2013クリスマス企画
3
2013年12月23日
〜俊貴〜
昨夜は、いや今朝までか? しっかりと朱音の身体を堪能させてもらった。
昨日の朝は恥ずかしがる朱音を見て悪戯心が止められないまま窓辺に立たせて虐めてしまったが、出かける準備もあるのでそのまま最後までヤラずに焦らせたまま放置した。私にはドレスを着た彼女が物欲しげで潤んだ目をしているようにしか見えなかった。もちろんパーティ会場にいる彼女は誰よりも淑女に見えたし、貞淑な妻だった。そう見えるドレスを選んだのだから。楓が着ていたような胸の谷間を魅せつけるようなドレスも朱音には似合っただろう。だが、そんな姿は誰にも見せたくない。それなのに誰かに見られるかもしれないというリスクを犯してまで野外で彼女を求めてしまう。辺りは真っ暗な公園で、恥ずかしがりながらも感じて『欲しい』とねだる彼女が可愛くて、我慢できなくなってしまった。理性や羞恥心よりもわたしを求める気持ちのほうが強いと確信が持てたのは嬉しい事だ。寒くて危険なのを承知で繋がり奥の奥まで攻め立てた。
「朱音、可愛いよ。ガラスに映っている姿も」
「いやぁ……あっん、ああっ」
公園の樹にしがみついた朱音の中にたっぷりと放ったはずなのに、それだけでは満足できなかった私は自宅に帰ってシャワーでお互いを暖めあいながら再び彼女を求めた。ソープで洗いたっぷりとかわいがったあとは今朝の続きだ。カーテンを開けた窓に朱音を映しながら、後ろからその手を引き、立ったまま脚を閉じた朱音を激しく攻め立てた。何度もビクビクとイキまくり、その度に締め付けられるのは最高に気持ちがいい。だけど耐えに耐えてベッドに移動したあとも、朱音に何度も『許して』と言われながらも攻め続けた。こうして朱音を夢中にさせていると自分のものだという実感が更に湧いてくる。普段の彼女は母であり家族の顔をしているから、たまにこうして女の顔に戻した時、自分がどれほど彼女を愛し執着しているのかがわかる。失いたくないからこそまた手の中に戻そうと躍起になるのだ。
彼女自身はどうなのだろう? 誰にも見せたことのないような姿をわたしにだけ晒して乱れ、正気を取り戻した時の恥ずかしそうな顔がたまらないのだが、子どもたちを前にすると母親の顔に戻る。それでもふたりっきりになると、また甘えた顔をして寄り添ってくるのが可愛い。人前では決していちゃついたりそういうことが苦手な彼女が、わたしとふたりの時にだけ甘えてくれるのが嬉しくてたまらないのだ。
「ああっ……もう……ダメぇ」
本人は気付いているのかいないのか、何をしてももう感じることしかできなくなった朱音は、バスルームや窓際、そしてシーツの上で体液を撒き散らしていた。
「朱音、そんなにきもちがいいのかい?」
「やぁ……ん、あっ、あん、イイ、もっと……あなた」
「ああ、いくらでも! 朱音っ、くっ」
「いちゃう、また……やっ、ああっ!」
「朱音っ!!」
終いにはわたしの上で泣きながら腰を振りまくり、自ら快感を求めていた。さすがにわたしもそれには降参で、あっけなく朱音に搾り取られてしまった。それは最高に気持ちが良かったが、悔しかったので休憩を入れたあとリベンジでたっぷり攻めかえした。明け方朱音の中に、残ったものをすべて放ち、そのままわたしも眠ってしまっていた。
こんなことが出来るのも、子どもたちが家にいない時だけだ。毎晩私に抱かれていても、母親としての朱音は少しの物音にも敏感だ。その心配がなく、こうして何もかも忘れ狂ったように抱かれてくれる彼女に夢中にならないわけがない。久しぶりに朝まで何度もしてしまった。夕方には子どもたちが帰ってくるだろう。そうすれば再び母親の顔に戻ってしまうのだ。それまでは何もしなくてもいい。こうして何も身につけないままベッドにいればいいんだ。朱音ももう動けないようだから、お腹が空いたらサンドイッチでも作って食べさせてやろう。ぐったりと眠る妻の無防備な寝顔にキスを落とす。
「愛してるよ、朱音」
明日はクリスマスイブで結婚記念日だけど、残念ながら仕事だし子供達も居る。明日の分も今日は朱音を可愛がってやれたと思う。だから明日は、優しく抱きしめて眠ることにしよう。目が覚めた彼女に『メリークリスマス』と『結婚記念日おめでとう。また1年よろしく』と伝えることを忘れないように。
〜瞳〜
「おはよう。もう少し寝てていいぞ」
夫が気だるそうな声でそう言ってくれるので、お言葉に甘えることにした。
「昨日は珍しくおまえも飲んでたみたいだからな」
「ん……そうね」
それだけじゃないけれど。
昨夜、パーティから戻ってくると次男の源太はすぐに友だちと約束していると言って出てしまった。大地は麻衣ちゃんを送っていくと言って結構遅くまで帰ってこなかったようにおもう。
大丈夫かしら? ちゃんと送れたのだろうかと心配になる。社長の姪御さんになるわけだし、向こうが歳上でも、もしものことが有れば大地が責任取らなきゃいけないわけだし。あの子ももうもう高校3年生。今年受験だけどもう18歳の誕生日は迎えたから男としての責任は取れる年齢になってはいる。今まで彼女がいなかったわけではないようだし……夫も真面目な顔して手が早い方だったから。意外と長男って父親に似るものなのよね。たとえ本人がそう望まなくても。
「子どもたちは何時頃帰って来たのかしら?」
「源太は8時には帰って来ていたな。大地も10時には帰ってたはずだ」
その記憶が無いことを彼は責めたりしない。その原因を作ったのは彼なのだから。
「身体、大丈夫か?」
一応心配はしてくれるらしい。子どもたちのこともすぐに答えられるところをみれば、起きて時計を見ていたのだろう。
「少し身体が痛いわ」
「……すまん」
源太が出て行ったあと、着替えてお風呂に入る用意をしている時にそのまま襲われた。夫相手にそう言っては行けないのかもしれないけれど、文字通りドレス姿のまま……スーツ姿の彼に。めずらしくガーターなんてつけていたのを朝から見ていたからか、朝からやたら腰のあたりを撫でているなとは思ったのよね。
夫婦も長くやっていると、明るい時間帯に、あんなに愛撫されることなんてあまりない。大抵子供が寝静まった夜中か、朝子どもたちが起きてくるまでのまどろみの中、なれた仕草で濡らされて夫婦の営みはあまり時間をかけずに終わる。だけどここ数年変わってきてることはわかっていた。
わたしだってお肌のお手入れは怠らなくなったし、下着選びだって気を使うようになった。それが記念日やクリスマスといったイベントには最高のものを用意するようになった。麻里さんがいつも新しいおすすめな物を教えてくれるし、朱音さんと本宮くんの夫婦にも影響は受けているけど、最近は楓の変化がすごいのよね。社長夫人となって綺麗さにも凄みが出てきて、なによりも愛されオーラがすごいのよね。社長の亮輔さんは歳下だし、身体が持たないとかって話をそう度々聞かされればこっちも想像してしまうというもの。それは夫も同じらしく、子供がいなくなった家で何をスルのかされるのか、想像以上な時はどう対処していいかわからなくなる。
『ちょっと、あなた……なにするの?』
立ったままドレスの上からやらしく何度も弄られ、首筋に舌を這わされた。夫がその気なのは腰に当たる熱く硬い彼の下半身が訴えている。
『こうしたいのをずっと我慢してたんだ』
たしかに今回のドレスはシルクサテンの生地で肌触りツルツルして気持ちがいい。そのうえ少し薄地で、ドレープがなければ胸の形やヒップラインが凄く目立ったかもしれない。
『酔ったおまえの肌がピンク色になるのって、感じてる時とよく似てるからな。あんまり人に見せたくなかったよ』
そんなことを言われても……久しぶりに飲んだのだから酔いが回ってもしょうがないじゃない。
『ここをこうすると、ほら、そんな顔をするじゃないか』
胸の先をキツく摘まれると、わたしはビクンと身体を反らしてしまった。それだけでイッてしまいそうになる。
『あっん』
『可愛い声だな。今時分亮輔も本宮もこうやって自分の奥さんをかわいがってるはずだ。あいつらの目つきも尋常じゃなかったからな』
確かに……本宮くんの奥さん大事は前からだけど、楓のとこも昨日はべったりだったわね。妻の着飾った姿を見て脱がせたいと思うのはうちの夫だけではなかったというわけだ。
『やっ……そこは、だめっ……』
ドレスを捲し上げて、ガーターを指がなぞっていく。そして、下着の上から敏感なラインをなぞり始める。首筋にキスされながら同時にされるとわたしだって我慢ができなくなる。
『久しぶりに、たっぷり可愛がってやるからな』
そう言ってわたしをベッドに押し倒すと下着を剥ぎ取られ、そのまま足を抱え込んで舌と指で秘所を愛撫された。
『ねえ、ドレスが皺になるわ』
そうかといって身体を起こすと背中のファスナーを下ろしてくれる。バンザイさせられてそのまま上から脱ぐとそのまま鏡台の椅子にかけてしまった。彼はすでにジャケットを脱いでネクタイを外し、シャツとスラックスだけだった。
『エロいな、その格好』
上はドレスに影響しないようにとビスチェを着ていた。
『どうしたいの?』
『そりゃその格好のまんま上に乗せて喘がせたいよ。だけどまずは……自分でそうしたくなるまで我慢だな』
その言葉通り、感じさせられて、喘がされて、欲しいとねだってももらえなくて……半泣きになりながら彼のスラックスのベルトを外し、その中身を取り出して指で扱く。口に含むともう我慢できなくて、自ら彼の上に跨った。
『瞳、綺麗だ。最高だよ』
『あああっん!』
自ら引き込んだいつもより熱く固い夫のモノに感じて一瞬気が遠くなる。あとはもう、下から激しく突き上げられ、わたしの身体は宙を跳ねた。いつもとは違う激しさとたくましさを感じながらわたしは彼のものを強く締め付けながら……果てた。彼も同時に放ちながらも腰の動きを止めなかった。
「昨日のおまえは凄かったね」
「それは、あなたもね」
「子どもたちもまだ起きてこないことだし、な? いいだろ?」
「えっ、あっ……」
そう言ってまた後ろから身体を弄り、昨夜の余韻を残したそこへ強引に入り込んでくる。
「やっ……あん」
甘い声がわたしから漏れる。知り尽くされた身体は拒むことを許してもらえない。
「声、気をつけろよ」
「んっ……」
ゆっくりと夫がわたしの中を擦り上げてくる。朝の感じやすい身体はそれだけでもう堕ちていた。
その時寝室のドアがノックされ、ビクリと二人の体が跳ねた。
『あ……オレ、出かけてくる』
ドア越しに聞こえるのは大地の声だった。もしかして麻衣ちゃんとデート? それとも……
バタンとドアの閉まる音がする。そして自転車の音。
「瞳、驚くのはいいがその度に締めるなよ」
「だって……」
ぐいっと押し込まれ、緩慢な快感がいきなり強くなる。
「ゆっくりして欲しいか? けど、こんなんじゃ満足できないんだろ?」
そう言ってわたしの身体を裏返すと脚を抱え上げた。
「やっ、いきなりこれは……ダメ!」
深すぎておかしくなる! だけどそんなわたしの言葉など聞こえないフリして彼はわたしを攻めはじめた。
「声、出すなよ? まだ源太が居るんだからな」
わたしは必死になって掛け布団の端を噛んだ。
「んっ……んんっ!」
「相変わらず、ココ、弱いな」
「んんっ、いじわる……しないで」
激しい動きでなく押し込んだままグリグリと動かされて、わたしは逃げることも出来ず激しい動きを待ちわびていた。だけど彼はゆっくりとその深さを味わうばかりだ。
「お願い……」
「激しくして欲しいのか?」
わたしが頷くとようやく今日はじめてのキスが降りてくる。舌を絡ませる濃厚なもの。
「それじゃそのまま声出せないようにしてやるから、な?」
ニヤリと笑ったあと、わたしの唇を塞いだまま、彼は激しく腰を使い、わたしに楔を打ち込んでは漏れる声を飲み込んでいた。
「ううっ、んんーっ!!」
そのままもう一度気を失ったというか眠りに落ちて、次に目がさめたのはお昼をかなり過ぎてからだった。
「お昼、簡単だけどできてるぞ」
「お父さんが作ったご飯美味しいよ! おかあさん」
台所へ行くとエプロンした夫が卵を焼いていた。他に料理は大してできない、ただ焼くだけだけの料理だけど、全く何も出来ない次男の源太は父親を褒めまくって目玉焼きとソーセージを山盛り平らげていた。まったく下の子は父親をいい気にさせるのが上手いわね。どうしても長男はうまく接することが出来ないみたいだけど。
「そんなに美味しいならいただこうかしら?」
「それじゃ、この焦げてないミディアムなのをご馳走しよう」
そう言う彼の皿には黒焦げになった目玉焼きが乗っている。
「シェフにおまかせするわ」
そう言ってわたしは席についた。この後、流しのところでひどいことになっている食器のたぐいを片付て、それから……今晩のご飯はどうしようかしら? 卵は買いに行かないと底ついたみたいだし、あとはとめまぐるしく主婦の計算をしていた。
「どうだ? うまいか?」
「ええ、とても」
褒められて喜ぶ子供のような夫に心の中で溜息を付く。笑顔だけは絶やさずに。
〜亮輔〜
「おい、そんなに怒ることないだろ?」
「それじゃ、あなたは反省したの?」
「それはだな……」
少しは申し訳なかったと思ってる。麻莉亜が早々に眠ってくれたのはいいが、疲れて一緒に眠ってる楓をベッドに移して、そのまま寝てるところを襲っちまったんだからな。いやあ、寝ぼけてる楓はふにゃふにゃしてて可愛いのなんのって。快感に弱いからすぐにあんあんとイイ声をだしてくれるからつい調子に乗って。だが一瞬、他の男でも同じなのかと疑ってしまった……そこから、まあかなり攻撃的になって攻め立てたというわけだ。
彼女が怒ってるのはそこだと思う。疑ったのは申し訳ない。だが、今はオレのものでも前の男のことを思いはじめるとキリがないんだよな。そういうのが見え隠れする時、オレはつい嗜虐的になって彼女を責め立ててしまう。言葉と愛撫で彼女が泣きだすまで……激しく執拗に快感を与え焦らしてイカせない。そうすると滅多に泣かない楓が泣きながらオレを求めるのを見てようやく安心する。他の男にはそんな顔見せたことがないというのだから、この時だけはオレのモノだと確信するのだ。
「なあ、麻莉亜はまだ起きてこないんだし……な? いいだろ」
「ダメよ。もう、反省してないじゃない! 寝てるわたしに一体何回したと思ってるの!」
「寝てる間は一回だけだって。あとの2回は楓も起きてたし?」
「だから……それだけヤレばもういいでしょ? もう少し寝かせてって言ってるのよ。麻莉亜が起きてきたらそれこそ寝てられないんだから。もう、わたしの貴重な睡眠時間を……」
まあ、パーティの準備だのなんだので少し気を張ってたんだろうな。昨日は安心して寝てるって感じだったから。麻莉亜も珍しく夜もぐずらずに寝てくれたし。ふたり静かなマンションに一日いるだけだと、静かだし刺激が少ないので、どうしても昼寝の時間が長すぎたりするのだろう。その上オレの帰りが遅ければそれだけ生活が夜型になってしまう。
「楓が仕事はじめたらもっとふたりの時間がなくなるんだぞ?」
「それは……」
覚悟はしているらしい。まあ、合間は見つけるがな。
「だったら……いいだろ?」
起き上がって楓の薄い胸の上に己の怒張しかけたモノをこすりつける。諦めたような顔をしてソレにそっと手を添えてゆっくりと扱きはじめる。
「んっ……」
チロチロと舌先で舐め上げたあと、口に含んでくれたのでそっと腰を動かして楓の口の中を出入りさせた。
「キモチいいよ、楓」
おまえにフェラを教えた男は憎いが、そこそこの舌使いに感謝はしなければならないだろう。ツボを抑えた舌遣いに指で扱く強弱の加減も絶妙だった。楓が数多くの男を知っていると同様オレも同じなのだから文句は言えない。
「今度はオレの番だな」
「やっ、それは……止めて!!」
指を折り曲げてナカを擦りはじめると怯えた顔で拒否りはじめる。
知ってるさ、こうされるのがあまり好きじゃないって。自分で快感がコントロールできなくて悔しいんだろ? そのあと入れられると泣いてしまうほど気持ちよくて、イキまくって……オレはその顔が見たいんだ。前に言ってたよな? ここまでされたことがあるのはオレだけだって。オレだけが知ってるおまえが見たくなるんだ。さすが今日は俺も休みだからな。時間は……たっぷりあるさ。麻莉亜が起きなければ、だけど。
「ひっ……やああああっ、イク、いっちゃう……やめて、もう、やだぁ……また、イク……んっ」
ビクビクと身体を反らせて快感に揺すぶられて鳴きはじめる楓の中を、己のモノで何度も擦り上げてその締め付けに耐える。
「くそっ、気持ちよすぎるんだよ、こんなの」
俺だってタダですまないのはわかっている。攻めてるはずなのに何度も持って行かれそうになる。
「くっ……ああっ」
楓の中で解き放つ瞬間、腰が震え脳まで痺れる快感に男のプライドが砕け散りそうになる。
「あっ……あっ……」
同じように、いやソレ以上に感じて震えているのが全身でわかる。そのことに満足して、俺はドサリと身体を預けると楓の額にキスをしてそのままぎゅっと抱きしめる。震える彼女がようやくほっと息を吐き、安心したように目を閉じた。
俺のだ……こいつは俺だけの。子まで無しておきながら嫉妬もへったくそれもないのにな。自分の愚かしさに呆れてしまう。こんなに嫉妬するなら見せびらかさなければいいんだ。あんな胸元の空いたドレスなんて着させずに。
「楓、愛してる……ごめんな」
こんな嫉妬深いアホな夫で。仕事面でも誰かに助けてもらわないとやっていけない頼りない社長だ。それでも……楓と麻莉亜、家族は守りたい。会社も部下も社員も……俺は欲張りなんだ。そして楓もそうだ。同じものを見てるはずだから。
「亮輔……さん」
目を閉じた、今だけ従順な妻の寝顔に再びキスを落とす。もうしばらく、子供が目覚めるまでこの充足感を味わっていたかった。
『ぅえ……えっ……んま……ママ』
「さっそくこっちのお姫様がお目覚めか」
俺は急いで部屋着に着替えると隣の部屋へ向かう。目覚めてベビーベッドの柵にしがみついてかじっている娘を抱きかかえる。
「麻莉亜、おはよう。今朝はご機嫌斜めなのか、ん? ママはいま寝たところだからな。パパと起きていような」
抱き上げたあとおむつを替えてミルクを用意しに台所へ向かう。
「さて、ミルクでいいんだよな? 量は……どうだったっけ」
滅多にやらない子供の世話に少し戸惑いながらも、夜中に起きた時ように用意してあるミルクのセットを見つけてそれを作るとベビーチェアに娘を座らせてカップ式になった哺乳器を持たせる。そして二人分の珈琲をセットする。そのうち、珈琲の匂いにつられて目をさますだろう妻のために。
「いや、あの調子じゃ昼間で起きそうにないか?」
ぐったりとした妻の寝顔を思い出し自分の分の珈琲をカップに注ぎダイニングの椅子に腰掛けると脚を組んでカップに口をつける。
「おいしいか、麻莉亜」
「あいー」
まあ、たまに娘とふたりの朝も悪くない。そのうち……こんな無茶をしなくなるだろうなんて、そんな自分が想像できなくて、苦笑してしまう俺だった。
3話目です。これは2013年のクリスマスです。そして、次は大地と麻衣です。あまり期待しないで(汗)
その分、バレンタイン頑張りますので!!とりあえずこれで3日連続なんとか!