サイト開設半年記念アンケート集計結果〜第一位・教師と生徒〜   短編シリーズ

男の事情・女の事情

〜教育実習生の事情〜

男にも女にも恋をするのに理由なんてないけれど、その思いをすんなり告げられる場合と、そうできない場合がある。
わたし溝渕祥子も告げることが出来ない立場にあった。


公立高校に通う3年生。結構進学率の高い高校だけどそんなエリートコースからはとっくに離れてしまっている。腰あたりまである長い髪の色を抜いて茶色くしている。髪の手入れにだけは余念がない。男はたいてい長い髪が好きなのよ。えっちしてる時でもこの長い髪に嬉しそうに触れてくるから...
ナイスなボディに制服は改造版。短めのスカートに丈を詰めたブレザー、袖は折り返して、ブラウスのシャツは開襟、豊満な胸元を覗かせてる。すらりと長い足にこの胸の大きさにも男は喜ぶ。別に男好きでもなんでもなかったのにこの胸のせいでそんなレッテル貼られて、真面目にやってるのがあほらしくて本当の男好きになってやった。

「あぁ〜、誘惑失敗しちゃった。」
教室に戻るなり、側にいた野添香代子にそう声を掛けた。あたしの遊び友達。
「だから無理だっていったでしょ?小畠先生って去年卒業した来栖さんの彼女のお兄さんだって。あんな可愛い妹いたら女見る目も肥えてるわよ。真面目そうだけど、少しは女慣れしてるみたいだったよ。女生徒が寄ってきてもあしらい旨かったもん。だからやるんなら勇太郎ちゃんだって言ったのに〜」
「まさかあんな堅物...あいつだけはごめんよ!」
小畠和明と三井勇太郎は今年の教育実習生で、どちらも違ったタイプで人気を二分している。スポーツマンタイプで人懐っこい頼れる兄貴タイプの小畠と、眼鏡をかけて背の高いクールな勇太郎、先生にしてはちょっと口数が少なくて無愛想だけど、授業はよくわかると評判だった。
あたしは先ほど資料室にて、小畠和明教育実習生の誘惑に失敗した上に説教まで受けてきた。でも嫌な気分じゃなかった。あんな人が側にいてくれたら自分みたいな女でも上等な女になれそうな気がする。あいつは女の子を大事にすることを知ってる男なんだと思った。
普段から平気で男と遊んじゃうあたしからすれば珍しいタイプだった。あたしの周りにいるのは身体目当てで、ちょっと誘ったら、たとえ彼女がいたってほいほいついてくるような男が多い。女性に奉仕するよりさせて喜ぶようなやつとかね。実際えっちはいっぱいしたけど、気持ちいいことはいいんだけど、まだイッタことがない。指で無理やりイカされたことはあっても、やってる最中にイクなんて事はない。イッタのかな?くらい。不感症なんだろうか?ま、イッタ振りしてあそこを絞めてやると男はさっさとイッテくれるから楽だけど...

『愛のないセックスは空しいだけだぞ。本当に好きな相手を探してみろよ。その相手とするのが一番いいんだぞ?』
小畠が言った言葉がよみがえる。うん、それもわかる気がする...身体だけで、さっさと帰って行く男達。空しさしか残らない。でもこんなあたしを相手にしてくれるのなんてそんな薄っぺらい男ぐらいしかいないんだよ?
『体だけのセックスは何も産み出さないんだよ。溝渕もお互いが愛しいと思える相手を探してみろよ。格好つけなくっても、素の自分をわかってくれる相手がおまえにもいるはずだよ。』
そんな男いるんだろうか?こっちが望んでもそういう男にはちゃんと彼女がいたりするんだよ?あたしが好きになる男はいつも彼女がいる。彼女に優しくしてるのを見てるといいなぁって思う。あたしもそうされたくって見つめてると誘われる。それは身体だけの関係...だから遊びなれた男好きの女を演じると男達はほっとして自分の彼女のところへ戻っていくんだ。
『おまえはそういう男にしか当たらなかっただけなんだ。溝渕の周りにもいないか?手を出してこない男、一人でもいないか?』
一人だけいたよ、どんな状況でも手を出してこなかったやつ...でもそれはあんた、小畠和明ともう一人だけ。でも理由ははっきりしてる。あいつはあたしの姉貴の彼氏だったから...手を出しようがなかったんだよ。
『溝渕だって十分魅力的だ。そう思ってくれる相手出てくるさ。おまえだけを思って大事にしてくれる奴がな。それまで大事にしておけよ?もったいないぞ、おまえ十分いい女なんだからな。』
嘘でもそういわれて嬉しかったよ。でもさ、大事にすると興味ないは違うよね?


まだ男を知らなかった頃、一度だけ本気に好きになった男に抱いて欲しいと頼んだことがあった。
好きだとも告げた。気持ちがなくてもいいから抱いて欲しいと頼んだ。
けれども相手にもしてもらえなかった。だからその男の友人と寝てバージンを捨てた。その男は面白がって他の友人にもあたしを紹介した。あたしは結局その男の友人ほとんどと寝た。だけどその男だけは決してあたしに触れようとしなかった。それはあたしが彼女の妹だから...
その目はいつしかあたしを冷たい目で見るようになった。姉とも別れてもう逢うこともなくなったと思っていたのに逢ってしまった。
三井勇太郎、姉の恋人だった男。
あたしが好きになった男。あたしに決して触れなかった男...



その男が教育実習生としてあたしの目の前にいた。冷ややかな視線。すっかり遊び女の風体をしたあたしを蔑むかのような目。
悔しかった...あの時抱いてくれたらあたしはこんな女にならなかったかもしれない。
少し長めの黒い髪と銀縁の眼鏡。ひょろっと高い身長、無駄なものは一切身につけないような厳しさを持ち合わせていた。自分にも他人にも厳しい男だった...
見た目も清純そうで綺麗な姉にはどんな男でも甘かった。姉の微笑みに釣られて目じりを下げる男の中であの男だけは凛としていて、姉の我侭をたしなめることが出来る人だった。
だからこそ惹かれて、恋した...
もしかしたら自分をと思うほど優しく微笑んでくれたことが一度だけあった。何でもできる姉と比べて、いくら何を頑張ってもほめてもらえないあたしがたった一度だけ褒めてもらったことがあった。あれは中学3年の冬、無理だといわれてたけれども姉さんやあいつと同じ高校に行きたくて必死で受験勉強してここに受かった。わからない問題をこっそりあいつに聞いたりしていた。
合格を報告した時のあいつの優しい笑顔が嬉しかった。高校の制服を着て、大人になった気がしてあいつの元を尋ねた。
そして告白した。「好きだ」と。
姉がいることはわかっていたから1度だけキスして欲しい。抱いて欲しいとさえ懇願したけれども拒絶された。
それを盗み見ていた別の友人の男があたしを慰めてやるといって...あたしを酔わせて無理やり抱いた。空っぽのあたしはその時初めて男に言われた。
『おまえの姉貴よりもいい身体してる』と...
姉がその男に身体を許してるわけじゃない、その男はあたしを姉の代わりに抱いたんだろう。でもその時は嘘でもそういってもらえて嬉しかった。無理やりされたんじゃないと思い込んだ。あたしが魅力的だから抱かれたんだと...
でも誰もあたしに本気になってくれなかった。誘われるままに男と付き合ったけど寝たら終わりだった。一度寝たら寝るだけが目的のような振る舞いに変わる。少しでもいいなと思っていてもそこで冷めてしまう。それでも優しい言葉をくれる男が好きで、性懲りもなくついていく。でも身体目的の男達はあたしが少しでも本気を見せると逃げ腰になる。
遊ぶのに都合のいい女、それがあたし。
だから本当にそう振舞った。そうしていくうちにそれがあたしになる。あいつは間もなく姉とも別れた。姉は振ってやったと言ってたけれども反対のようだった。
それ以来あったことはなかった。なのに3年ぶりに逢って、でもむこうは変わり果てたあたしに気がつかない。名簿を見れば判っていただろうケド...どうせ思い出しもしないはずよ。


「あー、もうむしゃくしゃする!屋上行って一服してくるぅ。」
あたしはそういうと気分転換にと屋上へ上がっていった。
だれもいなかった...よしっと、煙草に火をつけてメールをチェック、最近は男と付き合うのも面倒で遊びにいく程度にしてるんだけど、今日はカラオケのお誘いが一件。でもこの男この間からやたら身体を狙ってきてるのが見え見えで嫌なんだよなぁ。小畠ちゃんのいうこと聞いて軽いお付き合いはやめようかなぁ...
「高校生の喫煙は禁止されてるはずだが?」
不意に出来た頭の上の黒い影。咥えてた煙草が抜き取られる。
「え?」
「箱ごとだしなさい。ライターもだ。」
唖然と見つめるあたしの煙草を自分で咥えて制服のポケットからまだ数本しか吸ってない箱を取り出した。
「勇...三井先生...」
「何でこんなきつい煙草吸ってるんだ?ま、俺がもらっておくけどな。」
煙草の銘柄はこいつと同じだったはず...あの頃勇太郎が吸ってた煙草。もうかえたんだろうか...
「溝渕、小畠のとこへ何しにいったんだ?」
はぁ?煙草注意しに来たんじゃないの?
悠々と手すりにもたれて煙草をふかしてる。こいつがヘビースモーカーだったのを思い出す。しょっちゅう咥え煙草だったあの頃...
「別に、いいじゃない...小畠ちゃんって先生がほんと天職だよねぇ。いい先生になれるよ。あんたは先生って柄じゃないけど?」
「そうか?人に勉強教えるのは嫌いじゃない。その面白さを俺に教えてくれたのはおまえだろ?」
「なんで、あたしが?」
「ああ...」
理由を言えよ!何でそこで黙る??無口なのは知ってるけど、ああだけじゃ判らないでしょう??
「こんなに変わったのは俺のせいか?」
き、急に何言い出すの?
「俺が勉強教えてた頃のおまえは可愛かったよ、一生懸命で、必死でやり遂げようとしていた。その手助けが出来て嬉しかったのに...」
「やめてよ、昔の話を蒸し返さないで!そんなに楽しい?昔手ひどく振った女がこんな女になってて...おねえちゃんと比べないでよね!!そうよあんたのせいよ!あたしは...」
「祥子ちゃん、俺は...」
「別にあたしが勝手に思ったことだから...おねえちゃんの彼氏に横恋慕したあたしが悪いんだから...」
「祥子...」
「もう過去の話!あんたはおねえちゃんと別れたんだし、あたしはまあ、いろいろあっただけなんだから...」
「そのこと、謝りたかったんだ。」
「はぁ?今時分?謝ってもらうようなこと何もないよ?」
「いや、あるんだ!」
急に勇太郎の声が大きくなる。彼には珍しく感情的な声。
「な、何よ大きな声出してあんたらしくないわね。煙草、黙っててくれるんでしょ?じゃああたし行くから...」
「待てよ!」
あいつの横を通り過ぎようとした時に思わず手首を掴まれた。
「おまえ、何も聞いてなかったのか??」
「な、なにがよ...」
「俺はあの告白の後すぐに美弥子に別れようって言ったんだ。なかなか承知してくれなかったけど、その間におまえは桜井と付き合い始めた...なんでかわからなかった。俺は美弥子と別れてからはあいつらともつるまなくなったから...いやつるめなかった。あいつらおまえのこと順番に落として遊んでたから...」
「そっ、それがどうしたっていうのよ!あたしの勝手じゃない!!」
桜井...しばらく誰のことかわからなかった。あたしの最初の男だ。お姉ちゃんの同級生、こいつの友人の一人。
「桜井がしばらくしてから話してくれたんだよ。桜井は美弥子、おまえの姉貴に頼まれておまえを無理やりモノにしたって...」
「う、うそっ!!」
な、なにそれ...おねえちゃんが?
「知らなかったんだ、おまえは自分の意思で桜井と付き合ったんだと...俺への気持ちはただの憧れだったのかと...おれは美弥子とちゃんと別れてからおまえと付き合うつもりだったんだぞ?」
そんな...しらない、そんなこと...頭がぐるぐる回り始めて自分の足元がわからなくなる。
「うそ...お姉ちゃんがそんなこと...それにあたし、桜井さんとは!無理やり...だったし、あたしは本気で...おねえちゃんの彼氏でもいいから欲しかった...三井勇太郎が欲しかったのよ!」
崩れ落ちそうなあたしの身体を誰かがささえる。それが勇太郎の腕だと気づいた時、身体の奥から熱くなるのを感じた。
「美弥子は俺をおまえに取られるのが許せなかったらしい。あいつは見かけとちがって中身は我侭な女王様だったからな。俺はそのしたで一生懸命頑張るおまえが可愛かった。さすがに妹にそんな仕打ちをする美弥子を許せなくて、その時きっぱりと別れたけど、おまえにはなんていっていいかわからなかったし、どんどん変わっていくその原因が俺で、仕向けたのが姉貴だなんて言えなかった。」
ベランダの手すりに押し付けられて、真上からあたしの顔を覗き込むその眼鏡の奥の目はいつもより細められていて...
「な、そのときの祥子の気持ちは、もうないか?...ここに来てから、俺はおまえを見ていた。自惚れじゃなかったら、おまえはまだ俺のこと...」
「そ、そんなはずないでしょう?」
「嘘をつくなら俺の目を見て言えよ。」
そらした目線を探られて、もう一度強引に引き戻される。
「だったらやり直さないか?出逢ったとこから...俺は教育実習に来て祥子とはじめて出逢った、そして一目惚れして、実習最後の日におまえを探し出して告白する。『好きになった、俺と付き合え』って...」
「ゆ、勇太郎...」
「ほら、さっさと返事しろよ?」
「そ、そんな言い方しないでよ!!」
ますます足元が不安になる。にやっと笑う勇太郎。そうだろう、だってすでにもう立っていられなくて、勇太郎に支えられてる状態なんだから...なのに混乱した頭と口からは反抗するような言葉しか出てこない。なんて正反対な気持ちと身体の反応。
「俺が優しい男じゃないのは知ってるだろう?お世辞もほめ言葉も言えない男だぞ?」
判ってるよ、それでも好きだった。1度だけ見せてもらったあの微笑一つで十分だった。
勇太郎があたしのためにおねえちゃんと別れようとしてたの?そのおねえちゃんがあたしを桜井さんに...頭がぐらんぐらんしてる。でもあたしはもう昔のあたしじゃない、やり直せるはずないじゃない...
「あ、あたしはもう何にも知らなかった女の子じゃないんだよ?男の数とセックスの数だけなら勇太郎なんかには負けないんだから。いくら4つ年上でもあたしを満足させられるはずないでしょう?あたしは男の子と寝ちゃうのなんか、なんとも思ってないんだから!それに...『男なんてやりたいだけの動物じゃない!抱いた後、後腐れがないように振舞って上げると喜ぶわ!やりたい時に相手してあげるとすっごく優しくしてくれるわ!それのどこが悪いの?女をみたら抱くことしか考えてない、隙あらば押し倒してくるだけじゃない!!』」
小畠ちゃんに言ったのと同じ台詞を言ってやる。それでどう返す?彼は自分のことも話しながらもあたしを生徒として納得させてくれたわ。勇太郎はなんて答えるの?
「おまえよっぽど当たりが悪かったんだな?そのうち誰か一人でもおまえに本気をくれたやついるか?」
「え?」
「そりゃね、おまえほどいい女なら抱きたいと思うだろうけど、おまえの本気はどこにあったんだ?祥子は満足したことないんじゃないのか?」
な、なんで...
あたしの本気は...ずっと、前に、なくしてしまってたよ...
勇太郎の手があたしの顎に掛けられて、俯いた顔を持ち上げられる。
いやだ、今の顔は見られたくないよ...
彷徨う視線をもう一度捕らえられる。
「もう中坊じゃないんだから遠慮しなくていいよな?」
鼻先まで近づいてきてそう囁く。
何する気?まさか、本気であのときの約束を果たすつもり?
「ね、勇太郎、ここ屋上だよ?それも学校の...」
「うるさい、だまれ...」
「んんっ!!」
きつく抱き寄せられてキスでふさがれた唇。今まで触れたくて触れられなかった勇太郎のキス...ゆっくり動いてあたしを優しく溶かし始める。言葉とは正反対なくらい優しいキスが何度も角度を変えながらあたしを飲み込んでいく。いつもなら嫌な相手の舌も、唾液も愛しくってもっともっと欲しくなる。
「あふっ、ゆうたろ...んっ」
抱きしめるその手があたしの全身を這い回りあたしが身体をよじるほど感じやすい部分を攻めてくる。首筋、鎖骨、わき腹、背中、腰のあたり...
「ひゃぁん、やぁ...」
制服の下から忍び込んできた手は下着を持ち上げて胸を弄りはじめる。
「あっ、ああっ...」
甘い声を上げ始めたあたしを嬉しそうに覗き込む。
「どうだ、たったこれだけの愛撫でおまえはどうなってる?こんなに感じたことあるか?」
あたしは悔しかった。だってその通り...触れてる手が勇太郎のだと思うだけでどんどん高ぶっていくんだもの。
身体の奥が熱い...
「こんなに濡らしちゃって、祥子、俺が欲しいんだろ?」
「ち、ちが...ああぁっ!」
否定の言葉が出なかった。あいつの指が下着の中に入り込んでぬかるんだ溝を嬲り、ぶすぶすとあたしの中に埋め込まれていく。1本、2本...快感を増すそれは動かされかき回され次第にあたしから意識を奪っていく。学校の屋上ですごい格好させられて、あたしは...
「このまま入れるぞ...」
片足を高く持ち上げられ、下着の横からあいつの熱いモノが入り込んでくる。
「あああああっぁっぁぁ!!」
いきなり最奥まで差し込まれてあたしは自分の身体が支えられなくて崩れ落ちそうになってはあいつに抱えられていた。
「くっ、これで経験ありか?きついな...」
「あっ、あっ、あっ....」
激しくゆすぶられ始めてあたしは自分でどうすることも出来なくなっていた。
あいつがあたしの中にいる。それだけでもうたまらなかった。その塊に擦られるたびに高い声をあげてしましいそうになるのを必死で絶えていた。重なった切ない部分があいつが動くたびに擦られてたまらなくなる。
「いやぁ、だめ、い、いっちゃう、いい、いくっっ!!」
仰け反る首筋に勇太郎の唇が噛み付く。
「いけよっ、こんなに感じたことないだろ?もう俺無しでいられなくなってしまえよ!」
「あああああああああ!!」
がくがくと震えるとあたしのそこも収縮を激しくしてしまう。
「くっ、そんなっ!!」
あたしから引き抜くと熱いものが太ももの裏側にびったりとかかったのがわかった。
「俺のほうが、やばいか...」
「ゆ、勇太郎...」
「おまえ、生でやってるんだから遠慮しろよ。ったくあんなに締め付けられたら我慢できないだろ?」
勇太郎はかがむと、ポケットからハンカチを出して自分の出したそれを丁寧に拭った。立ち上がるとあたしをゆっくり抱きしめた。
「3年間ずっと忘れたことなかった。あの時、ほんとうはこうして抱きたかった...」
「あ、あたし...」
「おまえがいい女になるための3年間だと思うさ。その代わり今日からは俺に束縛されるんだ。」
あたしは勇太郎の胸に顔を埋めて泣いていた。心も身体もおかしくなってしまって、涙腺もおかしくなって、涙が止まらない。
それに、終わったあと、こんなに長く抱きしめられるのは初めてだった...

「これで終わりじゃないからな?」
そういうとあたしのポケットから携帯を取り出してさっさと何かを打ち込んだ。勇太郎のポケットがぶるぶると震えた。
「帰ったら迎えに行くから家で待ってろ。今日は俺のとこに泊まるんだぞ?」
「そんな急に...」
いいのかな?今日で実習終わりだからって...勇太郎教師を目指してるんでしょう?
「ちょっと今おまえを抱いた男達に嫉妬中だ。これが納まるまで覚悟しておけ...」
眼鏡の奥の冷たい目が優しく細められた。

あたしの終わったはずの恋が、もう一度動き始めた。

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やはりやってしまいました。同じく教育実習生の三井勇太郎です。相手は和せんせを誘惑しようとした溝渕さん。使いまわしすぎ〜〜これで1位ってごめんなさい。そのうち和兄先生と真名海の教師と生徒シリーズ連載しますので。
次は2位の年上男性と若い女の子。やっぱり中村か??(笑)また不定期でこういうUPの仕方するかもです〜♪