たぶんそう思う...

「槇乃。」
改札を出たとたん名前を呼ばれる。
「え、まーくん?」
見回しても何処にも居ないよ?
「こらっ、どうしてわかんないかな?」
「へ?」
すぐ目の前に居たのはジャケットの上にトレンチ着たりして...あれ?下はスーツっぽいかな?さすがにネクタイとかしてない白のタートルだけど。
「槇乃さんにあわせて大人っぽくしてみたんだけど?わかんなかったの?」
だっていつものダッフルコートとジーパン姿の犬っころみたく飛びついてくるまーくんを想像してたんだもん。
「ごめんね。似合ってるよ、思わず腕組みたくなるくらい♪」
そういうとちゃんと左の腕を差し出してくれるの。
「うっふっふっ」
あたしより背の高いまーくんにちょっぴり身体を預けちゃう。
「ご近所様にばれるよ?」
「年下の高校生には見えないでしょ?」
しばらくはふざけてたけど、前方に同じ団地のおば様を発見した時にはすぐに手をはなしちゃった。なんか寂しいな。
「こんどは街の方に一緒に行こうな。」
そういってくれた。なんか今日はとってもエスコートされてる気分。
「ケーキ頼んでるから取りに行こうか。」
予約してたチョコレートケーキとお祝いのシャンパンはノンアルコール。
「それと...」
まーくんが通りの花屋さんへ入っていく。
「これ、槇乃さんに俺から...来年はもっと貯金してちゃんとしたもの贈るからね。」
そういって渡された紅い薔薇の花束。これもらって喜ばない女はちょっといないんじゃないかな?それも気のある男からもらえればね。
「あ、ありがと...あたし忙しくってなんにも用意してないよ?」
「いいの、あとでもらうから♪」
味見といっていきなり耳を舐めたまーくんだった。
「ひゃあっ、ん、もう!!」
怒るはずがにやけちゃうよ。あー、かなり本気みたいだ...あたし。
「じゃあ、早く帰って、早くあったまろうな♪」
さすがに団地の近くじゃ手も繋げないけど、少し並んで歩くのがまた嬉しかったりする。まあ久々の彼氏と過ごすクリスマスなわけだし、今日のまーくんは見た目もこっちに合わせてくれてるからちょっとぐらい引っ付いても周りの目線が気にならない。さすがに外では学生服のまーくんには甘えられませんもの。

「広野〜〜、やっと帰ってきた!クリスマスしようぜ!」
「えっ!?」
まーくんちの部屋の前に何人もの男の子と女の子の束!そうそう、こういうときは親のいない一人暮らしの家が狙われるのよ〜って、うそ...
「俺今日はだめだって言っただろ!」
「何言ってんだよ、ここんとこ付き合い悪いんだから場所ぐらい提供しろよ。」
けっこうがたいの大きな少年(見た目はおっさん)が強気の発言してる。
「だめだ、俺夜からバイト入れてるから、おまえら帰れよ。」
「いいじゃん、おまえバイト行けば?俺たち場所さえあればいいんだって、な?」
「だめだよ、広野くんに悪いわ...それに広野くんが居なきゃ、ね?バイト代わってもらえないの?」
うわぁ、色白で綺麗な子。髪なんて今の流行に逆らうように真っ黒でさらさら背中まで長い...
「ところでそのおねえさんは?」
え?あたし?
「隣のおねえさんだよ。途中で出会ったから荷物持ってあげたんだよ。」
むっ、そういう紹介する?じゃあこっちも...
「助かったわ、まーくん。荷物重くって、折角彼氏が来るからって思わず買い込んじゃったから。」
そういって受け取ると満面の笑みを浮かべて言ってやったわよ。
「それじゃ、まーくん、お友達たくさん来て頂いてるからっておいたはだめよ。」
ばたんと締めたドア越しに『まーくんだって!かわいいっ』女の子達の声が響いてた。
もう、なんなのよ!ここまで期待させといてっ!男漁りに街に出るわよっ?いいの?
それに、これだけの料理一人でどうやって食べろって言うのよ〜〜〜
テーブルの上にはから揚げやらポテトサラダが綺麗に盛り付けてある。ケーキだってワンホールも一人で食べられないわよ。それに...
コートを脱いで鏡の前に立つ。寒かったから、帰ってから見せようと思ってたのに...ボレロ付きのワンピース。ボレロを脱いだら胸元も背中も開いたキャミソールドレス。カラーはクリスマスにちなんで赤、ワインレッドだけど...ボレロはしっかりした生地だけど、キャミソールドレスはシフォン生地で、下着はストラップレスのブラにガーターベルト、ガーターストッキング、ショーツのセットもの。黒だよ?わざわざ会社のトイレで着替えて帰ってきたんだからね!なのにさ...馬鹿...
隣から漏れる笑い声、壁越しに聞こえるわけじゃないよ、ベランダに出ると聞こえるんだからねっ!ううっ、寒い...
から揚げ少しつまんで、ケーキもナイフすら入れずにフォークで崩しながら食べてやる!ワインか何かなかったかなぁ?最近まーくんがいるからあんまり飲まなくなったんだ。だって飲みすぎると記憶抜けちゃって大変だから...もう忘れたくないもん。まーくんとの事は...
いいもん、どうせあたしは隣のお姉さんだもんねっ!ふんだ...ふん...



「槇乃さん、ねぇ、槇乃さん?」
「ううっ、うるさい...まーくんなんかあのさらさらヘアーの可愛い子と宜しくやっちゃえよぉ...」
「それ、本気?」
「ふぇっ?」
あれ?寝てた?あたし、寝ちゃってたんだ...回り真っ暗。サイドスタンドだけまーくんがつけたみたい。
「ったくメール入れたでしょ?見なかった?」
「携帯まだバックの中...」
「あとでバイト行く振りしてこっちに来るって入れてたんだけど?」
あ、ちょっと怒ってる?でも怒るのはこっちだよ!
「あーあ、ケーキ俺も楽しみにしてたのに半分食ってるじゃん!味見させろよな。」
そういってあたしの口元をぺろりと舐めた。
「子供みたいに口の周りにいっぱいチョコつけちゃってさ、寂しかったの?」
「...あの女の子、まーくんに気があるよ。」
今のあたしきっと子供みたいだろうな。じと目でまーくんを睨み付けてる。
「知ってる。でも俺はそんな気ないし、三上ってあの中のダチだけど、そいつが片思いしてるから絶対手出さない。なにより俺には槇乃さんが居るでしょ?」
後ろに座ってあたしを抱え込むように抱きしめてくれる。あったかいやぁ。
「もうすぐ12時だよ?ほら。」
テレビの上の液晶が11:59を示してる。すっと12:00が揃ったその時
「メリークリスマス、槇乃さん」
「メリークリスマス、まーくん」
ちゅってあわせたキス。
「もらってもいい?クリスマスプレゼント。」
「ん、お化粧落ちちゃったけど...どうぞ」
立ち上がってキャミソールドレスをすとんと床に落とす。
「すげぇ、めちゃくちゃ色っぽい!たまんない、ね、これ俺のため?」
「そうだよ、いらない?」
まーくんの目は黒の下着に釘付けになってる。まだまだ可愛いものね。
「いる!だめだって言ってももらう。槇乃っ」
「んんっ、将志...」
引き寄せられてキスはいきなり深くあたしの中を求めてくる。
「はうんっ、あぁ、将志ぃ」
首筋に降りてきたキスに早くも反応するあたし。まーくんがあたしの顔を少し覗き込んできた。
「今日はあんまり俺の名前呼ばない方がいいかもな?もし隣に聞こえたら...」
「どうして?」
「野郎どもが、あの綺麗なお姉さんのとこにどんな男が来るか、来たらやっぱりえっちするんだろうなって聞き耳立ててる。」
「じゃあ、聞かせてあげなきゃ?あなたがとっても上手にあたしを鳴かせるところ♪」


「やぁ、だめっ、焦らさないで...お願い、はやくぅ!」
「だめ、もうちょっと味あわせてもらうから、槇乃のここ、いっぱい溢れてくるよ?いくらでも、こうやって、するとどんどん、どんどん、ね?」
「やぁっ!!くふんっ、ひっ、ひいぃん!」
敏感な蕾を舌と指の腹で思いっきり擦られたとたんあたしの身体は勝手に麻痺し始める。あぁ、始まっちゃったよぉ...かるくいったまま震え続けてる。
「お、おねがい...奥まで、奥まで頂戴、ね、早くっは、やぁ...っん!」
「槇乃、愛してる、ずっと昔から、槇乃っ!」
「あぁあああああぁぁぁぁっっ!!」
一気に貫かれたあたしはがくがくと震えながらも彼を求め続けた。
「くっ、槇乃...」
あたしの求めるまま彼のモノがあたしを攻め立てる。ガーターベルトだけを身に纏った足を高く掲げられ、そこをひくつかせながら何度も絶頂を迎える。彼もあたしの後を追うように欲望を吐き出す。あたしは定まらない視界の中で軽く顎を上げて目を閉じて気持ちよさそうにイク彼の綺麗な顔を見てた。

「槇乃さん、ほんとにごめんね。みんなにちゃんと紹介できなくて...」
二人激しくイッタ後、まーくんは友人に飲まされて今日は部屋に帰れないと嘘メールを送っていた。
「べつに、いいよ...気にしてない。」
嘘ばっかり、気にしまくっていじけてたくせにね、あたしったら...それが判ってる彼は、ちゅっておでこにキスするとまたぎゅって抱きしめてくれた。
「俺いつかきっと皆に胸張って槇乃さんが俺の彼女だって言える様になるから、それまで待っててほしいんだ。」
「いいよ、こんな年上じゃ恥ずかしいんでしょ?」
「違う、槇乃さんがこんな高校生相手じゃ恥ずかしいだろうと思って...。大学はいって、ちゃんといいとこに就職するまで、絶対待ってろよな?俺の意地なんだ、槇乃さんと肩並べれるようになるまでって...でないと、また槇乃さんを泣かせちゃうから...」
これって、本気ってこと?期待していいのかな?ただし実現されるまであと4〜5年かかるから、あたし28ぐらいになってるんだけどね。もう遊びじゃすまないもんね、お隣同士で、親も仲良し同士。あと2年したら隣の両親は帰って来るんだし、そしたら気付かれずにいる自信ないもん。操さん(まーくんのまま)は勘のいい人で、最初はこっちに居るつもりだったのに、ご主人の挙動不審な態度を感じ取って速攻で転勤先に付いていったもの。まーくんに似て男前のぱぱさん、部下の女の人に言い寄られてたらしくって、一時大変でした。
「ほんとに待ってていいの?そんなに早く答えださなくてもいいよ。あたし、まってるのに...」
「槇乃、離したくないんだ。このまま俺のものにして、会社にも行かせたくないって言ったら怒る?」
「怒る、食べていけないもん。」
「じゃあ、会社いっていいからちゃんと俺んとこに帰って来てよ?」
「はいはい、まーくんも女子大生に食べられちゃだめだよ?」
貪るようにキスをして、あたしは身体を起こすと二人向き合って座った形になる。まーくんが枕もとの財布から2個目のゴムを取り出して復活した自分のものにつけると、あたしを持ち上げて自分の上にゆっくりと降ろさせた。
「んんっ、ふうん...」
「槇乃っ、好きに動いていいよ、ちょっとはもつと思うから。
「将志ぃ...ん、はっ、ん、ああん、あん、あん、あんっ!」
あたしが腰をゆするとあそこからぴちゃぐちゃといやらしい水音が響く。彼も下から腰を突き上げはじめる。
「槇乃、すげえぇ、綺麗だ...その顔、めちゃくちゃいいよっ!ほんとに好きだ、槇乃...っ!」
「好き、大好き、あたしも...たぶん誰よりも大好き!」
「俺も、槇乃、絶対離したくねえ!」
「あん、あん、ああん、はあん」
腰を使いながら下から胸を揉みしだかれ、その蕾も刺激されていてはもうなり振り構っていられないほどだ。頭を振りすぎて気が遠くなっていく。
「槇乃大丈夫?じゃあこんどは下向いて...」
上からそっと降ろされてベッドにうつぶせにされて高く腰を持ち上げられる。息が切れて苦しいのに、そこだけは別みたいに欲しがってるのが判った。
「はやくぅ、抜いちゃやだぁ...いれて、んっ、はうっ、お願い...」
彼の前に晒されたそこをいやらしくくねらす自分が居た。あたしの悪い癖、よくなってくるともう回りもなにもかもが見えなくなっちゃうの。
「すごいよ、欲しいって、ヒクヒクしてるよ?指入れてもキュウキュウに締めてるよ。」
「はぁん、やぁ、だめなの...それじゃやなの、お願い、あなたのが欲しいの!」
「判ったよ、あげるから、大きな声だしちゃだめだよ?俺の名前もいっちゃいけないよ?」
「うん、約束するから...うぐっ、はあっん...」
一気に奥まで突きたてられる。あたしは必死で枕に顔を押し当てて声を我慢していた。なのに打ち付けられる腰の律動の激しさに何もかもがついていかなくなってしまう。
「槇乃、とまんねえよっ!あぁ、くっ」
激しすぎるその抽出に思わず身体が浮き上がって枕から顔が離れて声が漏れる。
「はあん、いっ、いいんっ、奥、当たっちゃうっ、すごいっん!もう、はん、あん!」
彼の指が剥き出しになったあたしの突起を見つけて擦り始めたと同時だった。
「やあぁっ、だめっ!ん、ひいっ、くっ、いいいいいっ、いいんっ、いっちゃうっ!!」
あまりのあたしの声の大きさに思わず将志のもう一方の手が口元を塞いだ。あたしの身体は震えて大きく仰け反り完全に昇り詰めていく。
「槇乃、声でかすぎ...くっ、そ、もう...」
一番奥に突き立てられてあたしはもう意識を手放す寸前にかれのモノを激しく締め付けていた。
「いいっ、ん、来て、お願い!一緒に、ああんっ!」
「あぁ、槇乃っ!」
完全に意識がとんでいった。


「槇乃、俺もう隣に帰るけど、会社大丈夫か?」
いつの間にか朝。会社に行かなきゃ行けないのに。
「大丈夫じゃ、ない...」
身体だるくて起き上がれないよ...
「しょうがないなぁ...」
まーくんはタオルをお湯で蒸らして持ってきた。
「ほれ、顔出して、首、それから...」
順番にゆっくりと拭いていってくれる。
「はぁん、いやん」
「そんな声だすなよ...もうスル時間ないんだからな。」
「だってぇ...」
胸とか強く擦るんだもん。
「膝立てて?」
「やだ、そこも?じ、自分でするよ...」
「だーめおれがやんの。」
あそこも全部綺麗に拭いてくれて、それから下着つけるのまで手伝ってくれた。すごい、至れり尽くせりじゃない?
「ほれ、カフェオレ、これ飲んで会社頑張って行ってきな?」
「ん...おいし〜」
「時間ないよ、駅まで送るから...」
「え、いいよ、そんな...」
「心配だし、駅から家に電話してみんなのとこに帰るからいい。」
そういって二人でそっと部屋を出る。隣はまだ誰も起きてないみたい。
まだ寒い朝の街を駅まで歩く。
「槇乃さん、俺、本気だから。」
右肩の上のほうでぼそりとまーくんが言った。
「たぶん、あたしも...」
本気だよって心の中でいいました。

         

なんでクリスマス...今年のクリスマスまで置いておこうかと思ったくらい...でもそれだと先に進まないんだもん。