2006クリスマス企画
クリスマスを過ぎても |
〜3度目のクリスマス〜 |
12月22日 |
〜朱音〜 わたしの我が儘だって判ってる。 でも今は仕事が楽しくてしょうがない。子供が出来ればやめなくちゃと思えば余計にもっと、と欲が出てきたのは事実。 以前は勝のサポートが出来ればと思っていた。課長に認められてから、仕事が楽しくて、辛いこともそれはあるけれど、経験がモノを言うのね。今まで長く熱心にやってた分だけ味方は多かった。特にキャリアクラスの女性達に。 腰掛けや男あさりに来てる女性社員と違って、仕事を評価する彼女たちは結婚して職場が変わっても頑張って働こうとしてるわたしを応援してくれた。後輩達の中にも、『わたしたちも頑張りたいんです』といってくれる人も。 中にはあからさまに早く退社しろって目で見る人もいるけれども、あたしはやっぱり仕事がしたかったから... 上司の羽山さんも、『頼むよ〜頑張って長くいてくれ、本宮にも俺から言っとくからさ。』なんて言われて。 彼は俊貴さんの同期らしい。式にも彼側の友人として来席してくれて、その時にもよろしくと挨拶された。向こうの自宅にも俊貴さんと一緒に招かれたこともある。その時には3人の大きな子供さんがいらっしゃるのには驚いた。中学生を筆頭に小学高学年の男の子と、まだ幼稚園の女の子。 すごかった... 元気なんだもの。あまりに元気すぎて、その食欲にも騒がしさにも驚いた。 でも楽しそうだった。俊貴さんの視線の先を見て、何を考えているのかが判るようだった。 彼が前の結婚に成功していれば、今頃真ん中の男のぐらいの子供がいてもおかしくないのだから... 「ごめんなさいもう少し仕事がしたいから、もうすこしだけ子供は待って欲しいの。」 自分に後悔したくない、そんな理由であたしは仕事を選んだ。 だけど、もし、赤ちゃんが出来たら...その時は真っ先にその子を選びたい。そのためにもわたしは、早く今の仕事を覚え、そして成果をだしたかった。 結婚から1年、ようやく仕事にも慣れ、それなりの実績も上げてこれた。それも上司や同僚のサポートがあってこそよね。 営業企画に長くいたために現場のニーズは把握していたから、アイデアの移行もスムーズだった。本当に課長(あ、怒られる...)じゃなくて、俊貴さんには感謝するわ。わたしにも一人前の仕事をさせてくれたのだから。 「じゃあ、この企画で進めてよろしいですか?」 「ああ、頼むよ本宮くん。」 羽山さんからも太鼓判を貰えた。 今年のクリスマスには、早めに仕事を一段落させる事が出来そうだった。勿論俊貴さんもそうしているはず。彼がそうすると言ったら必ずやり遂げる人だしね。 「どうだね、クリスマス二人っきりが寂しかったらうちに来ないか?賑やかだぞ〜うちのクリスマスは。女房がパーティー好きでな、ご近所の奥様方と持ち寄りでやるんだが、子供達も友達連れてきてと、なかなか楽しくてね。」 「まあ、そうなんですか?いいですね〜」 なんて返事をしていたけれども、 「いかん。」 「やっぱり...」 俊貴さんは最初のことがあってから、クリスマスは二人の特別な日と限定してるらしく、今年だってまたホテルを予約するって聞かなかったのよね。 でもあたしは『家で、二人っきりで、手作りのクリスマスがしたいの』と言った。 自分たちで飾り付けたツリーに、手作りのケーキ、料理。シャンペンだけはいいのを張り込んで、二人でずっと一緒に居たいと思ったから。 そしてそれは、子供がで来てもずっと一緒にクリスマスが出来るように... だけど、一応上司の誘いだからすぐには断らずに彼の意見を聞いたんだけど、一刀両断。きっと俊貴さんの頭の中には今年のクリスマスの算段はついてるんだわ。 「クリスマスは予定通り家でやる。二人っきりだ。まさか、そうやって出掛けて行ったら免れるなんて思っていないだろうな?」 そう、普段はやはり仕事の手前手加減はあったし、お互い忙しい身だし。 『クリスマスは、朱音を好きにしていいだろう?』 そんな恐ろしいことを言うものだから... でも、嫌じゃない。 彼に愛されてるって実感させられる瞬間。あたしは世界で一番幸せな女になれるのだから... |
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音サイドです。これで1年の近況報告は終わり。明日は意外な人の…です。 |