2011クリスマス企画
3
2011.12.24
〜亮輔〜
あー、式の前だっていうのに、やり過ぎたか?
「う……ん」
お腹に赤ちゃんがいるって言うから、これでも少しは加減したんだ。奥を突くのを我慢したら、なんか余計に時間かかったというか、互いに強烈な絶頂が来ない代わりにみっしりと濃密な快感が持続した。イキそうでイケないって感じ? アレは反対の意味でヤバいな。最後に我慢しきれずに、漏らすように果てた時、脳みそが溶けるかと思った。
「おい、大丈夫か?」
そっと声をかけるが、深い眠りのようで一向に目覚める気配はない。
あまりにも、嬉しかったんだ……子供ができたこと。まあ、こいつも40だし?おれも39だから若いとは言えない。子供作る位の精力はあるつもりだったが、こいつは女だし、ずっと一生仕事しているつもりだったらしいからな。出来なかったらそれでもよかったんだ。ただ……出来たらこいつはオレから離れないだろうという安堵感が欲しかったのかもしれない。逃げられない枷のようなものだな。それに、親戚連中だってこれで煩くは言わないだろう。この歳まで結婚しなかった為、誰でもいいから落ち着いて跡取りを! と叫んだのは向こうだ。その手前、楓の事反対できなかっただろうし、彼女だったらいざオレに何かあった時でも立派に代行できる女だ。オレの両腕である羽山先輩や本宮さんとも同期だから、彼らも楓がTOPに立った時は十分に補佐するはずだ。まあ、オレは倒れたりくたばったりする気は毛頭ないがね。
取り敢えず、子供ができた喜びを体現したらこの有様だ。本日の花嫁は、オレに抱きつぶされて当分眠りからさめそうにない。マジで夕方からの式でよかった……式は4時からで、披露宴は5時からだから、2時に花嫁準備室に入ればなんとか間に合うだろう。
それにしても昨夜の楓はすげえ、よかった……オレのこと本気で欲しがって、それでも激しくできないから焦れてじれて、オレを柔らかく何度も締めつけてくるんだ。どれほど腰を使って最奥を攻め立てたかったか!! これまで、そうやって激しい獣のようなセックスをしてきたオレ達だ。あんな歯がゆい動きでよく我慢したと思うぞ、オレ。その産物がアレなら……まあ、よしとしよう。どの道これから一生抱き続ける大事な身体なんだ。母親である今は、無茶だけはしないように気をつけないと……楓のナイトを気取ったふたりに責められたら、さすがのオレもお手上げだ。あれだけ優秀で、そして信頼できる彼らを敵に回したくない。社長であるオレにきちんと意見もしてくるし、裏切らない貴重な友人でもあるのだから。
「楓、そろそろ起きないと……もう一回襲うぞ?」
あまりに起きない彼女の身体をさわさわと撫でながら耳元で囁くと、いきなりバチっと目を開けた。
「ダメっ! それは、絶対に……ダメだから!!」
「なんだ、起きてたのか?」
「起きてないわよっ! 起こされたんでしょ! さっきから……どこ触ってるのよ、もう! こっちはくたくたで起き上がれないっていうのに!」
なんだ、テンション高いじゃないか。元気だよなぁ、でもって昨日のあの甘えた声はどこにいった?
この落差がたまんないんだよな、こいつは。
「わるかったって。お詫びに風呂入れてやるよ。シャンプーも全部してやる。もちろんエロいことはしない」
「……本当?」
チッ、ほっとした顔しやがって。
「ああ、これでも反省してるんだ。大事にしなきゃな、オレの奥さんなんだから」
一緒に住み始めた時に籍は入れてるから、とうにオレの奥さんなんだけど、まあ、けじめかな? 今日の式が……
「本気で大事にする気あるの?」
疑わしい目つきだ。ったく……オレを狂わせてるのは誰だと思ってるんだ?
見た目は気が強そうで、お堅く見える本社の女性営業課長が、抱けばこんなに乱れるなんてことは誰も知らないだろう。昔関係したという男には悪いが、オレ以上に彼女を喜ばせられる男はいないと思う。もちろん愛あればこそだが、何よりも相性がばっちりだと思わないか? まあ、その分普段よく喧嘩するけどな。その分盛り上がるんだよ、ナニが、さ。
「一生大切にするよ。壊さないようにするから、一生抱かせろよな?」
「もう……おばあちゃんになっても?」
「ああ、もちろん」
くすくすと笑う笑顔が子供のように可愛い。
「どうした?」
「普通の結婚の誓いより、ぐっとくるわ」
「本当か? じゃあ、今日はそう誓うか?」
「馬鹿っ……ねえ、お風呂にいれて? お昼も食べたいし……」
「了解、奥さま」
彼女を抱き上げると、バスルームに向かった。
「おまえの事だから、花嫁衣装の楓に手を出してるんじゃないかと思ったが、それはしなかったのか?」
「それは、夜のお楽しみだろ? あの衣装は持ち込みの買い取りだからさ」
披露宴の前に控室に顔を出してくれた羽山先輩が、やっぱりヤルのかと唸る。それは当然だろう? 男のロマンだからな。
「確かに夢だよなぁ、花嫁衣装のままヤルなんていうのは」
羽山先輩がマジな顔して言っている。まだまだ現役ってとこかな? まあ、奥さんも可愛い人だし、大きな子供がいるようには見えないけどさ。
「なんなら、下のショップにドレスとか売ってるところがありましたよ?」
「本当か?」
先輩とこ、今日は着物だったからか? マジで食いついてくるのは……本気なのか? 先輩。だけど、その横で何か考え込んでる本宮さんのほうが怖いけど。
「そうだ、先に部屋に通させてもらったけど、いいのか? あんないい部屋」
「うちのは喜んでたけどな。子供がいるから、旅行しても家族ではセミスイートなんて泊まったことないからなぁ」
「日頃のお礼を兼ねてですよ。嫁さん孝行もたまにはいいでしょ?」
どうやら両奥さまに喜んでもらえたらしいが、反対に富野はすまなそうに頭を下げてきた。
「うちまですみません、社長……」
「いや、おまえも楓の下で大変だっただろう? あいつは仕事に厳しいからさ」
「はいっ! いえ……その、まあ本宮部長で慣れてましたんで」
あははと笑ってしまうおおらかさは、やはり憎めない。もう少ししっかりしていればと楓も言っていたが、部署の雰囲気をよくするのには一役買っているだろう。新しく九州の支店から引き抜いて来た営業課長とも上手くやっているみたいだ。富野より年下だけどな。
〜羽山〜
「ひやー緊張したぁ! 取引先に会社の上司、社長の身内まであれだけいたら、料理も食べた気しないっスよ」
富野がそういうのも無理はない。オレや本宮は部長クラスだけれども、こいつは出席者の中でも唯一係長クラスだ。専務クラスからすれば、部長の俺たちが来てるのすら不思議に思われてもおかしくないが、一応友人として夫婦で出席しているが、蔵木が俺たちを両腕にしようとしているのは見えているので、せいぜい皮肉を言われる程度だ。だけど、富野は楓の部下代表と言うこと出来てるからな。現課長も来てない中、目立つことこの上ない。そのうえ楓の女友達は少ないから、既婚の女性が数人来ている中で、朱音さんや麻里さんは若いうちにはいるので、しっかりと注目されていた。だからか? やたらと本宮の機嫌が悪くなっているのは。
「おい、しかめっ面してるなよ」
「どうして、夫婦同席じゃないんだ?」
「しかたないだろ? 楓の友人席が余ってるんだ。あの豪華な部屋にはきっとこの謝罪も含まれてるんだぜ。楓のためだと思って納得しとけ」
「やたら、あの席に人が寄ってないか?」
先ほどから酌をしてまわる若い親戚や蔵木の学生時代の同級生達。まあ、40前後は間違いないが、その分必死なのかもしれない
「大丈夫だろ? 左手を見ればわかることだ」
あの席の女性、全員が既婚者であることは指輪の存在を見ればわかるだろう。
「あ、うちのやつ結婚指輪付けてないかも知んない!最近サイズが合わないって……」
「ぶっ!」
富野の情けない呟きに、思わず吹き出してしまった……相変わらず抜けてるヤツだ。
「そのぐらい前もってサイズ直ししておけ。もしくはなんでもいいから付けさせておけばいいんだ」
本宮に言われてもう一度しゅんと頭を落とした。麻里さんはにこやかに酌を受けている。やたら愛想もいいうえ一番の若手だ。それでも富野のとこは心配ないだろう。離婚の危機を乗り越えた強い夫婦なんだと本宮も言っていたしな。
「あー麻里のヤツ、あんなに飲んじゃって……あ、よかった、さすが朱音だ」
みれば助け船を出したはずの朱音さんが今度は酒をすすめられている。
「むっ……」
おいおい、そのぐらいで機嫌悪くするなよ。
「あいつはあまり飲めないんだ……今夜寝てしまったらどう責任を取るんだ? 富野」
「ひっ!」
本宮のその低い声に富野はすっかり威嚇されていた。まあ、今晩のことは、それなりに楽しみだよな? 久々に妻と二人でホテルに泊まって……まあ、やることはひとつだし? うちもこの歳になってだが、瞳のヤツがやたら張り切っているようだ。マンネリになりがちな夫婦の関係を、この雰囲気をかりて盛り上げようってとこだな。
「間違っても、麻里さん怒らせてうちの部屋に駆け込んでくるような真似するなよな」
ありえそうで怖い……それだけはやめてくれ。もちろん、こっちの部屋にも来てくれるな。
「あ、はい……その時はひとり寂しくどこかで朝を迎えますから……あはは」
富野の乾いた笑い。すんなりとロマンチックに過ごす自信はないのか?
「まあ、最大級の爆弾は……あっちだと思うがな。その時はうちだろ……」
長い祝辞が続き、段々とひきつった笑顔になりつつある高砂席のふたり。まあ、楓はなんとかもっても、蔵木のやつはそのうち悪態付くか楓を困らせるようなことをしかねない。その鬱憤があとで爆発して楓が切れるというのはありえないことではない。
「そっちは大丈夫だろ。いくらなんでも、楓もそこまでは馬鹿じゃないさ。蔵木だってわかっていて楓のストレスを小出しに消化させてるだけだ。あいつはそこまで計算してるよ」
なるほどな……我慢する時は徹底的に我慢する楓だ。それがああやってプンスカやってるのはオレ達との間でもそうなかった。素直に……というか、のびのびさせてやってるってわけか。
これから……社長夫人だとか、その秘書だとか、責任とストレスの重責は増えるだろう。その上出産と育児が重なれば、楓が無理するのは見えている。いまからああやって、楓を自由に動けるようにさせているのなら、わかる。本来の蔵木亮輔は味方には寛大だが、一旦敵と見なせば容赦しないヤツだから……
「それなら安心だ」
同期でも、かなり結婚が早かったオレは子供もかなり大きい。だからつい、花嫁を見守る父のような気分になっているのに気付いていた。
披露宴は滞りなく進んだ。まあ、取引先などに対するデモンストレーションも兼ねての披露宴だ。友人の挨拶も控えめだったし、花嫁花婿の年齢も年齢なので、お馬鹿な余興もなかった。花嫁の上司・同期として本宮が挨拶したが、さすがに落ち着いたいい祝辞だった。仕事ができることを強調し、これからの会社の反映のための良縁だと結んだ。もちろん、花婿がべた惚れだというのは花婿の先輩のあいさつで、オレがダメ押ししておいたがな。
「さてと、それではご夫人方を迎えに行きますかな?」
披露宴が終わり、皆が席を立つ中、それぞれの伴侶のところへと向かう。ドレスアップした妻はまた一段と格別だ。うちのは訪問着だから、あれで今宵はお代官様ごっこもできるなと、ほくそ笑む。麻里さんはちょっと若づくりしすぎと言えないこともないが、可愛らしい感じのワンピースドレス。朱音さんは……レースで首元までかっちり締めたクラシカルなドレスだ。だけど、その黒いレースからのぞく白い素肌が余計に引き立てられて、ある意味危険なんじゃないかと思うほどだ。よく許したな、本宮のヤツ。
「どうする? ラウンジでカクテルでも飲んでくか?」
「いや、部屋に帰る」
オレの誘いに真面目な顔して本宮は朱音さんの肩を抱いてさっさとエレベーターに向かってしまった。
「富野は……あ、無理そうだな」
すっかり酔っ払った麻里さんが富野の首を絞めてる??
「ぐえっ……そ、そうっすね……せっかくのお誘いですが、どうも無理みたいです」
必死で引き剥がして乾いた笑いを見せるが、一層哀れだ。
「麻里さん、すっごく緊張してたのよ。こんな気を使う式って出たことないって言って。お酒も断らないもんだから結構飲んじゃって……大丈夫?」
「だ、大丈夫です。いざとなったらフロントに言いますよ。ありがとうございます」
「そうか、それじゃな。気をつけろよ?」
オレにも気を使ってるのがわかる。神経太そうに見えて、結構気を使うんだな。
「本当に大丈夫かしら……」
「まあ、富野に任せるしかしかないさ。さて、オレ達も部屋へ行こうか」
「え、ええ……」
『その帯、オレに解かせてくれるんだろう?』
耳元で囁いた言葉に、長年連れ添った妻が久しぶりに赤い顔して俯いたあと艶っぽく微笑んだ。
〜俊貴〜
「んんっ」
エレベーターが部屋の階を指し示すまでが待ち切れなかった。いつ開くともわからない四角い箱の中でわたしは朱音の唇を貪る。引き寄せ、ドレスの柔らかな布越しの妻の身体のラインを楽しんでいた。互いの中に灯った欲望の炎はくすぶることなく、そのホテルの部屋に滑り込むと同時に燃え上がった。
「朱音、朱音っ……」
今日の彼女は凶悪的なほど艶っぽかった。首元から袖口まで黒の総レースで、胸元と背中は深いくりで、レースに隠れてはいるが白い肌がその隙間から見えてエロチックだった。いくらお出かけでもこんなにドレスアップした姿は自分たちの結婚式以来じゃないか?? 覆い隠されているようで透けて見える妻の素肌を見せつけられていた。それも遠くの席にだ。自分の保護下からに外に出してしまったようで不安でたまらなかった。早く自分の手元に引き戻し、その所有印を付けたくて、自分でも焦っているのがよくわかった。
「ここの開いてないドレスでよかったな、朱音」
耳元でささやきながら首筋のレース越しに唇を押しあてる。
「だって、俊貴さんがダメだっていうから……」
「そりゃそうだろ? ここに赤い印をつけられなくなるじゃないか。髪なんかあげて、誰かに見せるつもりだったのか?」
そう、これは一緒に選んだドレスだ。他にも色々ある中、地味なようで彼女に一番似合うこれをわたしが薦めた。胸元の開いたドレスなんてもってのほかだ。
妻の魅力的な姿は誰かに見せたいようで見せたくないものだ。自慢でもあり不安の元にもなる。彼女が誰かに取られるとか気移りするなんてことは、ないってわかっているし信じてもいる。だが、他の男に変な目で見られたくないとも思う……男のエゴだな。
「だけど途中で後悔したよ」
「ごめんなさい……似合ってなかった?」
「似合いすぎて、困ってるんだろ? 他の男のおまえを見る目が気にいらなかった。わたしだって……今日、この服を着たおまえを襲いたくて困ったんだからな」
今日の披露宴は遅い時間からだったし、部屋には3時にチェックインできるというので、女性たちはホテルの各部屋で着替えていた。髪のセットや化粧は美容院で済ませてきたので式が始まるまで少しゆっくりできたのだが……着替えた彼女を見てそのまま部屋で犯してしまいたい衝動にかられたのは言うまでもない。禁欲的なようで大胆な透け柄、腰のあたりまでタイトなラインが女の色気を見せつけてくれる。きっちりと閉じ込められものを暴きたくなるのも男の性だ。特に、スカート部分は柔らかい布地が広がっていて、持ち上げれば簡単に繋がれそうだった。
なぜなら……ドレスの下には肩紐のないビスチェとガーターストッキング、それから面積の少ない透けたレースの下着だけだったから。それは今回のドレスとは別に、わたしがプレゼントしたものだ。
「約束は守ったんだろうね? だったら今朝のようにちゃんとまくりあげてみせなさい」
上着を脱いでタイを引き抜くと、自分だけソファに座り脚を組んで立ちすくむ彼女を見あげる。朱音は一瞬びくりとしたあと、真っ赤になりながらもスカートに手をかけた。
「ほら、はやく」
急かせると、ゆっくりと恥ずかしがりながらもスカートを持ち上げた。黒いレースの下着に透けて見える陰りがまるでわたしを誘っているようだった。
「こんなに無防備な格好で、恥ずかしくなかったか?」
「恥ずかしかったわ……すごく」
そっと指先で触れると、そこは熱く泥濘んでいた。おそらく少し酔いも回っているのだろう。熱っぽさが尋常ではなかった。
「いけない子だな、こんなに濡らして……」
「違うわ、あなたが……あんなキスするから。それにエレベーターの中でだって」
そう、抱き寄せて昂ぶりを押しつけたり、ドレス越しにヒップを撫でまわしていいたさ。今日の朱音は少し酔っていて、わたしが迎えに行った時にはすでにとろんと潤んだ目をしていた。いつもと違って大胆で、エレベーターの中では恥ずかしがりながらもわたしのキスや愛撫に感じて応えていた。そんな彼女に欲情しない方が無理と言うものだ。この部屋に入ってすぐに熱情的なキスを何度も交わしながら互いの身体をまさぐり合っていた。
「ここでは、誰も見てないよ……子供たちもいない。濡らして、感じて、いつもみたいに声を抑えなくていいんだよ?」
両脇の結んだ紐を解くと、ガーターベルトを残して無防備な陰りが姿を現す。そこに染み出した愛液を指に絡ませ、優しくゆっくりと突起をこねた。
「んっ……あぁぁ……」
我慢できないらしく声を漏らすが、必死に唇を噛んで耐えている。酔っていてもまだ少し理性が残っているらしい。彼女を前後に擦ると膝を擦り寄せてわたしの指が侵入しようとするのを拒んで見せるがもう遅い。ツプリと指を飲込み、中のざらついた上壁を何度も擦りあげた途端堪え切れない甘い声を漏らす。
「お願い……もう」
「まだまだだよ」
指を引き抜くと腰を引き寄せて、今度はソコに舌を這わせながら中を刺激した。
「んっ……やぁ……だめぇ……」
甘い声を上げながら、誘うようにわたしの髪をまさぐる。逃げようとしているのか押し付けようとしているのか、もう自分でもわからなくなってきているのだろう。
「やぁああ、もう……」
イキそうになる彼女から不意に離れる。
「あ……」
快感から放り出されて耐えられなかったのか、がくがくと震え、そのまま膝を床に落としてしまった。
「もう、欲しい? だったら、出来るね?」
フォーマルスーツのズボンのジッパーを下ろして床に落とし、ボクサーブリーフを押し上げる欲望の塊を彼女の目の前に差し出す。朱音は恐る恐る手を伸ばし、その白い指先でその中からわたし自身を取り出し、丹念に舐め上げ始めた。
「いい子だ……朱音」
「んっ……んっ」
きちんと教えたおかげで彼女の舌使いはなかなかのモノで、すぐに臨戦態勢を迎えてしまう。だが、彼女をイカせるのはよくても、自分が先に行くわけにはいかない。これからたっぷりと楽しむつもりなのだから。
「もう、いいよ。ほら、このソファの背もたれに手をついて、片方の膝を乗せて……そう」
立ちあがって体制を入れ替える。今度は彼女をソファにもたれさせて、スカートの部分をまくりあげて、立ちバックの体制に近い角度で、後ろから朱音の熱くなったソコにあてがい一気に押し入った。
「んぁっ……ああっん」
思わずゾクリとしてしまう、彼女の本能の声。
「いい声だ。朱音……すごく熱いよ。動かなくてもヒクついてるね? そんなに気持ちいいか?」
「やぁ……ん、俊貴さん、お願い……動いて」
酔ってる時は箍が外れるのがいつもよりかなり早い。その甘いおねだりに我慢できずに、奥まで深く腰を突きたてた。
「ひっ……ん!」
後ろからだと表情が見えないのが残念だが、そのぶん少し保つだろう。朱音の泣きそうな表情をまのあたりにすると、すぐにでも果てようと滅茶苦茶にしてしまうのがわかっているから。
せり上がってくる快感に耐えながら、ゆっくりとリズムを付けて腰を打ち付けた。出来るだけゆっくり、彼女が焦れて我慢できなくなるほど……
「深いのも、好きだろ?」
ワンピースの背中のジッパーをおろして、ビスチェの上から胸の先を摘み上げる。レースのそれはすぐに尖りを擦り、摘み上げるたびにひくひくとソコを締めつけて来る。そのままビスチェをずらして胸をはだけさせたまま揉みしだくと再びたまらない声をあげる。
本当はドレスを毟り取って、このまま立ちバックのまま激しく突きたてたかったが、こんなに焦れて欲しがってくれることなんて滅多にないから。普段なかなかやってくれないことを要求してしまう。わたしたちにとって特別なクリスマス。初めて結ばれ、永遠の愛を誓い、子供にも恵まれた。クリスマスが来るたびに互いの存在に感謝し、ふたりでもう一度永遠の愛を誓うのだ。朱音はその特別な日、一年で一番愛を求め、淫らで感じやすくなる。
そろそろいいかな?
「おいで、今度は自分で入れるんだ」
猛りを引きぬいて、もう一度ソファに座ると、身体を起こした彼女の足元にドレスが滑り落ちる。彼女の身体に残されたのはビスチェとガーターベルトだけだ。
「んっ……」
ソファに膝を突き、キスをしながら向かい合うようにしてわたしの上に跨り、ゆっくりと昂りに向かって腰を落としてくる。
「あぁぁ……」
最奥まではめ込んだあと、朱音は大きくのけぞった。おそらくソレだけで軽くいってしまったのだろう。
「朱音、可愛いよ」
快感に耐えながらも必死でわたしの上で動こうとするその腰を抑えて動けなくする。
「やぁっ……!」
ああ、また泣きそうな顔して……腰はじりじりと動き、中はざわめくように蠢いている。
堪らない……だけどわたしは動かずその締めつけを楽しみながら、彼女の腰を抱いたままキスを繰り返した。焦れてる分だけ、朱音の舌の動きが貪欲になっていく。
「俊貴さん……んっ……あっ……もう、もう……ああぁっ!!」
動けないままわたしを締めつけて再び彼女は果てた。
「あっ……あっ……」
果てたがその終わりは来ない。わたしから絞り取ろうと収縮し、そのままびくびくと痙攣を繰り返している。
「また先にイッたのか?」
「ご、めんなさい……んっ」
「わたしはまだなんだぞ?」
「ひっ!!」
グイッと腰を押しこんだだけでまた跳ねる。戻ってこられない彼女はここからひたすら昇り続けるのだ。
「掴まって」
そのまま腰を抱えあげて立ちあがると、わたしの首にまわした腕と腰に絡みついた脚を締めつけてまたイク。
「ひゃっ! ダメ、これだめなの!! やぁあ……深すぎて、ぐう……っ!」
そのまま歩くたびに朱音はのけぞる。その度にビスチェからはみ出た胸が揺れわたしを誘う。
「朱音、我慢しろ……ベッドまで」
暴れそうになる彼女を抱きしめて隣の部屋のベッドになだれ込み、繋がったまま互いに残った衣服をはぎ取った。
「朱音っ、よく我慢したな……もういいぞ?」
「俊貴さん、俊貴さんっ!」
ベッドに横たわったわたしの上で激しく腰を振りまくる。こんな彼女は、滅多に見ることはできない。
「いいぞっ……わたしも、もう……」
激しく腰を突きあげる。こちらももう最後を迎えるつもりだった。こんな締めつけながら擦り上げられたら我慢なんて出来たもんじゃない。
「あっ……ん、いい、またイッちゃう! だめ! もう、こんなの、あああああっっっ!!!!」
最後は何と叫んだのかわからないほど、無茶苦茶な言葉を放ちながら朱音はわたしの上で大きく果てた。
「くっ……朱音っ!!!」
もちろんわたしも彼女の最奥に大量に精を放つ。
避妊はしていない。安全日と言うのもあるが、この日ばかりは3人目が出来ても構わない気分にさせられるのだ。
「愛してるよ……朱音」
「わたしも……」
そのままぐったりとわたしの胸の中に倒れ込んで荒い息を吐き続ける。わたしはその髪を優しく撫でながら復活の時を待った。
彼女がピクリと身体を動かすたびに中がまたざわめき、ゆっくりとわたし自身も再び昂りを感じはじめる。
「あっ……」
「まだまだ、休ませないよ?」
「俊貴……さん、お願い、許して……」
彼女はもう3回、それも最後はイキっぱなしだったから体力はかなり消耗しているのだろう。だけど、わたしを咥え込んだままでは収縮するたびに感じてしまうのだ。
手足に力が入らない彼女は涙をためて懇願する。
「それじゃ少し休ませてあげるよ。でも、わたしが復活したら覚悟するんだ」
「……そんな」
せっかくのイブ、ホテルでふたりだけで、時間もたっぷりある。わたしはあまり飲まないようにしていたから体力は十分残っている。
「朝まで、可愛がってあげるよ」
途中で朱音は寝てしまうだろうけど……子供がいないふたりっきりの夜を無駄に過ごす気は毛頭ない。
わたしは、体位を入れ替えると、グイッと朱音の身体を押し開き、復活した己自身で、再び彼女を鳴かせるために腰を使いはじめた。
「やっ、あっ、あんっ」
既に理性を飛ばした彼女はひたすら声をあげて、深く折り曲げられたままわたしに翻弄され続けるだけだった。
朝まで……涙を流して喜び、声を枯らせて喘ぎ、何度もイキまくって、腕も上がらない、腰も立たないほどほど憔悴して……最後に、わたしの腕の中で深い眠りについた。
イブの夜は愛しあうことだけで明け暮れ、クリスマスの朝、ホテルの窓から差し込む冬の日差しに目が覚める。
「さすがにやり過ぎたか……」
自分もかなり身体がだるいが、ぐったりと動きもせずに眠り続ける妻を見て、少しだけ反省する。
わたしは起き上がってバスタブに湯を張った。妻と一緒にゆっくりと朝風呂か、それとも目が覚めなかったらひとりで朝食か? まあ、他の夫婦もよく似たものだろうから、朝食に間に合わなくても、大丈夫だろうか? 楽しみにしていたのに、申し訳ないと思いつつ、眠る愛しい妻に口づけた。
だが、クリスマスの朝、ホテルの豪華な朝食に、まともに夫婦そろって姿を見せたのは2組だけだった。