9.
 
「んっ...」
『離さない、覚悟しろ』と圭司に言われても、返事をするまもなくその唇は圭司によって塞がれる。すぐに強引に割り込んできた圭司の舌先に翻弄されて椎奈は息苦しく喘ぐ。
「はうんっ...」
「ごめん、優しくしてやりたいのに...止まらねえっ...」
糸を引くような濃厚なキスに椎奈の意識は完全に奪われていく。キスだけで足腰が立たなくなりかけてる椎奈を嬉しそうに見つめると、圭司はベッドの方に椎奈を誘導して、そのままシーツの上に押し倒した。
「あっ...け、圭司、今するの?」
「悪い、壊さないようにはするけど...オレ、おかしくなってるわ...おまえ1年分ちゃんと受け取れよな?」
「やだっ、覚悟って...その覚悟だったの?」
「それもこれも全部だ!」
再び塞がれて唇から深く繋がっていく。
「ね、でも...あたし、赤ちゃん産んだ後なんだけど...」
ようやく唇を解かれて、工藤の唇が椎奈の首筋を這い、荒々しく衣服をはがれてる間に椎奈は必死で訴えた。
「えっ、それって...抱いちゃいけないのか?」
「そ、そんなことないけど...あっん!」
思い出したように圭司がブラを持ち上げて胸を露わにして子供のように吸い付いている。
「ミルクがでてくる...美味しいよ。」
最近はほとんど粉ミルクになってきてはいるものの、まだ少し出てくる母乳に圭司が美味しそうに吸い付く。椎奈はそれが恥ずかしくて溜まらなかった。けれども恥ずかしがれば恥ずかしがるほど身体の感覚が敏感になってしまうのだ。
「やぁ...っん」
かすかに抵抗する椎奈の衣服を全て奪い去り、愛おしげにキスを一つ落とすと圭司は椎奈の膝を強引に割ろうとした。
「やだっ、恥ずかしいから、やめて...っん!」
出産の後を見られるのも恥ずかしい。椎奈は自分の身体が変わってしまって、圭司を失望させるのではないかと気にしたのだ。
「ここにもちゃんと挨拶しなきゃな、ちゃんと産んでくれたんだろ?オレの子を...」
椎奈のそこに顔を埋めるとそっと優しくキスをした。
「あっ...」
「椎奈...綺麗だよ、ココ。」
圭司は自分の子を産んでくれたことを喜び、それを成し遂げてくれた椎奈のその身体をも愛しく思い何度もキスをする。
「ほんとに?変になってない?」
「なってない、ココも全部オレだけのものだろ?あ...胸だけは愛華にも譲ってやるよ。」
圭司はまだ見ぬ子のことをも愛おしげに話す。
「今は全部圭司のものでいいよ。」
くすくすと笑う椎奈をぎゅっと抱きしめて、愛してると耳元で囁いた後圭司は再び愛撫を再開した。
 
出産の時に大概の恥ずかしいことは経験済みの椎奈だったが、その身体は過去に一晩だけ愛されただけの身体で、慣れないその愛撫の大胆さに椎奈は身をよじって逃げようとしていた。けれども圭司の想いは止まらない。この一年の間想い焦がれてきた椎奈の身体を前にしてブレーキがききそうにもなかった。ただ、出産してから間がないのと、何よりその前の経験が少ないため、十分に潤わせるまでは我慢と、それだけはひたすら自分に言い聞かせていた。
圭司は戸惑い逃げる椎奈の身体を開き、その脚の付け根に舌を這わせる。何度もゆっくりと這わせて舐めあげては椎奈の様子を見ていた。以前よりも感じやすくなってるのか、一度だけの交わりを覚えているのか、椎奈も前よりは恐怖感もないようで、だんだんと潤い始めている。圭司は敏感な蕾もことさらゆっくりと嬲り続けた。
「やぁっ、はぁん...はぁはぁ...」
「椎奈、おまえもう入れても平気か?」
「え、なに...?」
「指入れても、もう怖くないか?」
「うん...たぶん、平気...」
「そうか?じゃあ、怖かったりしたら言えよな?」
舌で愛撫を続けながらゆっくりと圭司の指がその襞を何度もかすめ、次第に椎奈の中に吸い込まれていく。
「大丈夫か?」
「んっ、だ、大丈夫...」
「そっか、じゃあこういうことしても、平気だな?」
工藤は指を折り曲げると内壁の一部をゆっくりとこすりあげた。
「はぅっ...ああ、やっ、そこ...変っ...」
何度もこすられて椎奈の背中が反っていく。
「椎奈の中、喜んでるぞ...久しぶりだときついだろうけど、これだけ濡れてたら十分だろう?あとは一回イケば...な?」
圭司の指に翻弄されながら椎奈は高みを覚えていく。
「やぁああっ、だめぇ...」
圭司は椎奈の中を指で刺激しながら、すっと顔を埋めてすぐさま敏感な部分をきつく吸い上げた。
「ひゃあうっんんんんっ!!!」
ピクピクと身体を反らせて快感を伝える椎奈の中は圭司の指を締め上げていた。
(こんなにされたらオレも即アウトだな...)
圭司の分身はすでに期待でいっぱいになっている。椎奈の身体の間から顔を上げて椎奈を見つめる。彼女は未だにかたかたと快感に打ち震えていた。
工藤は愛おしげにぎゅっと彼女を抱きしめると、息の整わない椎奈に軽くキスしてごめんと詫びた。久しぶりの椎奈にとってその快感はあまりにも強烈すぎたらしい。
「最初は先に謝っとくよ。マジで1年ぶりだからな。」
素早く準備をすませた工藤が椎奈の入り口に自分のものをこすりつける。
「もう気が狂いそうだ...椎奈の中に入りたい...」
先ほどの快感で打ち震える椎奈に、新たな刺激を埋め込んでいく。圭司ももう止まらない。最奥まで遠慮することなく突き進んでいく。
「ああああっ!!」
繋がった先から締め付けられて圭司は動けなくなりそうだった。
「けっ、圭司ぃ...」
椎奈のまなじりから涙がこぼれている。一年ぶりに一つになれたその想いは大きく、椎奈の手が圭司を求めて抱きついてくる。圭司もその思いをこめてきつく抱きしめながら一つになった部分を実感し続ける。
「椎奈の中に入れるのはオレだけだよな?」
「圭司も、もうあたしだけだよね...」
「ああ、もう他の女は抱かない。椎奈だけ...また、産んでもらわなきゃならないからな、オレの子...」
「えっ?」
「だって一人じゃ寂しいだろ?でもな、当分オレが満足するまではダメだぞ?」
その意味がわかって椎奈が赤くなる。
「ね、それって...」
「おまえな、ただ迎えに来ただけなんて思ってんじゃないだろ?」
「そ、それは...」
「一生離さないって意味もわかってるか?」
「うん...」
「ずっと、椎奈としかこんなコトしないって契約だ。愛華も一緒にオレの籍に入れてもいいんだろ?」
「圭司ぃ...」
椎奈が涙声になる。繋がったままのそこはずっと締め付けられっぱなしだ。
ゆっくりと揺さぶりながらも会話し、我慢し続けてた圭司のモノにも限界が来る。
「椎奈っ、悪い、もうそろそろ...だめだっ...」
大きく動き出す圭司の腰に煽られ、椎奈も揺さぶられ始める。
「あっ、あっ、んっ圭司っ!」
「椎奈っ、くっ...あぁあああ...」
思わずこぼれてしまった圭司の官能の声に椎奈は身体の奥底が震えた。
圭司の身体は椎奈に覆い被さったまま動かない。腰だけがわずかにふるえを伝えてくる。
「はっ...いくら何でもオレこんなのばっかりじゃん。」
あまりのあっけなさに圭司は苦笑いを隠せない。
「いいよ、気にしないよ?だって圭司は圭司だもん。あたしは圭司に抱かれるだけで嬉しい...」
「椎奈...おまえ、そんな可愛いこと言うなよ!」
後始末をして新たに準備をすませると圭司は再び椎奈にのしかかる。
「今度は容赦しないぞ。椎奈もだいぶ感度あがってるみたいだしな?」
圭司は休む間もなくソレを椎奈の中に収めていく。
「あっん...ね、でも、時間が...愛華が待ってるから、そろそろ帰らなきゃいけないんだよ...」
「まだダメだ。オレは全然満足してない。」
「そんな...あっん」
「ずっと狂いそうなほどおまえが欲しかったんだ。こんなんで満足出来るわけないだろっ?」
「で、でも...」
時計はすでに10時半を回っている。
「ったく、じゃあ約束しろよな?これ以降、二度とオレを拒否しないってな。オレが求めたらダメはなしだ。いいか?」
「そんな...」
「でなきゃ今晩一晩中、今から離さないぞ?」
「ひどいっ、圭司っ...んっ」
すでに圭司の律動は始まっている。椎奈は逃れられないほど押し開かれ折り曲げられて、ひたすら深く深く責められていた。
「やっ、く、くるしいよ...圭司っ...」
「オレも...もう...」
二人の息が上がっていく。椎奈にはその感覚が何なのかまだわからない。内部が強烈にざわめいて勝手に内襞が震えているのだ。
「やっあっん、あんっ、あんっ...あっくっん...」
「はぁっ...すげえっ...」
時間がないことが二人を獣に変えていた。すぐ側の頂点を目指して二人で上り詰めていく。
「椎奈っ椎奈っ!ううっ...」
「ああっ!け、いじっ...」
お互いに身体を反らせて最後の一瞬を迎えるとそのままばさりとベッドに突っ伏した。
 
「ご、めん...結局早い...」
工藤は椎奈の中に入ったまま、ぎゅっと椎奈を抱きしめてまた謝った。今日は何度こうされただろうか?椎奈はその度に圭司の想いを身体で感じることが出来て嬉しかった。元々心を許しあってる二人は素直に想いを口にすることを、すでにいとわなくなって来ていた。
「ん...でも、こんなの身体がもたないよ...」
「オレまだ収まりつかないかも...」
圭司は後処理をすませてから椎奈を腕の中に閉じこめた。空いた手がさわさわと椎奈の身体を這っていく。
「もうだめっ!ねえ、圭司は愛華に逢いたくないの?」
椎奈にそう言われて、圭司は渋々と手を離した。
「そりゃ、逢いたいよ...」
「じゃあ、すぐに行こうよ、ね?」
「おい、動けるのか?」
さっさと立ち上がろうとした椎奈がすとんと腰を落とした。
「あれっ...?」
「馬鹿だな、風呂場に連れて行ってやるから待ってな。」
あの時のように圭司は椎奈を抱え上げると、狭いバスルームに連れて行った。
狭すぎて一緒にはいるのもためらわれたけれども、そのまま一緒にシャワーを浴びて、その間圭司に好きなように扱われる椎奈だった。
 
その後、タクシーで食堂に着いた時にはすでに11時を回っていた。
 
 
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〜あとがき〜
何とかまにあいましたか??
やっぱ力はいちゃって(笑)時間がないので短いえっちしーんです。不満足?仕方ありません、またその後のワンシーンでも書きますよ〜
初出産カップルとなりましたね。(奈津美が先かとも思いましたけれども...)
あと1話、最後の総まとめが10話になりそうです。色んな問題山積みですものね。
う〜〜ん、キリがいいなぁ〜
 

 

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