8.
 
〜圭司〜
 
工藤圭司はベッドに仰向けになってホテルの天井をにらみつけていた。
(おそらく椎奈はまだ結婚は、していないんだろうな。だけど...)
それ確認できたのだけれども、圭太は確かにもうすぐと言った。きっと約束はもう済んでいるのだろう。ならばもう、無理矢理に椎奈を連れ帰ることは出来ない。
(じゃあ、椎奈の子供はどうなるんだろう?あの男の子供になってしまうのか?オレの...子なのに?オレが椎奈を抱いて出来た子だ。まだ遠目でしか見てない...実感なんてまだわかないけど、あの時オレは確かに椎奈を愛しいと思って抱いたんだ。あのまま離したくなかった...なのにその手を離したのはオレだ。椎奈が愛想尽かしたってしょうがないさ。けど...)
椎奈も、子供も、全部あの男のものになると考えると工藤は焦りを感じた。
(嫌だ...椎奈がオレ以外の男のものになるなんて、考えたくもない。けれどもこれが現実なんだよな。)
もうすでに家族のように暮らすあの中に割ってはいるまねなど出来はしない。それはわかっていても押さえきれないジレンマに圭司はもだえた。
そしてあの圭太の存在...
あの子の前で椎奈への気持を思わず口にしてしまったが、思わずその相手の名前を椎奈ではなく<親友>と言ってしまったのは、圭太から椎奈を奪おうとしていることを知られたくなかったからだ。圭太は椎奈が自分の母親になることをどれほど喜んでいるか、それは幼い頃に母親に見放されて育った圭司に、母親を求める圭太の気持ちは痛いほどよくわかる。あの当時、父親が連れてきた女が椎奈のような女だったら圭司も喜んで受け入れていたかもしれない。だけど父親が連れてきたのは爪の長い化粧と香水でラッピングされた見かけだけの女ばかりで、だれも圭司に触れようともしなかった。子供なんて面倒くさいだけの存在だと言わんばかりの視線。成長して男としての魅力を備え始めたころにはもう父親は女性を連れてこなくなった。そうなるとすでに息子には母親は必要なくなっていたし、女はただの女でしかなくなっていたのだから。
(伝わっただろうか、あの言葉...)
圭司が圭太に託した『愛してる』の一言。京香が言っていた。椎奈は圭司に愛されていないと思いこんでいると。もっともその責任は全て圭司にあるのだが...椎奈が逃げる原因が京香の言うとおりなら、もし圭司の思いが伝わって、椎奈の気持ちも同じだったら戻ってきてくれるのだろうか?ほのかに期待を抱いては、またあの子の悲しそうな顔が浮かんできてはため息をつく。
(あの子を悲しませてしまうんだったら、オレは何も言わずに帰るのが一番いいんだろうな。いや、たった一言伝えるだけでも...でないと...)
もうすぐ京香が来る。新幹線で3時間、そこから乗り継いで先に食堂に行くか、こっちに立ち寄って圭司のこの煮え切らない姿を見て再び怒り出すかそのどちらかだろう。
(最後に椎奈を連れ帰れなかったら結局オレは京香にまた怒られるんだろうな。)
工藤はベッドから身体を起こして煙草に手を伸ばして火を付ける。
(ここで待っててどうするんだ?椎奈が動けるのか?オレが、自分の意思でここまで追いかけてきたんだ。ホテルになんて結婚を前にした椎奈は来にくいはずだ。オレが行かなきゃならないんだ。)
紫煙を吐き出してホテルの天井をにらみつける。
今まで散々椎奈を苦しめた自覚はある。どんな想いで今まで自分の女たちを見てきたのだろうかとか、どれだけ苦しみながら圭司に抱かれたのだろうかとか、思えば思うほど自分が無神経な暴君のように思われる。それでも、そんな自分の子を産もうとしてくれた椎奈に何か一言でも優しい言葉をかけてやったのか?
たしかにあの家族の持つオーラは圭司には近づけないものがある。それは必死で家族の絆を守ろうとするもので、温かな家庭にあこがれる圭司にとってはなおさらであった。だけどここで躊躇していたら一生悔やんでしまう。椎奈を失ったあの時よりももっともっと悔やんでしまう。
(やっぱりもう一度行って逢わせてもらおう。絶対に邪魔はしない、椎奈を連れ帰ったりしないって約束すればいいんだ。たぶん椎奈もそのつもりだろうから...それでも伝えたい、この想いだけは...)
圭司はこみ上げてくる椎奈への熱く強い思いだけはたとえあの家族にでも消せはしない。もう二度と椎名に会えなくとも、二度とあの柔らかな身体を抱けなくとも、あの愛しい声を耳に出来なくても、この想いだけは変わりはしないだろう。圭司の身体はすでに椎奈しか受け付けなくなっている。他の女を抱こうとしても抱けない。それならばまだ椎奈を思ってする自慰行為の方がよほどましだったりする。
軽く自嘲して圭司は煙草を灰皿に押しつけると立ち上がった。
工藤はキーを掴むと部屋の外に飛び出した。
 
 
「工藤...」「椎奈っ?」
部屋の前に椎奈が立っていた。ようやく間近で見るほぼ1年ぶりの愛しい椎奈の姿だ。何度も夢に出てきた。何度も夢の中で口づけて抱きしめた幻の本体が目の前にいる。
その本体は1年前の圭司の記憶よりも、すこし顔つきも体つきもふっくらして、輪郭すらも優しいラインに変化している。その姿は椎奈は確実に母親になったことを証明している。
「あのっ、オレ、今から椎奈のところに行こうと思ってて...」
「あたしも、逃げてないでちゃんと話してきなさいって言われて...」
それを聞いてすぐにあの男の顔が浮かんだ。
「あ、結婚するんだってな...あの、おめでとう...」
そんなことを言うつもりなどなかったのに、圭司の口から出たのはその一言だった。
「あ、あたし...」
椎奈は下を向いて黙ってしまった。廊下で向き合う二人を通りすがりの人たちがちらちらと見ていく。
「よかったら、部屋で話さないか...」
嫌がれば喫茶店でもと思ったが椎奈は頷いて圭司の後を着いて部屋に入ってきた。
(くそっ、なんて話せば...どこから話せばいいんだ?)
まさか部屋の前にいるなんて思ってもいなかった。すっかり余裕をなくしてしまった自分が居る。おまけにホテルの部屋に二人っきりだ。
焦る気持ちとのぼせ上がる頭、そして暴走しそうになる身体...
圭司の身体は激しく脈を打って体液を沸騰させようとしてた。それほどまでに求めてきた椎奈が目の前にいるのだ。自分を落ち着かせようと冷蔵庫から飲み物を2本取り出して椎奈に一本すすめる。椎奈は固まったように部屋の中央で立ちつくしている。
「あのっ...」「あのさっ!」
思い切って切り出した声が重なる。
「椎奈?」
工藤は一歩づつ近づいて椎奈の名を呼ぶ。彼女はゆっくりと顔を上げた。
その瞳には涙があふれ出て一筋の流れを作っていた。震える瞳、何か言いたげなその唇、寄せられた眉、その全てが工藤を狂わせる。
「椎奈っ、そんな、そんな顔されたら、オレは...」
我慢も何もなかった。椎奈のその表情に工藤は理性も葛藤も根こそぎ持って行かれた気がする。その距離がゼロになった瞬間工藤の腕が椎奈をきつくとらえていた。もう、止まらない...柔らかな椎奈の身体の感触とともに、甘い彼女の、赤ん坊のような香りが圭司の鼻孔をくすぐる。
「嫌なら、嫌だって言ってくれ...もがいて逃げてくれ...オレはずっとこうしたくって、この1年の間おまえを捜し続けていたんだ...椎奈の幸せを邪魔しちゃいけないのはわかってる。椎奈はあの家で新しい家族を作って幸せにやってるんだから、今更オレが何言ったって無駄なのはわかってる。だけど言わずにいられないんだ...」
決めていたはずだ、たった一言、その言葉だけを伝えるために来たのだから。いいわけも謝罪も、別れの言葉も全て後だった。今はこの言葉だけ、この言葉だけを己の全てを込めて伝えるしかなかった。
「椎奈、おまえを愛してる...ずっと、自分の気持ちに気がつかなかっただけで、たぶんもうずいぶん前から...椎奈を愛してたんだ。」
きつくきつく抱きしめる。圭司は言葉を繋ぎたくてもこみ上げて来るものでいっぱいになってしまっていた。いっそのことこのまま椎奈と溶けてしまいたいとも思った。口づけて繋がりあいたい気持ちはもちろんだ。だけどもきっと椎奈はそれを拒否するだろう。もうこの腕の中にいる椎奈は自分のものではない、あの男のものになると約束した女だから...だけど今この時だけでも、この腕も身体の温もりも離したくない。離せばもうそこで終わりなのだから...
工藤は抱きしめてるこの瞬間だけは椎奈は自分のものだと思いたかった。10年もの間、親友としてその存在を求めてきて、この1年の間、女として焦がれるほどに求め続けてきた腕の中の存在をすぐに手放すことなど出来はしなかった。
椎奈は声を殺して泣いていた。その嗚咽が工藤の胸に伝わってくる。きつく抱きしめた工藤の身体に手を回し、その背中のシャツをぎゅっと掴んでしがみついている椎奈の存在が嬉しかった。
(今だけはオレのものでいてくれ...椎奈)
永遠にこの時間が終わらなければいいと願いながらも、工藤はゆっくりと自分を椎奈から引き離した。これ以上抱きしめていて、自分の男の部分が黙っているはずがない。今でも熱く椎奈を求めて自己主張している。限界ぎりぎりまでそうしていて、圭司は自分の理性を総動員して椎奈から身体を離した。
目の前の椎奈の顔は、泣き濡れてぼろぼろになってしまっている。そんな顔すらも愛しいと思えるのだからもうどうしようもないと工藤は自分に呆れながらもそっと微笑んだ。
(こんなに大切な存在なくせに、気づかなかったオレが馬鹿なだけだ...)
そう自嘲して、椎奈の涙を指で軽く拭ってやる。
こんな身勝手な想いで彼女を苦しめちゃいけない。ここで彼女を押し倒して無理矢理自分のものにしたって椎奈が苦しむだけだ。心が手に入らないからといって身体を手に入れても虚しいだけだ。
ちゃんと気持ちを伝えられたら、その後はちゃんと椎奈を解放してやらなければならない。圭司は出来るだけ優しく笑うと椎奈から一歩後ろに離れた。
「椎奈...伝えるのが遅くなってごめん。今更なのはわかってるけど、伝えずにはいられなかったから...迷惑、だよな?けどオレはおまえを抱いたあの日から自分の気持ちに気がついたんだ。だけど、親友に戻ると言ったおまえに今更何もいえなくて...辛い思いいっぱいさせちまったな。オレは憎まれても何文句言われても仕方ないって思ってる。なのに、その...赤ん坊、産んでくれたんだよな?」
椎奈は無言で頷く。
「圭太くんに教えてもらったんだ、愛華って、愛の華が咲くって名前だって...オレの子なんだろ?椎奈...」
椎奈は一瞬ためらいながらもゆっくりともう一度頷いた。
「ありがとう、椎奈。オレみたいな奴の子供産んでくれて...けど、どうして言ってくれなかった?オレにどうして...」
「だって...迷惑でしょ?」
 
ようやく椎奈が唇を開いた。椎奈は飛び出してきたものの、圭司が自分を思ってくれているなどとどうしても信じられなかった。だからこそ自信は全くない。ただ一つあるのは自分が圭司を誰よりも想っているということだけ。だからこそ愛華を産んだという事実だけ。それですらきっと圭司にとっては迷惑なことでしかないだろうと椎奈はずっと思っていた。
圭司の部屋の前まで来たものの、ドアをノックする勇気までは椎奈にはなかった。ここまで探しに来てくれたことはすごく嬉しかったが、それはおそらく親友として、そして自分が姿を消す原因になったことに責任を感じているだけだと思っていたからだ。それなのに、間近で圭司の姿を見ると心が震えた。一度抱かれただけの身体が熱くなるのを覚えた。
けれども最初に『結婚おめでとう』と告げられてここに来たことを後悔した。もう届かないと、そう悟ってしまった。部屋の中に誘われて、永遠の別れを告げられるのか、それとも子供を産んだことを責められるのか、椎奈はそれを恐れた。
必死で涙を堪えたけれども、あふれ出る涙と想いは止まらなかった。不意にきつく抱きしめられて告げられた言葉も最初は信じられなかった。『愛してる』圭太が伝えてくれたあの言葉も、すべて彼の子供を産んだ自分への謝罪を込めた言葉ではないかと疑ってしまうほど信じられなかったのだ。きつくきつく、抱きしめられて、椎奈は嗚咽を堪えて泣き続けた。このまま時間が止まればいい、解け合いたいと想いながら圭司の腕の強さ、胸の温もりを全身で感じとっていた。けれどもその腕はやがて引き離されて圭司は自分から離れてしまった。触れあった部分から冷えていくのがわかった。もう自分は側にいられないのだと、過去でしかないのだとそう思ったのに、圭司は愛華が生まれたことを喜んでくれたのだ。
では、先ほど告げられた言葉は真実だったのか?椎奈は今度は自分が想いを告げる番だと確信した。10年間抱き続けた想いの全てを...
「あたし...抱いてもらったけど、あれは治療で...あたしたちは親友で...工藤には彼女他にいたから...それなのに、いえないよっ!あの歳になっても未経験だったあたしがいけないんだから...工藤はあたしのこと親友としてすごく大事にしてくれてたから、だからあたしが悩んでるの聞いてほっとけなくって、抱いてくれたんでしょう?あの時あたしが発作起こさなかったらこんなことなかったよね?工藤はちっとも悪くないし、責任は全部あたしにあるの。だから工藤が気にすることなんて全然ないのに...探さなくってもよかったのに...なのに...工藤が知ったら苦しむって思ってた。見かけほどクールじゃないのは知ってたし、避妊に関しては絶対失敗しないって言ってたから。あれは親に望まれない子供を作りたくなかったんだろうなって思ってたの。だけどあたしに堕せって言いにくいでしょ?だから言えなかった...工藤には悪いと思ったけど、産みたかったの...あたし、工藤の赤ちゃん産みたかったの...」
 
圭司は今更ながらに自分を恥じた。椎奈はここまでオレのことを思って姿を消したのだと...たった一つ、工藤の気持ちにだけは気がついていなかったが。
「馬鹿野郎っ!オレは...椎奈を抱く前から、ずっと彼女なんて居なかったんだぞ!おまえが彼氏できったって言うからつい調子に乗って居るって言っちまっただけで...椎奈を抱く何ヶ月も前から...こっちの会社からまた戻ったあと彼女なんてろくに居なかったんだ。ついでに言うならな、椎奈を抱いてからもいないんだよっ!このオレが、1年以上女抱いてないんだよっ!」
「うそ...」
「嘘じゃない、オレは...もう、椎奈以外抱きたくないんだ...椎奈以外もう抱けない...」
椎奈を求めそうになる手を必死で拳を作って思いとどまらせる工藤だった。椎奈は困惑した顔で動けなくなってしまっている。
「椎奈、ごめん、愛してる...親友としてだけじゃなく、女として、誰よりも愛してる...それだけ伝えたかったんだ...一人で見知らぬ街に住んで、子供産んで、大変だったろうに、オレは何にもしてやれなくてごめんよ...その間支えてくれたあの人のところに行くのをオレは止める権利もなにもない。愛華にだってどの面下げて父親だなんて言えないさ。でも、愛華はオレが椎奈を愛して出来た子だから...一度だけ逢わせて欲しい。それ以上はもう邪魔しないから...」
椎奈の表情が一変する。魔法の解けたような顔をして圭司をじっと見つめている。
「産んでもよかったの...?」
「ああ、もちろんだ。いっとくが治療だけであんなに何度も抱くかよ。あのまま帰らずにいたら、オレはまた何度でも椎奈を抱いていたぞ。身体ごと椎奈の全部を愛してるって気がついたからな...身体重ねてから気がつくなんてオレも馬鹿だけど、あんな抱き方したのは椎奈だけだ。本気の女を抱く気持ちの良さをオレは初めてしったんだ。」
「じゃあ、親友に戻らなくてもよかったの?」
「オレは椎奈とずっと一緒に居たいと思っていた。それを親友だなんて言葉に誤魔化してたけど、男と女が一生一緒にいる方法なんて一つしかないだろ?一緒に住んで、おまえと暖かい家庭っていうやつ作ってみたかったよ...」
 
椎奈の足が一歩前に出た。
「ずっと好きだった...工藤のこと。」
「オレも...ずっと惚れてたのに、気づかない振りしてた。」
「どれだけ優しい人が現れても、あたしには工藤だけだった...誰も受け入れられなかった...」
「愛や恋なんてものはすぐに終わってしまう幻だと思っていた。友情ならけんかしない限りずっと続くと信じてたんだ。いくらいい女が近づいてきても、何度抱いても、ちっとも満たされなかった。椎奈を抱いた時初めて満たされたよ。」
何を言ってももう手に入らない目の前の椎奈に心が奪われていく。その唇が過去形であっても、自分を好きだと伝えてくれた。それだけで十分なはずなのに、、椎奈が距離10cmまで近づいてきた瞬間、彼女を欲しがる自分の身体を理性で引き留めて思い止どまらせるのに苦労する。圭司の呼吸が自然と荒くなる。
「あたしも...誰もダメだったの!土屋や藤枝くんみたいに、宗佑さんもだめなの...あたしには、工藤じゃなきゃ、工藤しかだめなのっ!」
「椎奈?」
椎奈のからだが圭司の腕の中に戻ってきた。どんと衝撃を受けた圭司の胸に椎奈の温もりが広がっていく。工藤はきつく握っていた拳をゆっくりとほどくと震える手で椎奈の身体を抱きしめた。
「いくら他の誰かを好きになろうとしても、身体を許そうとしても、全然ダメなの!あたし、工藤しか、工藤でなきゃ、だめなの。たぶんこの先ずっと...だから、宗佑さんに求められても答えられない。こんなんであの人と結婚なんて出来ないでしょ?形だけの家族なんて辛いだけだから...」
「結婚しないのか?」
「しないよ、出来ないもの...だってあたしの身体も心も、工藤しかだめだって言ってるんだもの...」
圭司の鼓動が早くなる。血液が逆流して逆上せ上がった思考能力をフル活動して答えを探す。
「あ...いいのか?オレで、いいのか?」
「うん...工藤だけがいい...」
「椎奈をオレのものにしてもいいのか?」
「ん...して、工藤のものに、して...」
圭司はその言葉に喜び思いっきり椎奈を強く抱きしめた。走り出すと止まらなくなりそうな情熱を抑えてゆっくりと椎奈の唇に自分の想いを重ねた。
「んっ...」
何度も何度も角度を変えて、その度に椎奈の表情を確認しながら圭司は自分の思いをそのキスに注ぎ込んでいった。
「椎奈はオレのものだ...誰にも渡さないからな。」
「あたしは...工藤のものだよ...あの時抱かれてから...」
「ああ、そうだな。けど、おまえがオレのものになったら、おまえも工藤になるんだろ?馬鹿椎奈、いい加減名前で呼べよ...オレに抱かれるときは名前で、だろ?」
「圭司...圭司...」
「あぁ、椎奈...愛してる!もう、絶対に離さないぞ?覚悟しろよ...」
 
 
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〜あとがき〜
ひゃ〜〜〜やっと思い通じましたか??長かったです〜〜
ここで止まったら皆さんストレス溜まりますよね?引き続きお楽しみくださいますように〜
(ちょっと間に合わなかったので、後ほど、すぐにあげます〜〜)
次回最終話、完全に二人の世界同時UPです。
あ、18禁ですので年齢に満たない方はそのまま10話のおまけがUPされるのをお待ちくださいね〜

 

 

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