HOMETOPNEXTBACK

社会人編

37
〜甲斐・2〜

「さてと、本日の業務も終了っと。どうだ、史仁。今夜飲みに行かないか、奢るぞ?」
「悪い……これ、もうちょっと片付けてから帰るよ」
「そっか?じゃあ、お先な」
水嶋さんはたまにこうやってオレを連れ出そうとする。ここのところあまり出歩いてないのを知っているからだろう。どうせ着いて行っても、朱理が待ってるって寸法だろ?今はあいつの顔を見るのも、あいつの愚痴を聞くのもちょっとしんどい。オレは何度か仕事を口実にその誘いを断り続けていた。それに、今は仕事が楽しい……というか、打ち込めるものを見つけたおかげでようやくバランスを取ってるって感じだ。
一人になってしばらくは、あの誰もいない部屋に戻るのが嫌で毎晩の様に夜の街に出掛けていた。喧噪の中で酒を浴びるほど飲んで、煙草の煙で涙を誤魔化し、最後は声をかけてきた女とホテルにしけ込んで糊のきいたシーツの上で甘い香水と女の匂いに包まれて眠る。昔みたいに乱れてただれた生活に戻ってしまっていた。だけど、幾ら女の中に潜り込んでも、夜通し女を鳴かせても、カラダも心も満足できなかった。
判っていたはずだった。そんなもので満足できないことは、高校を卒業した時に一度経験していたのに……
ありがたいことに、すぐに研修が始まって、忙しくてそれどころではなくなった。配属先が決まるとまた仕事を覚えるまでが大変だった。必死で仕事覚えて、気を遣って……帰ったらぐったりと泥の様に眠った。その後も慣れたら慣れたであの人が……水嶋さんが色々オレに仕事振ってきて扱き使われていた。今じゃすっかりあの人の部下状態だ。ま、仕事が出来る人だし、側にいて勉強にもなる。おかげで1年目にして出来る社員として上司の覚えもよく、こうやって自分で仕事を見つけて残業することだって出来る様になった。忙しく仕事をしていれば、早くにあの家に帰らなくて済むから……

カチャリと鍵を回す音、ドアを開けても真っ暗な部屋。
一年前は、ドアに鍵がかかっていることはあまりなかった。出不精の志奈子が必ず家にいて、電気のついた温かい部屋で迎えてくれた。台所からは夕飯の匂い……それがどれほど自分が欲しくて、手に入れられなかった物だったか。子供の頃、友達の家に遊びに行くと見せつけられた。うちにはない母親の存在、温かな家庭の匂い。志奈子はソレをオレにくれていた。だけど今は……
コンビニで買った弁当をレンジで温める。インスタントのみそ汁は志奈子が作ったのよりもしょっぱいけれども、封を破ってそれにお湯を注ぐ。
もう……戻ってこない。幾らこの部屋で待っても……
部屋のあちこちに志奈子の姿が浮かんでは消える。あれから……この部屋に女を連れ込んだことはない。あの広いベッドに一人で眠ることもない。彼女が残した小さなベッドにカラダを丸めて潜り込む。
「志奈子……」
あの柔らかなカラダ……白い吸い付く様な肌。セックスしている時だけ素直になって……オレを求めて離さない彼女。無意識に何度もオレにしがみついてきた。
「あぁ……」
熱くなる下肢に手を伸ばす。志奈子を思い出しながら自分でこうするのにも慣れた……
「うっ……あぁ……しな、こ……」
女を誘えば簡単なのに、最近じゃそれすらもあまりしなくなってしまった。
すっかり変わってしまったオレの生活……
――――もしも、あの日……あのカップルが偶然にも資料室に入ってこなければ、オレは志奈子を抱くことはなかったかもしれない。こんなにも志奈子じゃなくちゃいけなくなるなんてことなかったかもしれない。
オレは……いつからこんな風になったんだろう?
あの時は、もっと気軽な気持ちで彼女に……委員長につい手を出してしまった。ただそれだけのはずだったのに……



〜資料室〜
「あんっ……やっ」
志奈子と二人、教師の言いつけで資料室にテキストを返しに入っていた時、オレたちが居ることに気づかず資料室に突然入ってきたカップルは、その部屋の鍵を閉めるといきなりヤリ始めた。
目の前で繰り広げられる淫らな行為。他の奴がヤッてるとこをマジマジと見るなんてあまり無いことだけど、普段自分がヤッてるのとさほど変わらないはずだ。ただ、こうやって隠れてみていると興奮するものだと思った。特にオレの前で身体を硬くしてる委員長は……身体を硬く緊張させて息を呑んで目の前の行為にどう対処していいかパニクっていたと思う。どう考えても性的な事は未経験そうだ。耳元で小さな声で名前を呼ぶだけでカラダを強張らせ、大声を上げそうな勢いで反応するので思わずその口を手で塞いだ。
その時、オレは彼女の反応に思わず興奮を覚えた。
わずかな呻き声……その見た目からは想像もつかない艶っぽさを彼女の後ろ姿から感じた。目元が挙動不審に揺れ、自分がどうされるのか不安で、縋るようなその目に支配欲がもたげたのは言うまでもない。そして、身体を引き寄せて初めて気が付く。ぽっちゃりしていると言っても太ってるわけではなく、いい意味で肉付きがいいだけなのだと。痩せこけたモデル体型になりたがる女達と比べて、後ろから軽く抱きしめてもその抱き心地の良さがよく判る。ガクガクと膝を震わす彼女をそっと床に座らせ、いったいどうしたものかと考えた。
目の前のカップルは女の制服をはだけさせ、スカートの中に顔を突っ込んでソコを舐めていた。どうやら本格的にセックスするつもりのようだった。そんなもの見せられて女も興奮するものだろうか?この真面目な委員長はソレを見ていったい今何を考えてる?目の前の女生徒と同じ目に遭わせてやったらどんな反応するのだろう?普段のくそ真面目な仮面を引き剥がしたら、いったいどんな顔が現れるのだろうか?
目の前の女の反応を委員長にすげ替えるとヤケに興奮した。同じようにされた時、彼女がどんなセックスをするのか……思わず『見たい』と考えてしまった。
さすがに今まで委員長みたいなタイプと付き合ったことはなかった。大抵は自分から誘うことに自信のある見た目も整った女で、当然の様に経験済みで、オレとのセックスを楽しみにしているような女ばかりだった。だから今まで経験の無い女に手を出すのは躊躇していた。本気になられても困るし痛がられても面倒だから……オレは本気の恋なんて知らない。いや、自分にはそんな感情は生まれつき備わって無いと思っていた。適当に寄ってくる女の中で食指の動くタイプと付き合ってヤレればよかった。だからこんな感情は自分でも珍しい。男性経験のないだろう彼女に手を出したら、後々面倒なことになるかもしれない。だけど委員長が少しでもその気になっているのなら、ちょっとぐらい手を出しても構わないんじゃないだろうか?
『わたしには恋愛なんて必要もないし、一生するつもりもないから』
確かに彼女はそう言っていた。だったら……カラダの関係だけならどうだろう?恋愛が面倒なら、セックスが気持ちいいことを教えてしまえば、委員長のカラダだけでも堕とす事ができたら……咄嗟にそんな卑怯なことを考える。
目の前の淫猥な情景、部屋に籠もる女の嬌声、今にも聞こえてきそうな水音。オレの吐息にさえ反応し、羞恥に震える彼女……意外とたやすく落とせるかもしれないと思った。おまけにその感じやすい身体を隠そうとカラダを捩るから、余計に密着しているオレの嗜虐心を煽る。色白な首筋を真っ赤に染めて、抑えた口元からは熱く荒い息……間違いなく彼女が興奮してることは判っていた。その耳元にふっと息を吹きかけただけで彼女のカラダはびくりと震え、敏感に反応するのをいいことに、オレは躊躇することなく行為を進めた。文句を言ったとしても後の祭り。今の彼女は声を出すことも出来ないはずなのだから。

その身体を逃げられない様腕の中に絡め取り、耳元首筋……女が感じやすそうな部分全てに触れるか触れないかの愛撫を施す。それに一々敏感に反応する感じやすいカラダ。耳元でオレが囁く言葉にまで反応して、終いにはくったりと床に腰を落としてしまった。
『すごいね、ここまで反応いいのはじめて見た』
そう言った時にはもう、彼女からは何の抵抗も反論もなかった。まだ肝心な場所には指一本触れていないというのに……
オレはおもしろがってその身体に手を伸ばした。制服のブラウスの上からでも判る、見た目よりもボリュームのある胸の先を尖らせている委員長。目の前で男に吸い付かれてる女と呼応するように感じまくる。
『見たいな』
ボタンを外して開いた胸は白いシミひとつないなめらかな肌。少し興奮して湿り気を帯びて、もちもちと吸い付くようだった。
マジで気持ちいい……
いつまでも触っていたくなるようなこんな肌は、今まで抱いた女の中には居なかった。
目の前の女はすでに足を広げて、男に突っ込まれて喘ぎはじめた。やりまくるカップル達に反応したのか、オレに触れることを許した彼女。手を伸ばした先、女の部分はすでに下着の上からでも判るほどに湿り気を帯びていた。耳元で目の前の女がされてることを実況中継するだけで下着の中を濡らす真面目な委員長。彼女がただの女であることを実感させる。それを認めたくないその悔しげな表情とギャップがオレを誘った。
『委員長も欲しくなった?』
匂い立つような女の香りが鼻腔をくすぐる。最初はコロンも付けていない清潔なソープの香が新鮮だったが、その奥に隠れた甘い、彼女独特の体臭のような香りにオレは酔った。目の前のカップルと彼女に煽られ、オレは下半身を硬く昂奮させて、それを彼女の腰に押しつけた。目の前のカップルの絶頂にあわせて、彼女の突起を下着の上から擦る手を強くする。
感じている……真面目な委員長が、オレの指で……
自慰ぐらい知っていたのだろう。彼女のカラダはほんの少し触れただけで震え、そして反応した。

「ああ、でる、出すぞっ!」
「あ、あたしもいっちゃう!!いく、いっちゃうぅ!!!」

目の前のカップルが声を上げてカラダを反らして最後の瞬間を迎えたと同時に、オレに下着の上から秘部の突起を擦られた委員長も手足を緊張させてオレにしがみついたままイッたのが判った。だけどオレは意地悪く指の動きを止めず、刺激を続けた。案の定、イッたきり降りて来れない彼女は、抑えた手のひらにかかる息も止まるほど息を詰めて昇り切っていた。
処女なのに……なんて感じやすいんだ?思わぬ宝物を見つけた子供の様に、オレはやたらと興奮した。
後始末をすませて出て行くカップルを余所に、オレはその指を彼女の下着の中に忍ばせ、濡れた襞をかき分けてその中につぷりと埋め込んだ。
「あっ……ん」
口元を解放してやると甘い、真面目な委員長からは想像も出来ないほど可愛らしい声が溢れた。
「委員長、ここ、すごい……」
未だにオレの指を締め付けて感じまくる膣内を擦り上げれば上げるほど、彼女は溶けた……
「気持ちよかった?委員長」
「んっ……ふっはぁ……」
もう声も出せないほど感じてる委員長。オレはもう途中で止める気なんかなかった。そうだ、俺が誘ったんじゃない……彼女が誘ったんだと自分に言い訳した。彼女のカラダがオレを欲しがってるからしてやるのだと。
「続き、する?」
そう聞いたオレに無言で頷く委員長。オレは、委員長が快感から冷めて気が変わらないうちに抱いてしまおうと、急いでドアに駆け寄り内側から鍵を閉めた。急に誰かが鍵を開けて入ってきたとしても、ここなら見つかりにくいと、さっきの本棚の間に制服の上着を敷いて、その上に委員長を座らせた。
色っぽく上気した頬、潤んだ瞳に半開きのぽってりとした唇……普段は三つ編みに黒縁の眼鏡で判らなかったけれども、今その素顔は女の顔をしている。化粧っ気ひとつなくても、十分……大人の女に見える。オレはその眼鏡を外し本棚に置いて、誘うように開いたその唇にキスをした。
柔らかい……口紅もリップもついていないナチュラルな感触をゆっくりと味わう。舌先を滑り込ませようとしても拒否したかのように閉じた唇は、彼女がキスになれていないことを示している。そんな彼女にオレは舌を出させて吸い付き、口内をねっとりと味わい、彼女の腰が溶けはじめているのを確認してほくそ笑んだ。幾ら真面目な彼女でも、もうあらがえないほど快楽の海に溺れ、その全てをオレにゆだねている。感じやすいカラダというのは、こんなにも理性を脆くさせるのか?オレに弱点を見せまくってくったりとする彼女がすごく可愛く思えた。
オレは委員長の髪をほどき、床にゆっくりと押し倒した。色も抜いていない見事な黒髪が床一面に広がるようだった。
マジで色っぽくて……不安そうな顔で男の嗜虐心を誘う小悪魔の様にも見えた。
「委員長のこんな姿、オレ以外誰も知らないんだろうな」
そう、だれも知らないだろう。彼女のこんな素顔は……誰にも見せたことがないはずのその白い肌は、驚くほど触れると心地いい。オレだけが知っている、真面目な委員長の淫らなカラダ……そしてこの肌。いつまでも触れていたくなるような心地よさにオレは酔った。
「なんだよ、コレ、無茶苦茶、気持ちいい」
その白い肌を褒め称え、頬ずりしながら愛撫を繰り返す。だけどあんまり余裕がない、オレの方が……先ほどから痛いほど立ち上がった股間の勃立が先走りの体液をこぼして、下着を汚しかねない勢いだった。このありえないシチュエーションと委員長の色気にあてられて、オレはこれまでにないほど興奮していた。そろそろ限界とボクサーパンツを膝まで降ろすと、オレの股間を凝視した彼女はいきなり飛び上がらんばかりに目を見開いて怯えた表情を隠さなかった。何度も首を振る彼女を宥め賺す。そりゃ初めてで怖いというのも判る。だからこうやって嫌がられるのが面倒で今まで処女は避けてきたんだ。けど今更、ここでお預けされても困る。こっちは早く彼女の中に入り込みたくてしょうがないのだから。
一生恋愛もしないと委員長は言ったけど、この感じやすくて触り心地のいいカラダを、一生くそ真面目な服の下に隠し続けるつもりだったのだろううか?それはもったいなさ過ぎるだろう?いくら彼女がそのつもりでも、誰の物にもならないなんて保証はないんだ。もし誰かが委員長の気持ちいいカラダの秘密に気が付いたら……この肌のさわり心地を知ったら?気が付いた奴が無理矢理にでも手に入れるかもしれない。
嫌だ……誰にも渡したくない。最初に気付いたのはオレなのだから、最後まで手に入れる権利は自分にあるはずだ。この女は……委員長はオレが自分の手で女にしたい。きっと今を逃したら一生……触れる機会はないだろうから。

委員長のソコは、指で弄っただけでもかなり濡れていたが、念のため舌でもう少し濡らしてやった。中を擦り上げ、突起に吸い付くとイイ反応を見せてくれる。もうそろそろいいだろうと、オレは避妊具を付けて彼女の中に入ろうとした。
「お願い……やっぱり……」
オイオイ、ここまで来てダメは無いだろう?だけど本気で逃げようとしている様にも見えない。
「泣いてもやめない」
オレはそう言いながら行為を進める。無理矢理相手の合意無しでのセックスなんて今までしたことはない。たとえ入れた途端泣き出したとしてもオレは止めるつもりはなかった。後なんて、次なんて無いのだから。今しか……委員長のこのカラダを味わえないなら、そのチャンスを逃がすつもりはなかった。そう、たとえ泣き叫んでも……今のオレはひどくサディスティックな気持ちになっていた。これだけ濡れてるのに、これだけカラダは感じてるのだから……そりゃ処女を失うのは怖いだろう。たぶん、かなり痛いだろうけど、それだけで終わらせない自信もあったし努力もする。どうやら真面目な委員長と淫らなカラダとのギャップが最後の壁になっているようだった。それなら強引に行くしかない。ただ、このまま無理矢理押し入って大声出されても困るから、オレは再び彼女の中に指を差し入れてかき混ぜ、その濡れ具合を彼女に見せつけた。
「目、あけて……ほら、委員長のココ、もうぐちょぐちょ」
欲しがれ、オレを……そうすれば、お互いに気持ちよくなれるはずだ。不思議とそんな確信があった。だけどいい加減こっちが限界で、ようやく抵抗を止めた彼女の中にずぶずぶと己の猛りを埋め込んでいく。
「んぐぅ!!やっ、痛っ!!」
カラダを不安で緊張させてるせいか、それとも痛みのせいか、彼女の中は無茶苦茶キツかった。処女独特の締め付けに加えて、途中で引っかかってなかなか進まない。だけど彼女の膜はオレが破る……それは不思議な優越感だった。
「息しろ、力抜いて、」
「やっ、痛いっ、痛いの!」
最奥まで埋め込む為にそう指示するけれども、さすがの委員長も半泣き状態だ……その顔がやけに可愛くて、嗜虐心をそそった。こっちが痛いほどの締め付け……だけど、痛がる彼女の中に押し進める感覚は酷く興奮した。無理矢理でもないが、ほぼそんな感じのする行為。なのに馬鹿みたいにバージンが初めてだからといって言い訳するオレ。だけど止められるもんか!こんなイイの……予感はしてたんだ、抱いたら凄いだろうなって。ギャップも含めてだったが、それ以上にキツくて気持ちいい。少しは緩めてくれないと奥まで入らない。彼女の最奥を攻めてみたかった。
「ここまで来てやめられない。そうだろ?委員長だって……」
初めてなのに、こんなに濡れて感じているのだから。そう言って優しくキスをはじめると、彼女のカラダは溶けていく……初めてでこの反応、極上の身体。
「な、委員長……船橋、名前なんて言うんだっけ?下の名前」
下の名前はさすがに知らなかった。
「し、志奈子……っあ」
彼女が応えた瞬間、奥の奥まで己の勃立を埋め込んだ。
「ひっ」
たまらなかった……ビクビクと震え、真っ赤な、まるで生まれたての子羊でも食ってる気分だった。いや、食われてるのはオレの方か?無意識に締め付け、オレから搾り取ろうとする彼女の内側……
その後はもう夢中だった。出来るだけゆっくりと腰を使ったつもりだったが、頭が痺れるほど気持ちよくってかなり無茶したと思う。そう言えばここのところ望まれてセックスすることはあっても、自分からしたいと思うことは少なかった。こんなに愛撫を丁寧に施し、入れたいのを我慢してセックスしたのって久々じゃないだろうか?
「くっ……イイ、志奈子の中、すげ、いい……」
思わず何度もそう呻いてしまうほど……よかった。出したいけど、出したくない、みたいな……たぶん、もうこんな機会はないだろうから。彼女みたいな子が一時的に流されてこうやってオレとセックスするのは、たまたま今日、こんなシチュエーションだったからで、次はもうない……そう思うと動くのも惜しくて、動かないのも辛かった。
「やぁあ、壊れ、る……やだ……っ」
可愛い声を上げて、オレにしがみついて……痛み以外の感覚に溺れはじめる委員長。
「イキそう?」
「ん……わかんない、わかんない、けど……やぁっ!」
子供みたいにその手を伸ばしてくる委員長。オレはそれを握って安心させてやった。
オレは……もう限界、イキそうでたまらなかった。腰の動きも止まらない、まるで覚えたてのガキみたいに腰を突き上げて彼女の中を味わっていた。問いかけると無意識に答えるほど無防備な彼女……感じているのだろうか?それとも痛いから?凄く素直で……可愛くて、その手を握りしめて恋人同士のように見つめ合って、それから……
「志奈子、も……っぁあぁぁ!!」
「あぁ……っん!!」
腰を激しく動かして、得られるだけの快感を感じながら、限界を超えてオレは果てた。我慢しきった射精は腰から脳を痺れさせた。
オレは……その身体に溺れた。もっと抱きたい……もっと楽しみたい。場所も場所だし、さすがに初めての相手に何度もというのは可哀想だ。だけどどうすればいい?彼女がまた抱かせてくれるかどうかなんて、無理な話なのに。


余韻がキツイタイプらしく、委員長は行為が終わった後もなかなか身体を起こせないでいた。彼女の身体を気遣いながらも、頭の中ではどうすればもう一度この身体が抱けるだろうか?そんな事ばかり考えていた。オレの腕の中でぐったりとしてる彼女……まだ少し震えているようだった。オレは彼女の腕をさすり落ち着かせてやった。こんなこと……抱いた後、女にしたのは初めてだ。ようやく落ち着いた彼女が『大丈夫』といって身体を離し、ゆっくりと衣服を身につけていく。
凄い落差だった……さっきまで腕の中で喘いでいた彼女が、眼鏡をかけ、髪を三つ編みに編み直してもとのお堅い委員長に戻っていく。
「気にしないで。お互いえらいもの見ちゃったわよね」
彼女はそう切り出してきた。いや、違うオレが話したいのはそんなことじゃない。だけど彼女は気にしないでを繰り返した。女にも性欲があるだの、たまたまだの……後で付けた理由だって事ぐらいオレにも判る。確かに彼女は流されていた。もちろんそう仕向けたのはオレだ。
「カノジョいるだろうに申し訳ないコトしたわね」
またこんな関係を続けたいというオレの申し出はこの言葉のせいで言い出せなくなってしまった。
そう、オレには他校に彼女がいる。誘われて行った合コンで申し込まれて、OKした。私立のお嬢様高校の可愛い子だった。だけど自分から申し込んでくるぐらい自分が可愛いって自覚はあるみたいで、今までも結構遊んでるらしい。実際、高校生のオレと付き合いながらも、車を持っている大学生も便利にキープしてるらしかった。いくらなんでも高校生じゃ車も持ってないから、じゃあ大学生もって所だろう。別に他に彼女がいなかったから付き合っただけの、いつものカノジョだった。真面目な委員長からすれば『付き合う』とか『カノジョ』っていうのは特別な関係に思えるのかもしれない。
『いい経験になった』『気持ちよかった』『抱かれるのは好き』彼女は繰り返す。まるで自分に言い聞かせる様に。バージンを早く捨てられてよかったとも……
なんだよ、痛い経験はさっさと済ませて、他の男にそのカラダを抱かせる気なのか?

「ほんとありがとね」
ありがとう?お礼言われるようなコトしてないぞ?
「今日のことはさっさと忘れて。わたしも忘れるから、誰にも言わないでね。甲斐くんも困るだろうけど、お互い受験の時に内申落としたくないでしょ?」
忘れろって?あの身体を?さわり心地のいい……抱き心地のいい、あの身体を?内申がどう関係するって言うんだ?そんなもの盾にしてまでオレとセックスしたことをなかったことにしたいのか?だれにも知られたくないなら……
「バレたら困るんだ?」
「え?」
彼女は吃驚した顔をしていた。
「また、いいか?オレとこんな関係になったって、バラされたくなかったら……」
もう一度抱く為に、オレは脅迫めいた言い方をして彼女を黙らせた。必死でなにやら言ってくるけれども、身体の相性もいいみたいだとか、抱くのが好きだと言ってやると、唖然としていた。
自分でも気が付いてないのか?初めてであんなによがっておきながら……
「そりゃ、わたしも、気持ちよかったけど……やめておいた方がいいわ」
「そんなこと言っていいの?その感じやすくて、処女なのにイッちゃうような淫乱な身体、持て余すんじゃない?一生恋愛も結婚もしないなら余計にさ」
わざと彼女を貶めるような言葉を使った。いくら後で言いつくろっても、オレの愛撫に答えていたのはその身体だ。感じてイッテ……よがっていたのは委員長なんだ。だから……
一瞬、委員長の能面のような顔が歪んだ。何かしら彼女を刺激するキーワードのようなものをオレが言ったのだろうか?それがわかれば……また抱けるかもしれない。
「その気になったら言ってよ。いつでも相手するからさ」
牽制しながらそう言ったオレに、委員長からは意外な言葉が返ってきた。
「そうね、その時はお願いするわ。身体だけの関係ってことで」
なんだよ……セフレならOKってことなのか?恋愛はしないけれども、身体だけならいいっていうのか?
真面目な委員長からは想像も出来ない言葉だった。それほど……恋愛や結婚は必要ないと思ってしまっているのだろうか?オレのように……

再び表情の読めなくなった彼女は立ち上がると床に敷いたオレの制服の上着を見て真っ赤になった。
なんだ、可愛いじゃんか……普通に女の子みたいな顔もするんだ?恥ずかしがりながらもオレの制服に付いた彼女の破瓜の証を洗い流して済まなそうにオレに渡してくる。
「じゃあ、さようなら」
教室に帰ってカバンを取ると、昼飯でも誘おうと思っていたオレを無視して彼女は教室を出て行った。今は追わなくてもいいだろう、次……身体だけの関係でも、あの柔らかい身体が抱けるんだ。それなら……オレはゆっくりと彼女に追いつかないように気を遣って教室を出た。
思い出しても思わずにやついてしまうほどのイイ出会い……ラッキーだったよな?あの身体が面倒な付き合い無しで抱けるんだ。女なんて慣れれば強請って、図々しくもなってくる。身体だけの付き合いの方がどれだけ楽だろうか?初めてのセックスの後であれだけの態度の取れる賢い委員長はその相手にちょうどいいと思えた。それにセフレだったら、無理に今の彼女と別れなくても済む。こちらから別れを切り出すと女が煩い。いつだって申し込まれれば受けて、向こうが別れを切り出すのを待つ、そんなやり方が一番揉めずに済んだ。
真面目な委員長がセフレか……それもまた抱きたくなるほどのいいカラダ……これから色々とセックスを教え込むのが楽しそうだ。覚えも良さそうだしな。
当時のオレは、彼女のことをその程度にしか思っていなかった……いつでも抱ける、そしていつでも離れられる<セフレ>が出来たくらいにしか……
BACK   HOME   TOP   NEXT

気に入ったら押してやってください。投票していただけると励みになります。

 
ネット小説ランキング>【年齢制限】部門>せ・ふ・れに投票

 

Photo material By