2013クリスマス企画

遅すぎたクリスマス

 5

12月25日

〜俊貴〜
「ん……」
 私が起き上がると朱音も目が覚めたのか身動ぎする。
「起きなくていいぞ」
「でも……」
 今日から子どもたちは冬休みで、なにも早起きする必要はない。昨夜、いや今朝もかなり無理をさせたから、このままゆっくり休ませてやりたい。わたしは早く用意をして仕事に行かなければならないがね。

 昨夜はクリスマスイブ。子どもたちには『ちゃんと寝てないとサンタさんが来ないぞ』と脅しておいたから、帰った頃にはしっかりベッドの中だった。妻はどうやらリビングで寝てしまっているようなので、用意してくれていた食事を温めて軽くすませて側に行くと目が覚めたのかようやく起き上がってきた。
『ごめんなさい、眠ってしまって……ごはんは?』
『食べた、美味しかったよ。それより、その下に着ているものを見せてくれるか?』
 腕を引き立ち上がらせると、彼女の肩からガウンを滑り落とす。その下はシフォンのように柔らかな生地の白い夜着。まるでバレエのジゼルのようだと表現してもいい。それともすぐに抱いてくれとねだる花嫁衣装か? その姿はまるで10年前、初めて私に抱かれた頃の初々しさを身にまとっているようだった。
『これを着てわたしを待っていたのか?』
 コクリと恥じらいながらも頷く朱音。今日、結婚記念日でもあるこの夜に、ということは彼女も期待してくれていたというわけか? それならばたとえ明日仕事でもその期待に答えなければなるまい。
『恥ずかしいのか? この前はもっといやらしいのを着ていたのに?』
 胸元を隠そうとするので掴んでその自由を奪う。この間のベビードール姿もそそってくれたけど、今夜の清楚な感じもたまらない。その中身は熟した果実のように甘く滴り私を誘っているのだから。
『んっ……』
 そのまま腕を捉えたまま引き寄せて唇を奪う。そこから下へとキスを落としていき、首筋に舌を這わせ、ビクリとした瞬間キツく吸い上げて赤い花びらを肌に散らしていく。
『んっふ……』
 唇と胸元へのキスだけで甘い吐息を漏らす彼女にそのまま覆いかぶさり、薄い布地の上からゆっくりと触れる。それだけで朱音の身体は甘く蕩けていく。次第にはだけあらわになった肌へ舌を這わせ触れまくったが、胸の先や足の付根などの肝心な場所には一切触れてやらなかった。その代わりにずっとどこかしらなぞり、キスを散らしながら愛撫を繰り返していた。焦らせば焦らすほど彼女の中の飢えが強まっていく。恥じらいながらも感じて濡れた彼女が、あられもなくわたしを欲しがる様が見たくて、もっともっと欲しがらせたくなった。触れて欲しいと全身を戦慄かせる彼女を更に可愛がるのだ。
『あっ……ん、やぁあ……お願い、あなた……いじわるしないで……』
 腰を揺らして付け根に触れて欲しそうにするのにも敢えて気づかない振りをして立ち上がった。
『さて、先に風呂に行ってくるよ』
 ソファに残された彼女は、トロンと惚けるほど感じた顔を一瞬にして曇らせた。震える唇、乱れた甘い吐息、淫らに乱された夜着から見える白い肌を桃色に染めて。本当はしゃぶりつきたい気持ちを我慢していた。だけど、先に風呂を済ませておかないとこの後たっぷり可愛がってやれないだろう? 今日は特別可愛がってやらないと。イブは私達の結婚記念日でもあるのだから。
『朱音、欲しかったら部屋で準備して待っていなさい』
 そう言ってバスルームに向った。いっこうに治まらない己の下半身を宥めながら部屋に戻ると、半泣きの顔した朱音がベッドの上に座って待っていた。
『あなた……』
『どうした、我慢できなかったのか?』
 頬の赤みから推測すると、私が上がってくるまで自分で慰めていたのかもしれない。それとも焦らされたままの身体で必死に耐えながら待っていたのか? 恥ずかしそうに膝をすり合わせる。夜着を押し上げる乳首もツンと固く盛り上がっている。
『どこまで準備したんだ? 胸を触ったのかな』
 朱音は手で胸元を隠しながら頷く。
『下は? 自分で触ったんだ』
 断定で聞く。そのままうつむく彼女は肯定したも同然だった。
『満足したなら、もういらないのか? それとも……』
 して欲しいならそう言いなさい。耳元で優しくそう告げてやると、『お願い……』と言って夜着の裾を持ち上げて見せた。
『大胆だな、今日の朱音は』
『だって……俊貴さんが準備してろって』
 ポロポロと涙をこぼすので一気に焦った。泣かせたいわけじゃない。だが、ついいじわるしたくなる男心もわかってほしい。いつだって私ばかりが求め盛っているようで、不安になるのだから。たまには妻から求めて欲しいし、淫らに誘って欲しいとすら思っている。普段は家事と子育てて忙しく、そんな余裕もないだろうから、この年に一度の結婚記念日の夜にお互いの愛情の度合いを再確認するのだと思っていた。今日はそういう日なのだと。だけど彼女にとって、もうこれがいっぱいいっぱいだったのだろう。ああ、もうなんて可愛いんだ? これじゃ10年たってもまた惚れなおしてしまうじゃないか!
『朱音、泣かないで……愛してるんだ』
『あなた……わたしもよ。でも、恥ずかしいの』
『ああ、わかってる』
『んっ……』
 キスを再開すると、わたしの首に腕を絡ませ、積極的に舌を差し入れてくる。10年でこの成長。ゆっくりだがまだまだ伸びしろを見せてくれる妻の一生懸命さに嬉しくなる。感度の良さと反応の良さは最初から言うまでもなかったからな。
『だけど、たまには朱音からおねだりして欲しかったんだ』
 唇を離し、懇願するように彼女に正直な気持ちを告げる。
『今夜は特別だ。わかっているだろう? 明日が休みでなくとも関係ない。朱音が求めてくれた以上に私は応えるつもりだよ』
『わたしだって……』
 彼女はおずおずと戸惑いながらもわたしの腰紐に手を伸ばしてきた。
 パジャマを着ずにバスローブのままだったわたしの前を開き、彼女がわたしの胸元に唇を這わせていく。可愛い舌先はゆっくりとみぞおちへ向かい、臍のあたりで戸惑いながらもその下の下着に布地の上から何度も唇で往復する。すっかり勃ち上がったソレを確認するように。そして下着に指をかけそのまま下へ……いきり勃ったわたしのソレにそっとキスをする。
『わたしも、したい……俊貴さんに』
『それじゃお願いしようかな?』
 下から見上げてくる可愛さにたまらなくなっていた。期待にはち切れそうな私のソレにそっと手をかけると、ゆっくりと舌先でチロチロと舐めながら、やわやわとその周りを撫ではじめる。
『んふっ……ふぁ……ん』
 これは……誰かに教わったのか? 奥さん連中の誰かだろうと予想はつくが、嬉しいやら悔しいやら……くそっ!
『ああ、気持ちがいい……いけない子だな、どこで覚えて来たんだ?』
『んぐっ……それは……っん!』
 顎のあたりを撫でてやるとくすぐったそうに首をすくめる。いや、感じているのだろう。ヒクヒクと腰が揺れているのがわかる。このまま彼女の口腔に出してしまいたい。だけど、そう簡単に終らせるつもりはなかった。
『おいで。おしりをこっちに向けるんだ。倍返しされることは覚悟してたんだろう?』
 わたしはベッドに寝転ぶと、彼女を引き寄せキスをしたあと身体を前後に回転させてた。
 こんなにも大胆におねだりされたら、いくら私でも我慢が効かなくなる。ビクリと震える彼女の脚を自分の顔の上に引き寄せ下着の上から指でなぞる。
『ここも、準備出来てるのかい?』
 下着の中に指を差し入れると、くちゅりと濡れた襞が蠢いた。欲しそうに私の指に吸い付いて離さない。これは、今入れたらすごく気持ちがいいだろう。だけど、今夜はゆっくりと昂らせたい。
『だけどまだあげないよ。たっぷり可愛がってからだ』
『あ……そんな』
 残念そうな、だけど期待した瞳が怪しく光る。知っているのだ、焦らされて狂うほど感じさせられたあとの、ゆっくりと激しく責め立てられる快感を。
『美味しそうだ』
『いやっ……ん』
 彼女の秘部に息を吹きかけ舌を這わせる。それだけでヒクヒクと悶えながら愛液をしたたらせた
『んあっ……ダメ!』
 ダメなんて言葉は聞くものか。このまま攻められてばかりではこちらがヤバイから。
『やめて……できない、わたしがしたいのに……んんっ!!』
 引こうとする腰を抑え、ひたすらしゃぶりついた。何度もイク寸前まで追い詰めては放り出す。いつもなら繋がるのにそうしない。
『あっ……もう、やぁ……お願い、俊貴さん……我慢できない……』
『まだだ、我慢するんだ』
 辛いのはこちらも同じだった。だけど、今じゃない……そう思い時計の針が零時前を示すまで待っていた。その間抱きしめていきり立ったソレを朱音の濡れた蜜壺の入り口に擦りつけていた。彼女も敏感な突起を、身体をくねらせるたびに私に押し付けてくる。
『あっん……ああっ……』
 甘い声で私を求める妻を前にして、繋がりたくてぶちきれそうになる。早く入り込みたい。彼女の暖かで感じるときゅうきゅうと締め付けてくるその中へ。そして……今日だけは何も付けずに、己の全てを注ぎ込むつもりだった。
『朱音……日付がもうすぐ変わるよ。10年目がはじまるんだ』
『ああっ……』
 一気に彼女の中へ入り込みグりグりと奥を突き上げ捏ねる。だけど彼女は快感で声も出せなくなっていた。私も押し寄せる射精感と戦っていたがそろそろ限界だ。
『だめだ……持ちそうにない』
 我慢しすぎたせいか、すぐに頂点が訪れようとしていた。
『やっ……もう、ダメ、いく……っ、いっちゃう……あああ』
 ヒクヒクと絶頂を迎える彼女に追いつくように腰を動かし、突き上げそして擦り上げた。
『んんっーーー!』
『くっ……私も、出る……出すぞ、朱音っ』
 小刻みに腰を揺らし私から全てを絞り尽くそうとする彼女のナカの動きに我慢など出来るはずがなかった。頭を白い光が駆け抜けるように、快感が腰から己の先端へと突き抜ける。
『うあぁ……くっ』
『ああああっ……ん』
『はぁ……はぁ……愛してる、朱音』
『あっん……ふっ……う』
 ドクドクと放つソレに呼応して、彼女の快感を帯びた甘い声が何度も漏れる。
『これからも、この先何十年も、ずっと一緒だから』
 彼女に私の告白が聞こえたのかどうかわからない。しばらく動けない快感に溺れ、ヒクヒクと甘く余韻を残したまま彼女は気を失っていた。
『朱音? おい……』
 参ったな。すぐにもう一度続きをするつもりだったのに。
『しかたがない。目を覚ますまで待つか』
 離れがたくそのまま彼女の中に己の分身を残したまま、わたしもうつらうつらと夢の中へ引きこまれていった。


〜朱音〜
 今、何時……?
 朝のまどろみは心地がいい。でも、まだ外は薄明かり……起きるには早い時間のようだった。
「朱音、起きたのか?」
「あなた……あっ」
 昨日の行為のあと、そのままの格好で眠ってしまっていた。股間の濡れた感じ、そしてソコにはすでに硬く大きくなった夫のモノが起立してゆっくりと擦りつけられていた。
 朝から? 戸惑うけれどもイブの夜に何度も求められなかったということは、今から何をされてもおかしくないかもしれない。だけどわたしの体力が持つかしら??

 昨日は保育園も午前中終わって、お正月明けまで冬休みだ。普段は保育園で遊びまくって体力を消耗する聖貴も遊び足りなかったらしく、午後からは愛音と庭を走りまわって遊んでいたのに、わたしまで巻き込まれてしまい……夕方には体力がつきかけていた。ほんとに子供って元気よね。二人家にいると日中の疲労度は倍になる。目も手も離せなくて、わたしは思ったより疲れていたようだった。お風呂に入り夕飯を済ませた頃には眠気がきて、子供たちも早めに寝てしまった。
 クリスマスイブといってもパーティはすでに済んでいたし、俊貴さんもいないってことでそれらしきメニューのご飯でおしまい。ケーキはやっぱり明日の聖貴の誕生日にと取ってあるし。それに、やっぱり俊貴さんが帰ってきてくれないと……
 愛音と聖貴を寝かしつけたあと、先日ネットで買ったナイトドレスのような夜着に着替えてリビングで俊貴さんを待っていた。昨日も激しく抱かれたのに……これじゃおねだりしているように見えてしまわないだろうか? 恥ずかしく思いながらも、疲れた身体は暖かな部屋のぬくもりには勝てず、ついうたた寝してしまった。
 そして……帰ってきた彼に起こされ、ソファで愛撫されたあと放置されてしまったのだ。
『そんな……』
 バスルームへ向かう彼の後ろ姿が恨めしかった。身体が疼いたままで堪らなくて……お風呂から上がってくればきっと可愛がってくれる、それはわかっていたけど……我慢できなかったわたしは、自分で胸の先を弄り、下着の中へと指を滑り込ませた。
 濡れてる……もう、こんなに。乳首だって凄く硬くなって……柔らかい生地のはずなのに、擦れると痛いほど、感じていた。俊貴さんがバスルームから帰ってきた頃には、もう泣きたいほど彼が欲しくてたまらなくなっていた。
『我慢できなかったのか?』
 すごく淫乱みたい……自分でもおかしいほど欲しくなっていた。それが凄く恥ずかしかったのに、それを俊貴さんに言い当てられて、思わず泣いてしまった。
 『泣かないで……愛してるんだ』
 そう言ってキスを受けた。彼もわたしから求めて欲しいのだと……自分ばかりが欲しがっているのではないかと不安になるのだそうだ。
 そう、今日は特別だから……お互いの気持をきちんと伝え合って、もう一度スタートしはじめる日なのだから。
 伝え、求め合う。なのになかなかイカせてもらえなくて……わたしは狂いそうだった。日付が変わる寸前に俊貴さんがわたしの中に入ってきて、その瞬間見事に意識が飛んでしまった。気持よくてイッてしまったのだ。そのあともすぐ次の波に攫われ、彼が果てるまで昇って昇って、おかしくなる。
『愛してる……朱音』
 わたしの中に迸らせたあと、俊貴さんがなにか言ってくれてたようだけど、わたしは最後まで聞くことが出来ないまま意識を飛ばし、そのまま寝入ってしまった。

「朱音……」
 そして明け方近く、ようやく目が覚めかけたわたしを背中から抱きしめる彼の甘い声が首筋を這う。さわさわと撫でられ、目覚めると同時に与えられていた快感に気づきそれが広がっていく。
「だめ……起きなきゃ」
「朱音が起きるまで我慢したんだ、起きたんならいいだろ?」
 脚の付け根を後ろから擦り上げてくる熱い塊。朝の交わりは優しくてもどかしくて、後が辛くなるから苦手だった。感じてもイカせてもらえなかったり、途中で『続きは今晩』などと言われて放置されたら一日中……辛いもの。
「大丈夫、ちゃんとイかせてあげるよ。ほら、まだ時間はあるし、外は雪だよ」
 ベッドの横のカーテンを開けると、そこからは我が家の小さな庭が白く染まっているのが見えた。
「あ、ほんとう……きれい」
「昨日、わたしが言った言葉、覚えているか?」
「ごめんなさい、これからも……ってとこまでしか」
 やっぱりと彼は苦笑する。
「愛してる。これからも、この先も何十年もずっと一緒だからと言ったんだ」
 それはイブの夜、クリスマスを迎えるときに告げられる愛の言葉だった。そしてこれからまた1年をふたりで過ごすための記念日の儀式。
「それと、もう一度と思ったんだが、さすがに気を失ったように寝入ったおまえを無理に抱けなくてな。今まで我慢してたんだぞ」
 まさかずっと起きてたわけじゃないだろうけど……押し当てられたソレがわたしが目覚めるまで待っていたことを如実に物語っていた。
「だから、いまから……ここにもっと私のものを注ぎ込むんだ」
 そう、この日だけは何も付けず愛しあう。もしできてもそれは天からの贈り物だと以前から話していた。
「ここ、こんなにして……すぐにでも出来そうだ」
 昨夜の余韻を残したわたしのソコは未だに卑猥に濡れていた。
「やっ……ん」
 確かに夢の中でもずっと気持ちよくさせられてたように思う。ソコを彼のモノで擦られると、うずうずとした快感が滞留していたのが一気に付け根に集中してしまう。わたしのソコはもうすっかり準備が整っていた。
「ゆっくりとナカ、擦るから……ココも」
 そう言って後ろからゆっくりと突き上げられ、そのまま胸と付け根の蕾をきゅっと摘まれた。
「ダメっ……同時に、しないで」
「ダメと言われるとよけいにされるって、まだわからないのか? もう10年も抱かれてるのに」
 クスクスと笑いながら彼の腰使いは激しくなっていく。そうだ、こんな関係になってからもう10年。最初は不倫だと思い込んでたんだっけ。それでも愛されたいと……願った。ずっと好きだと思っていた勝よりも、もっと深くわたしの中に入り込んできたのが俊貴さんだった。あれから、もうそんなに……
「朱音、何年抱いても飽きない。いっそのこと今日は仕事を休んで一日中抱いていようか?」
「何言って……んっ、ダメ」
 聖貴も愛音もお正月明けまで保育園もない。一緒にいられれば幸せだけど、そんなわけにもいかないのはわかっている。会社が今一番忙しい時期なのは以前勤めていたからよくわかっていたから。
「ダメならそろそろイッてくれないと……私もイキそうになる。感じてるんだろ? 先程から小刻みに私を締め付けてきてるよ、朱音」
「やっ……あっ、だめ! 擦らないで、そこは……あっん、いく、イッちゃう!!」
 中と外を同時に責められるとあっけなくイッてしまう。朝は特に前の刺激に弱いのを知っていてわざとだわ。
「もう……んっ、あっ、ああっ!!」
 いきなりひっくり返されてそのまま深く抱え込まれ、奥までズンズンと強く突かれた。イッたばかりの身体がビクビクと震えて、またイキそうになる。
「あっ……また、いくっ……ん」
「もう……くっ、出すぞ、朱音!」
「ああっ……いっ……ん」
 キスで嬌声を閉じ込められたまま同時に絶頂を迎える。ドサリと落ちてきた彼のかすれた声が耳元で『愛してる』と告げてくる。そしてそのままふたり余韻に包まれて放心していた。
 だけど、時間が……そう思っているとぐぷりと彼がわたしの中から出て行ってしまった。同時に放たれたモノがわたしの中から溢れ落ちる。
「あっ……ん」
「おまえはゆっくりしていなさい。子どもたちが起きてくるまで、な」
 休みだからといってそういうわけにはいかない。起き上がって朝の支度を手伝おうとしていたのに、ちゅっとキスで止められた。
「何だ物足りないのか?」
「えっ、ちがう……やぁ……だめぇえええ!」
 感じたままの体が辛いのに……ニヤッと笑った彼が再び隣に滑りこんできたかと思うと、そのまま……指でイカされた。それも続けて……

「それじゃ行ってくるよ」
 シャワーを浴びてスーツに着替えた彼が再びわたしにキスをして部屋を出て行く。わたしは……本当にぐったりと脱力して起き上がれないまま目を閉じた。

「ママ! ゆきがね、つもってるの!」
 外の雪に驚いた子供達が起こしに来た時、裸のままなのを知られないようベッドから出るのに一苦労した。朝からあんなのって……やっぱり酷いわ。
 ほんとうはそんなふうに思っていないくせに、つい悪態をつきそうになる。こんなに愛されて、可愛い子供たちにも恵まれて、この上なく幸せなのに。
 あんなに出されちゃったら……できてるかもしれない、かな? もし子供が授かっていたら……それはそれで嬉しいと思える。
「ママ、おそとのゆきであそんでいい?」
「ちゃんと暖かくしてからね」
「やった!」
 聖貴と愛音はさっそく外のうっすらと積もった雪でお遊びだ。きっと手や顔を真赤にして戻ってくるだろう。部屋を温めて、温かいスープでもつくろう。それともリゾットがいいかしら?
 台所から子供たちの遊ぶ姿を眺めながら料理をはじめる。
「パパも早く帰ってこれたらいいのにね」
 さっき出かけたばかりなのにもう帰って来て欲しくなる。心も身体も求めたままだ……
 今日は聖貴の誕生日だから、お祝いは昼間に美奈ちゃんや亜貴くん、それから保育園のお友達を呼んで、ケーキをみんなで食べた。わたしたちからの誕生日プレゼントは夕飯のあとに受け取って喜んでいた。おじいちゃんたちからもらった変身ベルトは、すぐにつけてそのまま写真をメールで送り、そのあと電話でお礼を告げた。そして、わたしたちからはまた新たな図鑑セット。興味を持ちそうなものを選んだのだと俊貴さんは言っていた目を輝かせてページをめくっていたことはメールで報告済みだ。
『すまない、遅くなるよ』
 昨日無理して早く帰った分のしわ寄せが来たらしい。電話でそう告げてきた。
「早く帰って来て」
 いつもは言わない言葉を口にする。
『おいおい、私に仕事をさせない気か?』
「待ってるの」
 だから早く帰って来て……お願い。思い出す度快感に揺れる身体を抑えこんでもう一度告げる。
 
 その夜、遅くに帰ってきた彼が玄関先で求めてきたのは、二人同じ気持だったのだと嬉しく思いながらも安堵した。
 告げなければ伝わらないのだから……こうしてまた10年目の結婚生活が続いていくのだから。
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5話です! 実は最後じゃなくて、6話目が大地と麻衣のバレンタインになります。受験が終わった頃って、ちょうど今頃だと思うんですけど……
しかし朱音と俊貴には遅すぎるとか全く関係のない代目になっちゃいました(汗)今年のメインはやはり大地かなと……
ソレではそちらはもうしばらくお待ちくだされ(汗)m(_^. .^_)m