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〜プロローグ〜
 
「あっ……」
 
ぎしりと、ベッドが軋む。
わたしのアパートにある安物のシングルベッドの薄いスプリング。
慣れた体位で彼のモノがわたしの中に入ってくる。
だけど、ソレはいつだってわたしの身体とは違うモノで、こんなに抱かれているのに慣れなくて……
熱くて堅いソレはわたしの中でさらに膨張する。
ゆっくりとした動きで、知り尽くしたわたしのナカを擦りあげ、追い込んでくる。
 
「相変わらず、キツイ……いいな、志奈子の」
 
それは誰と比べてるんだろう?今まで抱いた女の人?それとも今の彼女?
 
「ふっ……んっ」
 
声を押し殺す。ここはわたしの部屋で、隣には大学生の男の子が住んでいる。
 
「また、声、我慢してるのか……ここを、こうされるとダメなクセに?」
 
ぐいっと膝を持ち上げられ、胸まで押し広げられる。
 
「あぁぁっ!!だ、め……そんな、やぁぁっ!」
 
奥まで押し込まれて息が苦しいほどの圧迫感。そして引き抜くときにお腹側の壁を擦って抜き差しをはじめる。
大きな腰のグラインドにわたしは翻弄され、声をあげ、乱れ、昇りつめ、膣を収縮させて彼のモノを締め付ける。
その快感に耐え抜いた彼は、ヒクヒクと余韻に犯されるわたしを満足げに見下ろした後再び動き始める。
 
「やぁ、も、だめっ、イッタから、ゆるしてぇ……」
 
激しく腰を打ち込まれ、わたしは高みから降りられずにまた昇らされる。
 
「やぁああ!も、だめぇ……いいの、いいの、甲斐くん、ああぁっ!」
 
涙と涎がこぼれていく、ひっくり返されて後ろから射精体勢に入った彼が、すっと手を伸ばしてわたしの敏感な蕾をコリッと潰した。
 
「い、ひぃっ!!!」
 
息が詰まるほど身体が痺れて、指先の酸素がなくなっていく。
 
「うっ、やっぱ、志奈子、すげぇ……出すぞ、もう、あぁ……っくぅ、」
 
今日は後ろ向きだから見えないのが寂しいけど、彼のイクときの表情が好き。
ぞくりと、痺れるほど艶っぽくて綺麗……
そう、彼は綺麗な顔立ちをしている。わたしなんかとは比べものにならないほど。
 
「あっ、くっはぁっ」
「あっ、んっ」
 
彼のモノが一瞬大きく膨らんで弾ける。ドクドクとわたしのナカに注ぎ込まれる彼の体液。
その刺激で又身体が喜んでしまう。
搾り取るように収縮するわたしのナカに、彼は満足そうに全てを吐き出して、その身体をゆっくりわたしの隣に横たえる。
 
「はぁ、はぁ……」
 
互いの胸が上下する。汗ばんだ肌がかえって心地いい。
自分の身体がそんなにいいのかどうか判らないけれども、彼はこの身体を抱くのが好きと言った。
確かに彼とのセックスはいいと思う。他を知らないから比べようがないけれど、いつだってわたしの身体は満足している。
 
「おい、こっち」
 
差し伸べられた片腕がわたしの身体を取り込む。色白でぽっちゃり系のわたしの肌は触れてると気持ちがいいらしい。
彼のお気に入りだ。特に行為の後のわたしの肌は、上気してしっとりとして吸い付くようだという。
そのままの体制で薄目をあけて眠る彼の横顔を見つめた。
すっとおりた鼻梁、切れ長の涼しげな目元はかなり綺麗な顔立ちだ。伏せた睫毛は意外にも長く、肌も綺麗で、細い顎に綺麗な形の唇は、ほんの少し、女性のようにすこしふっくらとしてて、ぞくりとするほど牝を惹き付ける。
艶っぽいって言葉を男に使っていいならば、彼に使うのが正しいと思う。長身で姿勢のいい身体は、触らなくても引き締まった筋肉の持ち主だと判る。
実際綺麗な身体をしている。
なんの運動をしてたかなんて、聞いたこともないから知らないけれど、高校時代はそこそこ運動神経もよく、球技大会じゃ女の子が騒いでいたはずだ。
 
セックスも、強い方なのだろうか?
回数は1回では済まないのは若いからだと思うけれども、愛撫がしつこいぐらいで、長いときもあれば、性急に繋がって強引に昇らされるときもある。
女がイクまで果てない強さとテクニックは持っているらしいが、全て比較する相手がいないのであくまで噂の総評と、実際抱かれて実感したことだけ。
そんな彼なのに、なぜわたしを抱き続けるのかがよくわからない。
女なら誰でもいいのかもしれない……さして見かけの良くないわたしの身体でそこそこ満足出来ているらしいから。たぶん、気軽にいつでも抱けるから楽なのだろう。どんな女性でも選べるはずの人なのに、なにも求めないわたしは楽だろう。
女を口説く時間も、その後面倒になる手間もいらない。
それがわたし。
もっとも、わたしは抱かれるだけで精一杯。人前で彼の隣に並ぶ勇気なんか無い。
彼女の役なんて、わたしにはできない……そんな自信ない。
 
 
だから、いつも彼には入れ替わり立ち替わり彼女が出来る。
なのになぜわたしを抱く彼。
彼女がいても手放せないと言うけれど、さすがに付き合い始めると忙しいらしく滅多に来なくなる。
彼女って言うのは、彼にとって面倒くさい存在らしい。どこかに連れて行ったり、プレゼントしたり、電話やメールをしたりして気をつかわなくて済む分、わたしは楽なのだそうだ。
くれくれと強請られるのは好きじゃないと彼は言った。だから何も望まないわたしはとても楽な相手だと。
 
 
「逢いたい」とも言わない。
「どこかに行きたい」とも言わない。
「何かが欲しい」とも言わない。
「好き」も言わない。
 
ただ抱かれるのが好きなだけ。
 
わたしは高校時代、恋愛やそれに伴う性的行為にも興味のない振りをし続けていた、お堅い委員長だった。そんなわたしの中の淫乱な女の本性に気付き、引き出し、くすぶっていた欲求を満たした男が同じクラスの甲斐史仁だった。
彼も行為だけを求めていた。わたしも行為だけを求めた。
だからわたしは彼の<せふれ>になった。
身体だけの関係に。
 
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〜ひとこと〜
ようやく連載開始にこぎ着けました。
当分はストックがあるのでなんとか更新出来そうですね。
でも久々の連載でちょっと緊張(笑)テーマがテーマだし?
しばらくお付き合い頂けるとうれしいです。

とりあえずゲリラ的に更新上げていきます〜♪

 

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