〜部屋〜 2 |
「だめなのか?」 「お風呂ぐらいゆっくり入らせてよ。」 寝る前に何度も抱かれて、朝も目覚まし代わりにヤラレた。だるい身体を引きずってバスルームに来たというのに、付いてくるかな?普通… 諦めて脱衣所から出て行くヤツに問いかける。 「ねえ、女とお風呂にはいるのが好きなの?」 「いや…俺は普段女と風呂なんか入らねえよ。」 「ならなんで?」 今までの女の顔が、あたしの頭の中で列作って行進してる。 コイツはどうなんだろう? 数多い女性相手に文句言っても始まらないけれども、時々あたしじゃなくてもいいのかなって思うくらい、エッチばっかりの日もあるから… 「おまえがさ、しんどいかなって思ってな。」 ちょっと下向いてちらっとこっち向いた顔が少し赤らんでるように見えた。 もしかして身体気遣ってくれてるとか? 「身体、しんどいだろ?俺、おかしいから…ヤッてる最中見境ないし、前から、女抱いてないと不安みたいなのあったんだけど、なんかおまえって、捕まえとかないとどっか逃げそうで…」 「逃げないけど?」 「判ってるけどさ、おまえ抱かれてるときくらいしか素になんねえし、あんま俺、必要とされてないのかって思うからさ。だからつい無理させちまって…」 そんなに愛想ないかな…まあ、元々だけどさ。 「そう言うとき、自分で頭洗うのとか、しんどいだろ?だから、俺が洗ってやろうって…」 「へ、へえ…そんなサービスも付いてるの?」 身体だるいし、頭洗うのも億劫だなって思ってたから、なんだか楽そうなんだけど。まさか、超自己中なヤツが、そんなこと言い出すなんて思わなかった。 「ああ、身体も洗わせて貰えるんなら、隅々まで愛撫付、特別サービスでどうだ?」 「……結構です、余計疲れそうだから。」 「イヤ、そう言わずに、」 出て行きかけた癖に戻ってくるんじゃないわよ! 「や、いいから、いらないって!」 「安心しろ、郁だけにしか、こんなことしないから。」 え?ほ、ほんとかな…今までの彼女にそんなことしてない? ずっと見てきた。隣の部屋で女抱いてるこの男を。 女を乗り換え、性処理道具扱いするようなこの男が…いつか、あたしに飽きたり、あたしが抱けないときは他の女抱きに行ってしまいそうな気がする。 意外とシャンプー上手いんだ。 すっごく楽ちん。されるがままなんだけど、って、あれ? 「ね、スポンジは?」 「特製ハンドスポンジがある。」 それは手って言うんでしょうが! 「ちょ、やめ…」 その手が胸を洗い、先をつまみ上げると、さすがにあたしでも声が出る。 「んぁ…」 「ああ、こんなに尖らして。こっちは中まで濡れてますよ、お客さん?先週まで処女だったなんて信じらんねえぐらい、エロイな。おまえのココとか、その表情とか。」 「なっ、あたしなんか…」 「普段の真面目な顔と落差ありすぎんだよ、おまえ。」 「んっあぁ!」 喘がされる。お風呂場で、身体を洗われながら… 「そんな気持ちよさそうな顔すんなよ、我慢出来ねえだろ?」 背中に硬いもの押しつけながらため息をつく声。だったら触らなきゃいいのに… お湯をかけられて、二人して湯船に浸かる。こんなの初めてだけど、結構いいかも。だらんと浸かるあたしを後ろから支えてくれてるし? 「力の抜けた顔してんな?」 「わるかったわね…」 「わるかない。いい、よ、その顔…可愛い」 か、可愛い??あたしが?あたしに回した腕がキツくなる。 「やめてよ、冗談でも…」 「オレがそう言うんだから、いいんだよ。なんなら今夜もその証拠見せてやろうか?」 あたしが、自信なさげにするたびに、そう言ってヤツはあたしの身体に言い聞かせてくる。 それでも埋まらない。あたしの中の不安要素。 今まで、隣で聞かされてきた。 ヤツが女を抱くのを… 綺麗な女、可愛い女、来る者拒まずだから、入れ替わり立ち替わりだけど、取りあえず付き合ってる彼女だったけど、時々違う女の子はさんだりしてたのも知ってる。 それが、こんな見栄えのしないマジメ女なんて、どこがいいんだか。 そう言うあたしだって、こんなふざけた遊び人のどこが良かったかなんだけど。よっぽど敦史の方がまともだったのに、あたしは、なんでこの男が良かったんだろう。そして、この男はなんであたしでいいんだろう? あたしには自信なんてないし、なんでコイツがあたしと暮らすって言い出したのかも判らない。 ただの隣同士だった。だけど気になってしょうがなかった。 むこうもそうだったなんて気がつくはずもなし、その間に、まあ、イロイロあって… いくら抱かれても、可愛いと言われても素直に喜べないあたしは、この男がいつかあたしに飽きて、他の女抱く日が来るんじゃないかって、そればっかり。 「郁、俺を見捨てるなよ…こんな、女抱くしか脳がないような男、イヤだろうけど…」 「え?」 髪も乾かないうちにベッドに引きずり込んだ男が、一度欲望を吐き出して落ち着いたのか、あたしを腕に抱き込んだままそう言った。 「あんたこそ、あたしみたいな女、飽きて捨てたりしない?」 「はぁ?」 「だって、あたしよりいい女いっぱい知ってるでしょ?」 「……な、それ、嫉妬?」 「う、うるさい、そんなんじゃ…」 「おまえこそ、敦史選んだ方がよかったなんて思うなよな?俺、それ考えると、未だに煮えくりかえって…」 「ちょっ!!」 「抱きたくなる」 なんなの?あんた、変なクスリ飲んでるとかじゃないの?? 「ね、一体何回やったら気が済むのよ??」 ぴたりと動きが止まる。真剣に考えてるな、コイツ。 「言ったろ?一生って…」 今度はこっちが止まる番 「あ、それって…」 「おまえだけでいいって言ってるのに、信じない郁が悪いんだぞ?」 「と、智也だって、肝心な事言わないじゃない?」 「あ…そっか。」 正座しないで… 「郁が好きだ。郁しかいらない。だから、抱かせろよ」 「そんな、もう、無理だって!」 逃げる、もう無理だから。 「イヤなのか?やっぱり俺に抱かれるの…散々、酷い真似してきたから…」 「ち、違うよ…自信がなかっただけ。智也に抱かれるの、好きだよ。」 「ほんとか?」 「うん、でも、身体限界…眠らせてよ」 「わかった…」 我慢すると言って、二人して布団に潜り込んだけど、その我慢いつまで続くのかな? |
BACK NEXT |
Copyright(C)Kei Kuishinbo 2007 All rights reserved.