〜月がほほえむから番外編〜
郁太郎のジレンマ9

考えさせてくれってサチは言った。
だけど、オレが大人しく待てるはずがない。
「サチ、なあ、頼む。オレ、こんなだけど、オレみたいなのおまえじゃなきゃ駄目なんだよ。ほんとそれが判った。」
オレが日向子にのぼせてたことも、宗佑とくっついちまったことも全部話した。

おまけに、卑怯かもしれないが、サチが仕事の間、オレは病院の菜月の所に通い、3日で退院したあとも自宅まで押しかけた。
「おじちゃん、誰?」
そう聞いてくる菜月にパパだよとはさすがに言えなかったから、「ママのお友だち」ってことにさせて貰った。
「おじちゃんはね、ママが好きなんだ。菜月ちゃんごと好きなんだ。」
そう言うと菜月はにっこり笑って
「よかったぁ、ママはね、どんなに辛くってもいつも笑って菜月が居るから幸せだって言うんだよ。でもね、よく夜中時々写真に向かって怒鳴ってるんだ。その写真見たことあるんだけど、おじちゃんに似てるよ。」
オレは怒鳴られてたらしい。
「そっか、おじちゃんは昔っからママに怒られてばっかりだったんだ。オレが全部悪いんだけどなぁ。けど、菜月のママは意地っ張りで困るよ。」
サチが仕事に出掛けたあと、ちゃっかり部屋に上がらせてもらった。もちろん菜月が鍵を開けてくれたんだ。
菜月が言うには、今までママは男の友達なんて居なくって、時々女の友達が菜月を見に来てくれたらしい。だけど菜月も春から小学校だから、大丈夫だと最近はあまり来てくれないから寂しいのだと言った。
菜月がお風呂を済ましたあと、絵本を読んでくれというので読んでみたが、オレってこう言うのへたくそなんだよな。宗佑は淡々と読むし、日向子はうまく読んでた。圭太がいつも絵本をもって追いかけてたっけ。
へたくそなりに喜んでた菜月が眠って数時間後、サチが帰宅した。

「な、なんであんたが居るのよ!!」
「ん?菜月が入れてくれたぞ。」
「もうっ!」
「おまえが隠し持ってる写真がオレに似てるから、気を許してるらしい。」
瞬間サチの顔がぼっと真っ赤になった。
「あれは…文句を言いたくても言えないから、だから…」
「判ってる、なあ、ほんとに許す気無い?オレのことまだ好きだって言うのはもう判ってるんだからさぁ、頼む何でも言うこと聞くから!」
「なんでいっつもそんなに自信満々なわけ?」
「そりゃサチのからだがオレのこと好きっていってるからな。」
「そんな…うっ、でも、なんでもって、ホントになんでも聞いてくれるの?」
「ああ、なんでも聞く!」
「じゃあ…菜月を認知してくれる?」
「当たり前だ。」
「仕事、やめてもいい?」
「ああ、構わない!っていうか、すぐやめて欲しい。」
「結婚式、あげたい…ドレス着て、お色直しして…」
「何度だってやってやる!」
「新婚旅行も、行ってないの、行きたい。」
「わかった、行きたいとこ連れてってやる。菜月も一緒にな。」
「菜月が自転車欲しがってるの、買ってやって。」
「ああ」
「ランドセルとか、まだなの、机とか…」
「菜月の部屋を作ってやるよ。母屋、突貫工事で改装してやる。台所も今流行のにしてやる。」
「洗濯機もドラムのにして。」
「わかった、買いに行こう。」
「カーテンピンクにしてもいい?」
「何色でもいい、サチの好きな色にしろ。」
「寝室は…ベッドがいい。ダブルの…」
「前は布団だったもんな。買ってやる。でかいの、そこで…」
オレはサチを引き寄せた。
「毎晩、サチが嫌だっていうほど抱いてやる…他の言うことは全部聞くけど、それだけは聞かねえから。」
サチの腰を痛いほどキツく抱きしめて、犯すように唇を奪う。柔軟に激しく答えるその舌から酒の味がした。
「浮気は、しない?」
「しない、ぜってーしねえ。」
オレはサチの唇を貪った。
「ふっうんっ…はぁん、い、いく、たろ…」
すぐそばに菜月が眠ってる。他に部屋の無い小さなアパートだ。ぴちゃぴちゃと唾液の絡む音すらする。
「サチ、返事は終わってからでいい。うんとしか言いようがないほど、してやる。」
オレはサチを抱き上げる。
「やだっ、どこ行く気?」
そのままバスルームへ連れていく。脱衣所でサチの衣服をはぎ取り、オレも脱いだ。
「あっん、ここで?」
「まずは、風呂だな。」
一緒に入ったことなんてあったっけ?そう思いながら狭い洗い場に座らせたサチの身体に吸い付く。全身をなめ回したあげく、石けんを泡立ててキレイに洗いながらも急所を責める。痛いほど胸の先をつまみ上げるとサチは身体を震わせて嬌声を殺した。ちょっと痛いぐらいが好きな女だったから…後ろ抱きにして指で蜜壺を犯す。掻き回すとどろどろに煮えたぎって来るのが判る。いつものざらついた部分を擦ってやると、オレの指を強烈に締め付けた。
空いた指で後ろの蕾もつついてやると思わず逃げようとしたので顔をこっちに向けてキスして逃げられなくしてやった。
「ふっうん…ひゃっ」
指を引き抜いてキスしたままサチの身体を反転させて自分の上に乗せると自ら腰を降ろしてきた。
「あっ、あっ…ん、あいかわらず、すごい…」
「子供産んでも、相変わらず気持ちがいいぜ、おまえの中はよ。」
「ほんと?」
「ああ、おまえが男作ってなかったって、よくわかるよ。オレ、きっとおまえはオレよりいい男作って幸せにしてるって思ってたから…」
「菜月が、いたから…あの子には、いい母親でいたかった…あたし、家族居なかった分、あの子だけは幸せにしてやりたかった。愛される幸せをあげたかったんだ…だから、男なんて…」
「菜月に感謝しなきゃだな?」
「うん…あぁんキツイよ、それ…」
オレが突き上げはじめるとサチが指を噛んで声を堪えた。

TOP BACK NEXT