424242番キリリク〜りかさん〜 短編シリーズ
〜教育実習生の事情〜
2
携帯が鳴った。
勇太郎からだ!
「もしもし...」
『祥子、俺だ。もうすぐ着くから。』
「う、うん...ね、ほんとに泊まるの?」
『ああ、今日は金曜で、明日は休みだろ?おまえん家の親はうるさくなかっただろ。』
「そうだけど...」
『覚悟して来いよ。』
ブチって切れる。はやぁーい。相変わらずせっかちっていうか、自分の意思伝えたら即なんだから...
よく聞いていた。姉の甘えた声で『もう、勇太郎ったら〜』って。
あまり女性を大事にするほうじゃない。それでも姉は彼に夢中だった。あれだけ選り取りだった姉が...
「ただいまぁ〜祥子いるのぉ?今日さぁ、母さん達遅くなるって...」
部屋のドアを開けて姉の美弥子が入ってきた。
本当にあたしに自分の取り巻きをけしかけたんだろうか?あれから風当たりは強かったけど、勇太郎と別れてエリートサラリーマンと付き合い始めてからは機嫌がよかった。
それも昔のことなんだと自分に言い聞かせる。
許せないけど、口に出すのも嫌だった。
勇太郎はあたしを選んでくれたんだ。だからもう遠慮なんかしなくていいんだ...
何って顔してこっちを見てる。信じられないよ...何もしてませんていう顔をして、今まで一緒に住んできたなんて...
「いいよ、あたし男のとこ泊まりに行くから。」
「はん、相変わらずしょうもない男作って...もうちょっとレベルの高い男捜せば?」
いつだってこう、人を見下して、馬鹿にして...男の前では猫かぶってるくせに。
「レベル、今回はちょっと高いよ。おまけに本気だから、邪魔しないでね。」
「なによ、あんたの男なんて取りはしないわよっ!」
「その、今言ったこと忘れないでね。そしたら昔あたしにしたこと、責めずにいてやるからさ。」
「な、なに?祥子、あんた...何言いだして...」
そのとき窓の外から車のクラクションが鳴った。
「迎えが来たみたいだから行くね。」
あたしはお泊まり道具と着替えの入ったカバンを肩にかけると、姉の横をすり抜けて階段を一気に降りた。
「勇太郎?!」
珍しい...車の横にもたれて煙草吸ってる。お姉ちゃんを迎えに来る時だって、いつだって車から降りてきたことなかったのに?他の男の子はドアを開けてエスコートしてくれるのにって勇太郎はしてくれたことないって、お姉ちゃんいつも悔やんでた。なのに...
「なんだ?そのでかいカバンは...当分帰らない気だったら帰さないけどな。」
咥え煙草でニヤって笑う。眼鏡は学校と違って少し濃い目の色が入って...柄が悪いよ、それ。
「じゃあ、しばらく泊めて!」
どんって勇太郎の胸に飛び込む。ちょっと体が震えてた。それに気がついたのか少しだけ優しく抱きしめると肩から荷物をとって、すって掠めるようにあたしにキスした。
「ゆっ...!」
「早く乗れ、時間がもったいない。」
何の時間だろうと考えると怖いんだけど、急いで開けてもらったドアから乗り込む。そのとき見上げた二階の窓からおねえちゃんの顔がちらっとみえた。いつもよりも白い、青ざめた表情...
「気にするな、祥子。」
わかって言ってるの?
勇太郎はオートマで空いた手をあたしの方に伸ばしてきて引き寄せた。
「判ってるだろうが、俺はこんなことする奴じゃないんだぞ、今日だけな...」
勇太郎の大きな手がごしごしとあたしの頭を抱きかかえたまんまくしゃくしゃにする。
「勇太郎...」
そのいつもと違って優しい声に涙腺が緩む。
お姉ちゃんのこと、聞いたばっかりでどう対処していいかわからなかった。
聞いてしまった事実が、姉に対する恐怖感をわたしに与えた。なのにどこまでも普通どうりに振舞える姉が怖かった。
「もうすぐオレのマンションだ。着いたらすぐに抱いてやる。そして全部忘れるくらい愛してやる。だから、もう泣くな。今日からはオレの下でだけ鳴けばいいんだ。」
顔が真っ赤になる。こんなにストレートに言ってくるなんて、信じられない。
ちらっと目線を下に落とすとわずかに興奮してるみたいな勇太郎の下半身...
そーっと手を伸ばしてみる。
「お、おい、何をするっ!く、祥子...」
ゆっくりと上下になで上げる。堅さを増してきた勇太郎のモノに愛しさすら感じる。
「やめろ...屋上でおまえとやってから、収まりがつかなくって困ってるんだからな...」
「ほんとに?」
「ああ、ほんとだ。だから俺をいじめるなよ。」
「いじめてなんか...」
「今までで、俺をこんなにしたのはおまえだけだな。」
『すっごく強引なの、体力もすごいけど、あっちもすごいのよ』
どうして勇太郎がいいのか、付き合いだしてすぐに姉に聞いたことがあった。そううっとりと答える姉にどきりとしたのを覚えている。
確かに屋上でもあたしは強引に、でも夢中で抱かれた...
「あんまりそんなことをするとこうだぞ?」
そういって肩を抱いていた手をすっと胸に降ろしていった。
「やぁ...っん」
下着の上から胸の先をきゅっと掴まれる。
「そんないい声だすなよ...」
見上げると切なげに目を凝らす勇太郎がいた。学校で見せる厳しい顔でもなく、甘さを見せた男の顔。学校じゃ見事に真面目でクールな三井先生の仮面を被ってたってわけ?
あたしは軽く勇太郎を睨みつけるけど、視線は前に向いてるので見てはもらえない。
「勇太郎の本性って、こんなだったんだ。」
「いや、ここまであからさまにしたのは、祥子がはじめてだな。」
「ほんと、に...?」
「あぁ、たいていの女は優しくしろとかうるさいからな、適当に...」
お姉ちゃんの時見てたから納得してしまう。
「さっき慣れない事したから、そのお返しもある。」
そういうと信号待ちの間にキス、そのキスがすーっと首筋に落ちていく。
「あっ、ん...ゆう...」
後ろでクラクションが鳴るまで止まらなくなっていた。
〜勇太郎〜
まったく...
俺ともあろうものがここまで理性を飛ばすか?
教育実習に母校へ来てみればそこに昔の彼女の妹がいた。外見はころっと変わってしまっていたがすぐにそうと判った。なんせ昔の...といってもその娘に惚れてしまい、逆に告白されて即姉のほうに別れ話を持ち出した馬鹿だから、俺は...
あの時、二股でも何でもいい、さっさとつきあっちまえばよかったんだ。
姉の方が意外としつこく、別れるのに戸惑ってる間に、祥子が他の奴と付き合い始めたのを見て後悔した。次々に男を変えていくその理由がわからなかった。
同じ大学で美人で評判の女性から告られたら断る理由もないって事で付き合い始めた。それが祥子の姉の美弥子とだった。
俺のどこがいいんだか...見かけは大人しいお嬢様風だが、けっこう我侭で女王様な彼女からすれば媚びない俺が新鮮だったのかもしれない。セックスが好きな女で俺に翻弄されるのを喜んだ。ちょっとばかし乱暴にされると喜ぶんだ。見た目と反対とはこのことだよな。
その妹が気になり始めたのは、いくら美弥子を抱いても冷めていく自分の気持ちに気づいてからだ。姉の影で自信なさげに存在する妹の祥子。姉にきつく言われても涙を堪えて耐えている。
...可愛かった。
護ってやりたいような、いじめたいような...
けれど芯は強い子で、必死で勉強して俺たちと同じ高校へ行こうとしていた。居間の机で眉をしかめて真剣に数式を解いている彼女を見つけて声かけた。ちょっと教えてやるとぱぁっと表情を明るくして喜ぶ姿はまるで子犬のようだった。それから何度か教えたりして...あの時、俺は教える喜びをしったんだろうな。それ以来教師の2文字が頭を過ぎるようになった。
高校受験に合格し、高校の制服を着た彼女が俺に告白をしてきた。すぐに答えてやればいいのに、姉のほうと別れることをはっきりさせてからと、思わず時間をとったのがまずかった。
美弥子となかなか別れられなくて、変わっていく祥子を見ていて辛かった。
美弥子やその周りの奴らとつるまなくなってしばらくして、桜井と飲んでたときにその話を聞いてしまった。
美弥子は俺から祥子を引き離すために友人の桜井を使って落とした、いや酒に酔わせて無理矢理ヤラせたと...その後やけくそになった彼女が他の友人達と寝たとも聞いた。
俺は思わず桜井を殴りつけて、誰にも言うなと言っておいた。傷つくのは誰でもない、祥子だから。
もう、取り返しのつかない事実に、俺は彼女からも、美弥子からも離れた。
あの時躊躇したことがずっと悔やまれていた。今度、もし、同じようなことがあったら、絶対に引かないと、そう決めて...。
学校での彼女の態度は完全に無視だった。そりゃそうだろう。俺は彼女からしたら手ひどく振った男なんだ。だけど、時々その視線を背中に感じていた。
実習最終日、俺は打ち上げをどうするか小畠を探していた。奴は高校時代柔道部の主将、俺も剣道部の主将だった関係でよく知っている。特別仲がいいわけでもなかったが、まあ、盟友ってとこか?大学に入っても柔道を続けてるのはすごいと思う。国体に出て活躍してるのを見るのはうれしかった。彼は相変わらず体格に反して柔らかい雰囲気を持っていて実習中も男女問わず大人気だった。そんな小畠の籠もっている社会科資料室に見知った女生徒が入っていくのを見た。
祥子だった。
その時期、俺も相当数の女生徒に告白されていたのでぴんときてしまった。
またも、遅いのか?小畠はどうやら彼女がいるらしく、同じ実習生仲間から告白されても断ったみたいだし、携帯のメールチェックはこまめだったからな。まあ、まともに相手にされないだろうが、すぐ後に他の生徒が来たのですぐさまその場を離れてしまった。
けれども気になってしばらくしてから祥子の教室へ向かうと、友人に屋上に行くと声を掛けていたので急いで後を追った。
屋上のフェンスにもたれて、祥子は煙草を取り出して火をつけていた。
『高校生の喫煙は禁止されてるはずだが?』
すぐさまそれを取り上げかわりに吸う。ショートホープ、俺の吸ってる煙草じゃないか?
その後は、もう見ていればわかった。俺の言葉に反応してうろたえる様が可愛くて、突っ張ってるのが愛しくて...
気がついたら、好きだと告げて抱いていた。
前に告白された時よりも随分と女になっていた。あの時は、何も知らない身体に触れられなかった。
目の前の魅惑的な体が俺を誘う。
(くそっ、いろんな男がこのからだに触れて、そして...)
キスして触れただけで反応して溶けていく祥子の肢体。
止まらなかった、ここが実習校の屋上であろうとどこであろうと...俺の中にこんな嫉妬や独占欲があったのか?
触れた祥子のスカートの中は熱く濡れていた。指を入れていく...何人もと経験があるという割にはきつく差し込まれた指を締め付けてくる。
俺は祥子の脚を持ち上げると最奥まで突き上げた。まさか避妊具をもってるはずもなく、そのまま突き上げて激しく攻め立てた。祥子だけでもいかせてしまおうと思った。
気持ちは中々口には出してくれないから、体から落としてやろうと思った。卑怯でもなんでもいい。忘れられなくさせてやろうと思っていた。なのに...
『いやぁ、だめ、い、いっちゃう、いい、いくっっ!!』
『いけよっ、こんなに感じたことないだろ?もう俺無しでいられなくなってしまえよ!』
『あああああああああ!!』
『くっ、そんなっ!!』
祥子がイッタその締め付けで、俺はあっけなくイカされてしまった。
...信じられなかった。自分なら我慢できたはずなのに...
結局虜になったのは俺のほうだったんだ。
「祥子...」
「う、んっ...」
自分の部屋に連れ込むなりいきなり唇を塞ぎ、きつく抱きしめその身体の心地よい感触を味わっていた。いまだに玄関から靴すら脱いでいない。解き放った唇が酸素を求めて喘いでいる。祥子の身体はかろうじて俺の首に掛けられた手と腰に回した俺の手で支えられているだけだ。
まったくセーブの効かない自分の感情と身体に思わずため息が出る。
「壊わされそう...」
祥子が薄目を開けて俺を見て言った。
「壊してやるよ、壊すほど抱いてやる...」
「勇太郎?...女、いなかったの?」
「最近はな...けどいても同じだ。勘違いするなよ、体を抱きたいんじゃなくて、おまえだから抱きたいんだ。3年前に止まっていたのに...動き出したら止まらないんだ。」
今更ながらに自分が馬鹿に思える。屋上でしたことだってそうだ。
今まで自分はクールな方だと思っていた。女を抱いてる時も、試合で竹刀を握っている時も、いつだって冷静に考え行動してきたはずなのに...
屈み込んで祥子の靴を脱がせると、横かかえで抱き上げると部屋へと入っていく。
一瞬でもこのまま玄関で抱いてしまおうと思ったことは言わずに。
祥子の服を剥ぎ取るように脱がせた。
先に味わったとはいえ、はじめてみるその体のラインに満足しながら舌を這わせていく。
服の上から見た目以上に肉感的だった。これじゃ男が放ってくはずがないな。
またせり出してくる嫉妬心。
「やっ、勇太郎、強引過ぎるよ。あ、あたしまだシャワー浴びてない...それに、こんな明るいうちから...せめてカーテン引いて電気消してよっ!」
「うるさい...そんなことしたら祥子の体が見えなくなるだろ?ちゃんと全部、最後まで見せてもらうからな。」
「ううっ...ほんとに人格違いすぎっ!」
きつめの目がじっと俺を睨みつけてくる。それすら可愛く煽られてる気がする。
「おまえの前で繕う気はない。」
ぐいっと体を近づけてその目を正面から見据える。
「そんな...でも、すこしだけ優しくしてよ...」
「こんなに優しくしたことはないぞ?」
「えっ?これで?」
そうだ。これでも俺としては優しい方だ。まあ信じてはもらえないだろうがな。
「わるいか?その代わりおまえは今から俺の想いを身体で思い知るんだぞ。」
少々パニくってる祥子が可愛かった。昔の祥子そのままだった。突っ張って男慣れしてる風に振舞おうとして俺のペースに乱されて顔を真っ赤にしてる。
「あぁああっん、やぁ、そこは...」
じっくりと拝ませてもらった後、全身にくまなく舌を這わせる。それだけで祥子が溶けていくのがわかった。なのに脚の付け根に舌を這わせ始めると抵抗が強くなる。
「なんだ?まだ文句があるのか?」
「だって、そこ、さっき勇太郎が...」
「ん?ああ...そうだったな。まあ自分のだから構わん。他の男のだったら許さないがな。」
さっきはいきなり入れたんだと思い出して今日はたっぷり可愛がってやろうとその蕾に吸い付くと、祥子はすぐさま身体を仰け反らせた。
「だ、だめぇ...っ!あぁあ...」
可愛らしい声に加速する。そのまま何度も舌と指でいかせて、ぐったりとして目を閉じた祥子の頬を軽く叩いた。
「おい、こんなんで沈没か?」
「ま、まさかっ!...まだまだよっ!」
くっくっく、強気な台詞。いつまで続くのかな?ふらふらだぞ?
「じゃあ、今度は俺の番かな?」
「も、もちろんよっ!」
「お、おい、っ!」
いきなり俺の下半身に吸い付いてくる。ったく...それは面白くない。
与えられる快感に耐えて、気を逸らしてみせる。
「だめだね、こっちで満足させてくれなきゃな。」
「ふぐっ?」
彼女の口からそれを引き抜いて、準備し終わると、どろどろに溶けた祥子の中に突き立てる。
「あぁあぁーっ!!」
一気に昇り詰める。予想どうり彼女の中はきつく締め付けてくる。
今回はまず我慢と自分に言い聞かせる。
屋上のような失態はもう許されない。
「まだまだだぜ、これからだから...祥子っ」
なのに追い詰められていく自分の高まりに逃げられなくなる。
「勇太郎...好き、ずっと...」
俺に揺さぶられながらいつの間にか祥子が涙を流していた。
「祥子、泣くな...」
しょっぱい涙を口で拭ってまた動き始める。止まらない...
今夜いっぱい飽きるほど抱かせてもらおう。
他の男の影も、姉の美弥子からの呪縛も溶けたら、そうしたら話そう。祥子の話を飽きるほど聞いてやろう。そうしてまた話すことがなくなったらまた肌を合わせよう。
「もうっ、勇太郎っ!」
何度も復活する俺にいい加減体がついてこなくなったのか、祥子が睨みつけてくる。けれどもここまでついてこれる女も少ないんだけどな。
「じゃあ、聞こうか?いつから俺のことを好きだった?ずっと忘れられなかったんだろ?」
「うっ...勇太郎、そ、そういう勇太郎はどうなのよっ!」
「聞きたいか?だったら身体に聞かせてやるけど?」
「馬鹿っ!」
そういって布団を頭から被ってしまう。
「祥子、おれは数式を教えた時からだぞ...」
『ほんと?』
布団の中からくぐもった声が聞こえる。
「おまえは?」
『あたしは...』
顔をだしたので引きずり出して顔を覗く。
「はじめてお姉ちゃんが連れてきたときから...」
真っ赤になってそういった祥子を抱きしめた。
「逃げるなよ、俺から...」
「逃げないわよ、そっちこそ...」
「当たり前だ。」
『おまえに惚れてるんだ。』
耳元でそう囁くと、祥子は驚いた顔をして、その後顔を輝かせた。
俺が美弥子にも言った事なかったって知ってたのか?
キリリクをいただいてしまいまして〜。勇太郎はまったく続き考えてなかったのと、キリリクを下さったりかさんが好きなように書いてくださいとお任せだったので、ほんとうに好きなように書いてしまいました〜vv
短編一発目でいきなり屋上で(きゃ〜〜!)、そして姉による陰謀〜かなりその部分にご注目いただきました。ですので今回さりげなく姉と対決?そして勇太郎の欲望の続きというわけで、とりとめもなく書いてしまいましたが、このあとず〜っと離してもらえなかったのは間違い無しということで〜 では!
誤字脱字のを教えてやってください。 感想などいただけましたら嬉しいです! |
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