〜200万アクセスキリリクbyしょ−りょーさん

バツイチ男の事情・2
〜卒業までのカウントダウン〜

「真吾さん、相談があるの...」
秋のよく晴れた日、いつになく真剣な顔の瑠璃が聞いてきた。俺は寝ぼけ顔で、台所のテーブルで寝起きの一服を楽しんでいた。
最近とみに煙草の本数が増えている。瑠璃も心配してくれているが、原因は目の前に居る本人だったりするからどうしようもない。

 俺の彼女の瑠璃は女子高生で、俺とは15の年の差がある。彼女は相変わらずバイトの合間を見つけては毎日のように俺の部屋に通ってくる。
なのに未だに手が出せないまま、月日は過ぎていく。煙草の本数だけを増やして...
「相談ってなんなんだ、瑠璃?」
彼女が入れてくれたコーヒーを口に運びながら聞いた。少し濃いめのコーヒーは身体を脳細胞まで起こしてくれる。瑠璃はコーヒーを置いたまま俺の側でじっと足下を見つめたまま立ちつくしている。
「あのね、あたしの進学のことなんだけど...」
高校3年の瑠璃はかなり前から迷っていた。進学か、就職か...
成績もそこそこの彼女なら十分に奨学金は取れる。母親も今は元気に働いているし、何より俺も瑠璃を進学させるぐらいの甲斐性はあるつもりだ。一人息子の為の養育費もそのままそっくり残っているし...
「やめようと思うの、進学...」
「なぜだ?瑠璃は栄養学を勉強したいんじゃなかったのか?」
「うん、そうだったんだけど...今は栄養士の資格もってても、就職は困難だって聞いたの...だから...学校側が就職先をいくつか紹介してくれるから、あたし、就職しようと思って。ちょっと遅いから、いい就職先はもう残ってないかもだけど。無理して進学してお母さんに負担かけさせたくないし...」
それに、とちらりと俺の顔を見る。俺が進学費用を出してやると言ってるのに、なかなか素直に受け取らない。そりゃまあ、また二人の間に金銭関係が出来てしまうのを恐れてるんだろうけれども、俺はもう瑠璃のことを他人だとは思っていない。たとえ彼女が大学で他の誰かを好きになっても、職場でいい人を見つけて結婚すると言い出しても、それは構わないとすら思っていた。まあ、半分は強がりもはいってるけれど、世間を知らない彼女が俺のような離婚経験のあるバツイチ男に執着せずに、色んな人と出会い、もっと若い男に恋してもそれは、文句の言える立場じゃないから...だから、選択権は彼女自身にある。
「瑠璃のしたいようにすればいいよ。」
そう答えて、不安そうに瞳をゆがめる瑠璃に、おいでと手を広げるとすぐさま柔らかく甘い香りのする身体を俺に預けてきた。膝の上に腰掛けた彼女は、俺の首に手を回して少しだけ高い位置になる目線を顔を近づけることによって低くする。
「遠慮してるのか?」
「違うの、先生も、お母さんも、真吾さんまで進学を勧めてくれるけれども、どうしても短大に行きたい訳じゃないの。ホントは今すぐにでも働いてお母さんを楽にしてあげたいくらいだもの。お給料もらえれば...その、真吾さんとも対等な立場になれるでしょ?だから...」
側にいたいと、瑠璃は言う。俺と離れたくないのだと...
けれど時期的に就職組に移るには分が悪い。それでも決断した瑠璃はよほど悩んだんだろう。
「そっか。じゃあ、就職先、イイトコ残ってなくて決まらなかったら、俺のトコに...来るか?」
つまりは...永久就職の誘いだったりする。
いつだってその気持ちはあった。だけど、瑠璃が外の世界を知らないまま俺の世界にだけ閉じこめちゃいけない気がして、今まで口にしたことはなかった。
じっと彼女を見上げて囁くと、一瞬目を見開いた彼女は小さく『ホント?』と聞き直してきた。
俺のトコに...嫁に、こないかって...ありきたりな言葉だけれども、今の俺には精一杯の言葉だった。ほんとは言うつもりは無かった...もっと、彼女に選択権を与えてやるつもりで、俺が自重しなければ、彼女はいつか若くして俺のような男を選んだことを後悔する日が来るかもしれないのに...
なのに、嘘って、涙を瞳の端っこに溜めた瑠璃が何度も嬉しそうに言う。
俺はいつだって彼女を手に入れたくって待ち望んでいる。ただ彼女の未来の芽を摘んではいけない、彼女が望むがままの進学も就職もそのためだと思っていた。
俺のほうはいつだって彼女を受け入れる準備は出来ている。孫を別れた妻側に取られたことを今でも悔やむ年老いた両親。兄夫婦が見てくれているとはいえ、喜ばせてやりたいとも思う。まあ、女子高生など連れて行けば腰を抜かすだろうけれども...
「まあ、おふくろさんに挨拶に行って、許してもらえたら、だけどな?」
それが一番の問題でもある。
俺の歳は今年で33になる。瑠璃の母親とは3,4歳しか違わないのだ。
まさか、今、こんな場面でプロポーズしてしまうとは、実は考えてなくて...それほどすらっとさっきの台詞は俺の口から出ていった。
ロマンチックでもなんでもない。Tシャツにスエット姿の俺に、カットソーにジーンズの瑠璃。だけども俺たちの毎日はこうやって過ごしてきた。おしゃれで気取ったものではない、この部屋で過ごす時間の半分を、彼女が世話焼いてくれるままに過ごしてきていたのだから...
ありのままの姿、素直な気持ち...
「うれしい、真吾さん!」
瑠璃が喜びを身体で表現して来る。ぎゅっと抱きしめた腕を少し緩めると、瑠璃は俺の肩に埋めていた顔を上げる。引き寄せて唇を合わせる。左の腕で腰を抱き、反対の手で瑠璃の頭を引き寄せ、何度も角度を変えながら彼女の唇を味わい、舌を割り入れて瑠璃の中を思う存分掻き回す。
瑠璃の唇から漏れる甘い声。
ヤバイな...
エスカレートしていくキスに相乗して、俺の下半身が熱を帯びる。
瑠璃が欲しい...
それはもうずっと押さえ込んできた俺の正直な気持ち。プロポーズを口に出したことで、まるでたががはずれたかのように求めて暴走し始める。
瑠璃を抱え上げ、そのままキスをしながら部屋に運ぶ。背中から布団の上に落とし、ひたすら激しいキスでシーツに彼女を縫いつける。性急に求めはじめた身体。早く瑠璃の素肌に触れたくて、衣服を素早くはぎ取り、露わになった白い肌に唇と手のひらで刻印を落としていく。
俺のもの、俺だけの瑠璃...
この肌も、唇も、髪も、耳も、すべて俺の物にしてしまいたい!
胸の先は敏感に立ち上がり、脚の付け根を布越しになぞると甘い声が上がる。
「あぁ...真吾さん...ゃ...んっ...しっ...ご..さ...」
俺に翻弄されて、息も絶え絶えの彼女は俺の名を繰り返し呼ぶ。
「真吾...さん...あ、あたし...」
「ん?」
あまりに苦しそうなので愛撫の手を止める。
「しゅ、就職出来なくても、いいの...真吾さんの...側に、いられればいい...」
え?...ちょっと待って。
就職出来なくてもいい?じゃあ、なんて言うんだ?担任や母親に。
俺と結婚するからと?そうすれば誰もが思うだろう...二人はそう言う関係だったのだろうと。年齢差を考えると、いろんなことを邪推されてもおかしくはない。
それじゃ、今まで身を切る思いで耐えて我慢してきたことは?いや、何よりも瑠璃がそんな風に見られるなんて、それが耐えられない!
そっと瑠璃から離れて身体を起こす。
目の前に素肌をさらけ出して、瞳を潤ませた艶を含んだ表情の瑠璃が俺を見上げている。誘うような、甘い熟れかけた果実を思わせる女の色香。瑠璃がこんな表情するなんて...
「すまない、止まらないところだった...」
無理矢理引き剥がした熱情は収まることなく、下半身を刺激していた。だけど...
「どうして...あたしならいいのに?真吾さんのものにして!」
「ああ、だけど...やっぱ、ちゃんと卒業までは...」
「そ、そんなぁ...どうしてそんなにこだわるの?あたしもう18で結婚も出来るし、子供だって産めるんだよ!なんで...」
「すまない、俺のこだわりだ...大事にしてる証拠に、担任の先生の前でも、おふくろさんの前でも、清い交際だときちんと言いたいんだ...」
このぐらいしか証明する方法が見つからないんだ。俺には...
「じゃあ、今から、お母さんに会ってよっ!」
「えっ?い、今から?」
「そう、今からなんだから...だって、だって...もう、真吾さんの馬鹿っ!」
瞳を潤ませて、顔を上気させ、身体を震わせてベッドに座り込んだ彼女...
様子がおかしい...まさか?今ので...?そりゃ、キスだけでも身体震わせたりする子だけど...
「瑠璃...もしかして...」
『感じたの?』と耳元で囁くと尚更真っ赤になる。焦れて膝をすりあわし、わずかに震える身体はまるで今でも俺を求めているようだった。
すぐ側に腰掛けて彼女の腰を軽く抱きながら、背中を優しく指先で上下する。
「あっ...んっ」
今まで聞いたことのないほどはっきりした喘ぎ声が漏れる。
「さっきので...そんなに?」
腰から伝う指先を足の付け根の布地の下に滑り込ませる。そしてゆっくりと溝を擦り上げる。
「あうっんっ!」
指先に感じる湿り気...間違いなく瑠璃は感じて濡れていた。
「我慢できる?」
「やぁっ...んっ」
すりあわされる膝頭...
「し、真吾さん...変なんだもの、身体が...変なの...」
半泣きになった瑠璃に俺はそっとキスした。
「わかったよ、ちゃんと楽にしてあげるから...」


下着の中に滑り込ませた指でくちゅくちゅと濡れた溝をかき混ぜゆっくりと指を一本浅く潜り込ませる。胸の先にキスを送り、軽く歯を立てると、びくりと瑠璃が身体を跳ねさせた。
濡れた指先を抜き出して、瑠璃の敏感な芽を剥き、ゆっくり擦る。瑠璃は電気が走ったかのように身体を震わせた。
「あうっ...んっ、や、ダメッ...し、真吾さん...あ、あたし...」
「いいよ、イッテいいから...」
耳元を舐めるように囁く。
「あぁ...わ、わかんない...な、に...コレ...」
今まで知らなかった快感に恐れ、瑠璃は震えながらも必死で俺にしがみつく。
イカセてやりたい...自分の手で、瑠璃を昇り詰めさせたい。行為がかなわないのならせめて...
浅く入り口をかき混ぜながら芽を擦り上げた瞬間
「やあっ!ひっ...くっう...んっ」
のけぞり背中を反らせた瑠璃はしばらくぴくぴくとけいれんして、そしてぐったりと弛緩していった。



「瑠璃、可愛かったよ...」
涙の滲んだ瞳にキスして抱きしめる。愛おしさだけが暴走してしまった結果がコレ。
「し、真吾さん...」
「今からおふくろさんに会いに行くか?」
そう聞いた俺に、瑠璃は『意地悪っ』と呻いて俺を睨み付けた。
初めての絶頂を経験した彼女は手足に力が入らない。その身体を抱きしめながら、俺は少しだけ瑠璃を手に入れたような充足感を味わっていた。
「就職が決まったら挨拶に行こう。俺も協力するから、な?」
「ん...ありがと...でも...真吾さんって、意外と意地悪だったんだね...」
恥ずかしさもあって、拗ねた顔を見せる瑠璃が愛しくて、もう一度きつく抱きしめた。

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しょーりょーさんのリクエストで「バツイチ」の初体験、甘めでってことでした〜。
でも、ココで終わっちゃ、駄目ですよね??
でもとうとう屋根裏行きになってしまいました。