ当日まで続いていた。
2015.12.17up(2015.12.18修正)
去年は更新できなくてすみませんでした(涙)今年は去年とダブルで楽しめるよう……頑張ります!(汗)まずは予告編です。