2005クリスマス企画

クリスマスを過ぎても・1 year later

 

〜今年のクリスマスは〜
12/25・それから

 
(ん?朝か...)
ベッドルームがほの明るくなったことで、ようやく朝がきたことを実感した。
腕の中には泥のように眠る愛しい妻の寝顔があった。
昨晩、何度も求めて、意識を飛ばした彼女が気がつくたびに求めた。ちょっと酷くしすぎたかも知れないという気はしたが、文字通り理性のカケラもない抱き方だっただろう。
昨年の今頃、初めて抱いたけれども俺が妻帯者と勘違いした朱音は必死で遊びだと割り切ろうとして...可愛かったな。今でも初々しさの残る女だ。あれほど仕事では自信満々で隙を見せないのに、ベッドではまるで脅えた子猫のようになる。
 
ヤリまくったあとのけだるさが少し身体を支配していたが、なんとか起きあがってバスルームへ向かう。軽くシャワーを浴びたあと、暖かいお湯とタオルを持ってベッドに向かう。
結構好き勝手したために汚しまくった朱音の身体を清めてやり、そのままコーヒーを作る。部屋には備え付けのコーヒーメーカーが用意してあった。
室内に珈琲の香ばしい香りが広がり、俺はカップを持って立ち上がると窓の外を見た。
すこしだけ朱音が身じろぎ目覚めたことを知らせる。だけど、起きあがれないのだろう。原因は自分だから仕方がない。
「朱音、雪だ...」
「え...?」
その言葉に、身体をおこしてベッドを降りようとして慌てる。何も身に付けてないからだ。急いで周りを見回して俺と同じローブを見つけるとそれに袖を通して窓際に駆け寄ってきた。
「ほんと、雪...」
この地方でも滅多に降らない12月の雪が舞い降りていた。
「珈琲、飲むだろ?」
「ありがとう。」
新しく朱音の分を入れて手渡すと、こぼれんばかりの笑顔が返ってきた。
―――ヤバいなぁ...
愛おしさがこみ上げて抱きしめそうになる。今は危険だ、手渡したカップを落とすと火傷してしまう。
急ぐことはないと思い直す。
今日は夕方までにココを出て新居に戻るだけだ。。そして自分は明日から年末まで仕事。そのあと正月休みを使って新婚旅行だ。1年も前から予定してるので無理はない。朱音は新生活の準備と言う名目で休むが、本当は新年に新しい部署に異動になるまでは同じフロアにいられないと言うだけだ。これは自主的にさせてもらった。
「朱音、冷えてきたか?」
少し寒そうにみえた彼女に聞いたが首を振る。腕を回すとやはり、少し体温が下がってる様だった。
「風呂にいこうか?湯を張ってくる。」
「あ、あたしが...」
「家じゃないんだ、そのくらい俺がする。だから朱音は今のうちに体力を戻しておきなさい。朝食を頼むか?それとも昨夜のケーキでも食べるか?」
テーブルに残されたケーキの残骸。合間におなかがすいたとぐずる朱音に食べさせてやったんだ。もちろん、愛撫はやめてやらなかったから、かなり酷い食べ方だったが、その後口づけると妙に甘かったな。それだけでこっちは胸焼けしそうだった。ただでさえ朱音は甘いのに...しつこくないからいくらでも食べられるがな。
「朝からケーキは無理よ。朝食をおねがいします。」
「ルームサービスで頼んでおこう。時間指定しておくので、用意が出来るまで、ゆっくりはいろう。」
腕を伸ばして朱音を風呂場に連れて行こうとするとその足が止まる。
「あの...一緒に、ですか?」
「当たり前だ。さ、洗ってやる。」
「いえ、一人で入ります!そのほうが...」
「なんだと?」
「だって、俊貴さん、一緒に入ったら、また...するんでしょう?」
なんだそんなことを恐れていたのか?
「直ぐに朝食が来るだろう?別々だと時間がかかる。一緒に入った方がゆっくりつかれるからだ。」
そう言ってやるとほっとしていたが、全く手を出さないというのは無理だ。同じ湯船に浸かっている滑らかな素肌につい手や唇が吸い寄せられるのだ。
「もう、ダメ...」
しっかり手を出して怒らせてしまった。
湯船で気をやった彼女は逆上せてしまい、着替えさせて、ベッドにまで運んでいくしかなかった。まあ、体力消耗してる上に空腹で、さらに朝からされたんじゃ彼女も持たなかっただろう。まあ、こんな無茶が出来るのも朱音が仕事をしていないときだけだ。彼女から当分仕事は取り上げられないだろう。今まで仕事を生き甲斐に熱心に真面目にやってきたのだから。勿論俺を含む上司の評価も高い。今回の結婚で朱音の異動先も仕事が出来るのがわかっているからうちに欲しいと手を挙げる部署の多かったこと。
俺は時間通りにやって来たルームサービスを受け取り、その中から冷たいジュースを彼女に手渡した。
「嘘つき...」
ちょっとふくれた表情が彼女を幼く見えさせた。普通にしていれば本当に落ち着いた女性に見えるのにな。
「嘘は付いてない、してないだろう?朱音がイッただけだ。俺は又食事の後ゆっくり堪能させてもらう。」
「嘘...」
「せっかく15時まで居られるんだ。新婚旅行にもすぐには出掛けないんだ。ゆっくり出来るよ。もう一眠りしてもいいしな。」
呆れる朱音を余所に、俺は朝食を平らげ続けた。さすがにあれだけヤレば腹も減る。
「なんだ、喰わないのか?」
「いえ、食べますけど...すごい食欲だなって思って。」
「かなり体力消耗したからな。この後の分も食べておかないと...ん、どうした?」
「俊貴さん、もしかして、今までかなり手加減してました?」
「ああ、まあ、な...仕事のことを考えるとそうそう無茶は出来なかったからな。けれども、朱音は新婚旅行まで休みなんだから、少しぐらい壊しても大丈夫だろ?」
「え、壊すって...」
「旅行中ぐらいは観光させてやらないとな...ずーっとホテルの中に閉じこめて置くわけには行かんだろう?だから、今のうちにだ。」
朱音は呆然とした顔で動かなかいままだった。
「朱音?」
「それって幸せなの?それとも...」
「間違いなく天国には連れて行ってやる。」
にやっと笑ってみせるとがくりと肩を落とす朱音。少し苛めすぎたか?
「早く食べなさい、少し外を歩こう?雪はまだ降ってるから、暖かい恰好でな。」
そう伝えると、また嬉しそうに微笑んだ。
この顔が見たくて、甘い言葉を探してしまう。泣きそうな顔も好きで意地悪なことも言うがね。
「冷えた後はベッドで暖まるんだからな。」
可哀想だけれども、当分離しはしない。
「まだ今日はクリスマスなんだからな。俺たちにとってクリスマスは一生、特別なものだろう?」
コートを取って手を差し伸べると朱音が胸の中に飛び込んでくる。
「たとえどんなに喧嘩してたとしても、お互い謝りきれないことがあったとしても、クリスマスにはすべてリセットして、最初の気持ちに戻って愛し合おう。それがどんな場所でも、どんな場合でもだ。」
「ええ、でも最後の部分は強引すぎるわ?」
「いいんだ、クリスマスだから。」
 
 
二人寄り添い部屋を後にした。
 
 

−END−

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クリスマス企画終わりました。クリスマス限定になりそうですね(笑)このカップル。
連載中、毎日たくさんの拍手ありがとうございました!!!励みになりましたw
こんなに書きまくったの久々です(笑)この調子で風花も年内最後まで頑張りますね〜〜〜
応援してくださる方々!本当に感謝です〜〜心配してくださった方、ありがとう!