風花〜かざはな〜


46

本当に野本は気の回る男だった。
『恭祐様、あちらにお風呂を用意しています。着替えもそちらに...それから向側の部屋に新しいベッドを用意しています。ゆき乃様を、綺麗にして落ち着かせてあげてください。社長と奥様のことはしばらくは私にお任せください。新崎様も付いていてくださいますので、打てる手はすべて打てると思います。あの方は、そう言う方でしょう?』
『ああ、だから、少し怖いんだけれどもね。こんなに弱みを握られては、新崎の思うつぼかも知れない。自ら頼んだこととは言え、少し悔やまれるよ。』
それほど怖い存在だった。味方であればこの上なく心強く、敵に回せば誰よりも怖い。
『それは...大丈夫でしょう。』
『なぜだ?』
ニッコリと笑ってみせる野本は益々ふてぶてしく見えた。ある意味この男も侮れない。
『新崎様の側におられた壮年の男性、あの方は恭祐様とゆき乃様のお身内の知り合いだと仰られてました。』
『身内?』
二人に共通の身内などあるわけもないのにと、恭祐は訝しんだ。
『妙様によろしくお伝えくださいと...』
『妙の?』
『後ほど挨拶に伺うと仰られてました。その方の実家にお世話になったのだと。ゆき乃様の事もよくご存じのようでした。』
『そうか...』
『ですから、そんなにも心配なさらなくて良いかと。ただ...』
『ただ?』
『社長があの様なことになられて、此処で恭祐様に頑張って頂かないと宮之原は崩れてしまうでしょう。ですから、一刻も早く会社の方に戻ってこられるようにお願いいたします。私だけでは重役達を押さえきれませんので。』
『だが、僕は...』
野本があの話を聞いていたかどうかはわからない。だが、もし自分が玄蔵の息子でなければ、その資格の全てがないと言うことになる、だから今の恭祐には自信を持って頷くわけにはいかなかった。
その時野本が恭祐の腕をぐっと掴んだ。真剣な目が恭祐を射抜く。
『恭祐様は恭祐様です。宮之原の血筋はあなただけです。今更それを、だれもが疑いはしないでしょう?誰も己の不利になるようなことは口にしませんよ。宮之原を守れるのはもう恭祐様しかいらっしゃらないのですから。そして、そのあなたがいづれどのような方を妻を迎えようと、それはあなたが上げる成果次第で文句は出ないのではありませんか?ゆき乃様だって、戸籍の上では赤の他人なのですから、何の問題もないでしょう?たとえ元使用人であっても、ですよ。』
しれっと笑って言いのける男であった。悩んできたことを一言で笑って済ませるつもりかと、恭祐は苦笑した。
『そんなに僕を働かせたいのか?宮之原のために...』
『ええ、あなたと仕事がしたいのです。あ、今はいいですよ、落ち着かれるまでは。その分、あとでたっぷりと働いて頂きますから。』
では、と、肩を掴んでいたことなど忘れたように慇懃に深々と頭を下げて野本は去っていった。


(そうか、新崎の側にいた男、たしか竹村とかいったな?新崎の懐刀だと聞いている。)
その男が妙の知り合いと聞いて恭祐は妙な安心感に捕らわれていた。
狂った母、血の繋がらない父。だかそれほどショックも感慨もなかった。なぜならいつも自分の側にいて、愛情を注いでくれたのは別の人だったから。いつだって恭祐とゆき乃のことを心から心配してくれていたのは妙だった。
未だに護られているのかも知れないとすら思える。
妙の、無償の母性に包まれて二人は歪むことなく成長することができたのだと、今更ながらに実感していた。
恭祐は野本を見送ると、部屋の中に戻った。
誰もいなくなった部屋に残されたゆき乃。慶子も静恵も母と鈴音に付き添って出て行ってしまったので、別荘に残されたのは二人だけだった。
目の前のゆき乃は、不安げな瞳のままの恭祐を見上げていた。その儚い姿、晒された素肌に残る赤い痣は痛々しいほどだった。
「おいで、ゆき乃。」
優しく声をかけて彼女の前に跪く。そして、そっと壊れ物でも扱うように抱き上げると、ゆき乃に向かって精一杯優しく微笑んだ。不安を、恐怖を、全てを取り払ってやりたい気持ちでいっぱいだったのだ。そのためには、優しい恭祐様で居ようと思った。あの時、鈴音の手によって犯されそうになったゆき乃を慰めた時のように。
「あの、どこに?」
不安げな彼女を抱えたまま、教えられた浴室に向かう。ドアが開けられたままだったので、恭祐にもすぐにわかったのだ。
「ゆき乃を綺麗にしてあげるよ。」
優しくそう囁いて、彼女の身体を脱衣所に降ろし、上着を脱がせようとするとゆき乃は激しく拒否した。
「あ、あの!自分でします...お願いですから、出ててください!!」
震えながらも気丈にそう言う。自分がいなくなれば一人で泣くくせに、平気な振りをしようとするくせに。
もう遠慮させる気は恭祐にはなかった。自分に溺れるほど甘えさせたかった。そのためには優しく接するつもりだったけれども、頑なに背を向けるゆき乃の姿に胸が締め付けられる思いだった。
(僕は必要ないのか?今のゆき乃に、僕は、僕の手は?身体も心も、今は全てゆき乃のためにあるのに?)
「いやだ。」
「え?」
自分でも信じられないほどはっきりした口調だった。ゆき乃が自分を見せたくないのはわかるけれども、一人で泣くのをドアの外で待っているのはもっといやだから。
「いやだと言ったんだ。ゆき乃の側を離れる気はないし、僕の手で、ゆき乃を綺麗にしてあげたいんだ。」
「で、でも、い、行かなくていいのですか?お館様と奥様が大変なのに...」
「僕に出来ることなんか何もない。医者に任せるしかないだろう?事務的なことは野本がやってくれるだろうし、力也も新崎さんも居る。それよりも、ゆき乃の方が大切なのに決まってるだろう?ああ、まだ震えてるんだね...」
震えるゆき乃の身体をキツく抱きしめた。
体中の汚れを自分の力で拭ってやりたいのだ。だが、ゆき乃は恭祐の視線に晒されるのを恐れ、汚れてしまった自分の身体を隠すようにして座り込んでしまっていた。
「いや、見、見ないでください...」
「いやだと言ったはずだよ?」
恭祐はもう一度強い口調でそう言い放つと、嫌がるゆき乃を抱き上げてバスタブに連れていき、着せてやっていた恭祐の上着毎、湯の中に落とした。
「きゃあっ!」
「じっとして...」
上着を脱がせて、ゆっくりとゆき乃に湯をかけていった。ソープを泡立て、髪を、身体を丁寧に洗っていく。
「恭祐様...濡れます、そんな...」
自分も服を着たままだったけれども恭祐は構わなかった。
「ゆき乃...」
あちこちに付けられた男達の欲望の跡を優しくなぞりながらその汚れを落とした。以前のように、付けられたその上から新たに恭祐の刻印を押していく。
「うう...恭祐さまぁ...」
すすり泣くゆき乃の口角は縛られた布に擦られて赤く腫れ上がっていた。そのあとも優しく唇でなぞり、口付けを落とし続ける。
服を脱がなかったのは、自分の欲望を抑えるためだった。前もそうだったが、たとえ清めるためといっても、惚れた女の素肌に触れて欲情しない方がおかしい。だけど精一杯の自制心で、その身体の全てに手を這わせ、恭祐はゆき乃に安心感を送り続けた。
汚れた湯を捨てる間バスタブの縁に座らせて、もう一度隅々まで洗い上げていく。
新しい湯の落ちる音が浴槽に響いていた。いっぱいになったので、それを止めると、あとは音のない世界に、微かに二人の触れあう音だけが漏れはじめる。
「こんなに痕が...」
手首や足首に残された赤い傷痕を舌で舐めあげる。ゆき乃も従順に身体を任せていた。ぴちゃぴちゃと雫ごと舐めあげる恭祐の舌の音に、我慢しきれずにゆき乃から漏れる声が混じりはじめる。
「んっ...あぁ...ん」
「いいよ、もっと声を出しても良いから...」
「ダメです...も、もう、いいです...恭祐様...汚いです、あたし...」
泣きそうになりながら身体を捩り逃げ出そうとするゆき乃。
「いやだ。全部、綺麗にしてあげる。」
「でも...」
「ゆき乃は、どうして欲しい?言って...その通りにするから。ゆき乃の嫌がることはしない。だから、正直に言って?やめていいの?忘れられる?」
「や、やめないで...恭祐様が忘れさせてください。あのいやな感触も、全部忘れてしまうまで、全部...最後まで...」
「いいの?僕で、ゆき乃をいっぱいにするよ...そう言う意味だよね?」
じっと、ゆき乃の瞳を覗き込む。押さえ込んではいるものの、もう二人を阻む壁は飛び越えてしまったのだ。恭祐も今回はゆき乃が望めば、全てを分かち合うつもりだった。ゆき乃の瞳がそれに答える。もう二人の間で、それは決まっていた。
後は思いを遂げることしか残されていないのだ。傷ついたゆき乃に無理強いするつもりはなかったが、ゆき乃さえ望むのならと、頷くゆき乃を愛おしげに抱き寄せ、その髪と頬に唇を寄せた。
身体に受けた行為は、身体に上書きしてやるのが一番早いと二人とも知っているから...
「恭祐様で、いっぱいにしてください!あたしの全部を...されたことを忘れてしまうまで、して下さい!あ、あんな、あんな目に遭うのなら、最初から禁威を犯してもよかった、何度もそう思いました。あのままいいようにされるのなら、この命を捨てたいと、どれだけ願ったことか...あんなこと...」
「命を捨てるのは許さないよ、ゆき乃っ!」
ゆき乃がもしあのまま汚されていたら、おそらく自ら命を絶つことまでしただろうと恭祐は予想していた。それが一番怖かったのだ。
恭祐は同じようにゆき乃の隣に腰掛け、濡れたゆき乃の身体を強く強く抱きしめた。そして唇を重ね、激しく吸い尽くした。ゆき乃のそんな考えを覆すかのように。
翻弄されて、身体の力を抜いたゆき乃は、恭祐の腰に腕を回し、身体を支えるようにしっかりと抱きついたまま、口中を掻き回す彼の舌に自らを絡めていった。ゆっくりと恭祐が唇を解放する頃には、ゆき乃の身体の震えは止まり、熱を帯び、柔らかくしなり、恭祐の身体にぴったりと触れていた。
「居なくなるなんて、そんなこと許さないよ。ゆき乃がいなくなったら僕はどうすればいい?一人で生きていけというの?ゆき乃がいないなら僕だって生きていたくない。だけど、諦めて死を選ぶのは一番最後で良いと思うよ。断崖絶壁に追いつめられて、最後の最後まで悪あがきして、それでもだめなときは一緒に命を絶とう。死よりも怖いモノはないさ。血が繋がっていても居なくても、もう関係ない。二人でいれば、必ず幸せになれる、そうだろう?」
「恭祐様...本当に?ち、父親達に、好きなようにされた、こ、こんな身体でも...?」
か細いその声が、どれほどのことをされたのかを彷彿させた。
「ああ、どんな目に遭ったとしても、ゆき乃はゆき乃だ。その傷のすべても僕が受け止める。失うくらいなら全てを許せるよ、ゆき乃...今ここで全ての罪を二人で犯そう。それは死よりも甘美で深い罪だよ。二人が幸せになるために犯す罪だ。」
「恭祐様...」
「死にかけた父、狂った母の前ででも僕はゆき乃を抱きたいと思う。許されない血の交わりも、もうどうでもいいことなんだ。真実も、もうどうでもいい!失うくらいなら、今すぐにでもゆき乃を僕のモノにしたい。今まで我慢して、耐えて来て、結果ゆき乃をこんな目に遭わせて、苦しめてばかりだったじゃないか?僕が、幸せにしてあげたかったのに...ずっと、幼い頃から、ゆき乃を幸せにしてあげたくて、僕はずっと頑張ってきたつもりだったんだ。血の繋がりがなんだと言うんだ?それすらも、僕たちにはどうでもいいことなんだ。そうだろう?幼い頃から、ずっと、ゆき乃が大切で、真実がどうであれ、いくら悩んでも、それすらももうどうでもいいとさえ思えるよ。ゆき乃が誰の子でも、僕が誰の子でも関係ない。僕らは幼いときに出会ってしまった。互いを大事な存在だと十年以上過ごしてきた。誰にも渡したくない存在で、これからもずっと側にいて欲しいんだ。だから、このままゆき乃を抱きたい。ゆき乃の中に僕を残したい。その先どうなろうと、共にその運命を受け入れて生きていく。」
この先なんて既に保証はない。明日もないかも知れない、今この一瞬を逃して再びの保証もない。全ての闇が二人を引き裂く日まで共に居たいと切に願う。
「恭祐様、が欲しいです。触れられたところよりも、もっと奥まで恭祐様でいっぱいにして欲しい。」
ゆき乃の細い指が、濡れた恭祐のシャツのボタンを外していく。透き通るほど張り付いたシャツを剥がしてその素肌に指先が触れる。
「ゆき乃...愛してるよ、その全てが僕には愛おしい。触れたい、誰にもわたしたくない。もう待たない、我慢しない。」
「あたしもです...恭祐様が好き、あなた以外の人に触れられたくない...もう、二度と、あたしの全部は恭祐様のためにあるのですから...」
「ゆき乃...」
絡みあう舌、糸を引くキスに、徐々に熱は上がっていく。恭祐が全身に贈るキスをゆき乃は身体を開いて受け入れた。身体が熱を帯びていたけれども、触れるゆき乃の背中はひやりとしていた。自分もシャツを脱ぐと少し肌寒さを覚えた。
「ごめん、身体が冷えてきたね。暖まろう。」
ゆき乃を浴槽に入れた後、かちゃかちゃとベルトを外して自分の全てをさらけ出した。恭祐が何を求めているか、ズボンの上からでもわかっていたことだったか、目の前にしてしまうとその思いの強さが目に見えるようだった。苦笑しながらゆき乃の後ろに滑り込むと、いきり立った自分をゆき乃に押しつけて密着させた。ゆき乃の身体をひねり、再びキスをはじめる。
密着させた身体から熱は冷めない。何度もキスを繰り返した後、恭祐はゆき乃を連れて浴室をでた。タオルで軽く身体を拭き、恭祐は腰にタオルを巻いたまま、バスタオルを被せただけのゆき乃を抱きかかえて先ほど野本が用意したと言っていた向かいの部屋に入っていった。



日当たりの良いその部屋は清潔なシーツを纏った大きなベッドが中央に置かれていた。
その上にゆき乃を横たえると、バスタオルを剥いでゆき乃の身体を愛おしげに見つめた。自らもタオルを取ると、猛った己を隠しもせずゆき乃に覆い被さっていった。
深いキスが頬を滑り首筋を這い、胸の頂を吸い、舌で舐め尽くした後、腹部を伝い、やがてゆき乃の脚の付け根の間に頭を落とし、その部分をゆっくりと執拗なほど丁寧に舐めあげた。震える襞も、濡れた膣も、芽を出した蕾にも舌と唇を使って恭祐の唾液とゆき乃の愛液の味しかしなくなるまで舐めつくし、恭祐が離れる頃にはゆき乃の息は上がりきっていた。
「気持ち、いいかい?もっと、中まで大丈夫?」
そっと忍ばされた恭祐の指先がゆき乃の中に沈み込む。
「ああんっ...くっ、」
「痛い?大丈夫?だけど狭くて...あっ、こ、ココは、まだ、なんだね?」
ゆき乃がゆっくりと頷いた。指では痛いほど弄られたけれども、誰のモノもまだ受け入れてはいない。
まだ、ゆき乃は、まだ...
奇蹟に近いその事実に恭祐は喜んだ。それは自分のためだけでなく、ゆき乃が、心とは相反して愛する者以外を受け入れてしまえば壊れてしまいそうで怖かったからだ。自分を許さないゆき乃は、それだけでも命を絶ちかねなかった。
「よかった、ほんとうに...」
「恭祐様が、鈴音さんと婚約なさったので...約束だからと...」
「...ごめん!」
恭祐が婚約した事実を聞かされたゆき乃の気持ちを察すると辛くなった。彼女を護るためとはいえ、頷いてしまった自分事実はどれほど彼女を落胆させたことか。
「ココに、入りたい。ゆき乃と一つになりたい、いいか?」
ゆっくりと指で擦り上げて、ゆき乃の締め付けを感じて、益々恭祐は自分を猛らせた。
「今すぐ、全部、奪ってください。ゆき乃を恭祐様のモノに...」
起立した恭祐自身にそっとゆき乃が指を重ねた。びくりと、それに反応してしまうほど恭祐も敏感になっていた。
「ゆき乃、僕のモノだ。たとえ血が繋がっていても、そうでなくても、僕のモノだ!どんな子が生まれたとしても、僕は愛することが出来る。」
「私もです。どんなに世間に誹られても、これ以上の不幸も、これ以上の幸せもありません。」
ゆき乃に自分を宛い、入り口で何度も猛ったソレを擦りつけてゆき乃の愛液を塗りつけた。ゆき乃の膝裏を抱きかかえ、ゆき乃が恥ずかしがるほど押し開き、ゆっくりと腰を落としていく。痛みも快感も、全て受け止めて欲しいと願いながら...
「愛してるよ、ゆき乃...」
「ああぁっ!!」
途中処女の引っかかりを突き破った瞬間、その証で最奥まで恭祐を導いた。ゆき乃は歓喜の痛みをその身体で全部で受け止めた。痛みなど、何の問題もないほどその行為は自分たちにとって神聖で後戻りの出来ない儀式であった。しばらくは動かずその感慨に浸るが頂点はすぐそこだった。
最奥まで突き立てた状態で耐えるのは苦難だったが、痛みと快感に打ち震え、ひくひくと痙攣するゆき乃の締め付けに、恭祐は必死に堪えた。
「ゆっくりなんて出来そうに、ないよ、ゆき乃、すぐに果ててしまいそうだ...ゆき乃の中が僕をこんなに締め付けて...」
「はぁ...恭祐様が、あたしの中に...わかります、すごく、大きくて、暖かくって...こんな、深く...」
「もう、すぐに...あっくっ、ダメだ、ゆき乃っ!」
「ああ、嬉しい...恭祐さまぁ!」
ゆき乃の目尻に涙が浮かんでいた。恭祐もゆき乃の身体を強く抱きしめ、少しも隙間がないよう、今までの隙間の全てを埋めるかの如く、自分の全てをゆき乃に向かって差し出した。
恭祐が麻痺したように数度腰を打ち付けただけで二人は達していた。

罪を犯すのは、なんとあっけないほど簡単なことだったのだろう?全てはゆき乃の中に注がれ、二人でそれを受け止めた。

「恭祐様...」
出来ることならずっと繋がっていたかった。
けれどもそのまま復活してしまいそうな自分に苦笑して、恭祐は全てをゆき乃の中に残してゆっくりと自身を引き抜いた。
恭祐のモノにまとわりついたゆき乃の赤いモノと混じった己のモノを満足げに見つめたあと、床に落とされていたタオルでそれを拭うとゆき乃も綺麗に拭いてやった。
罪を犯すのがこれほど簡単なことだったのかと、今更ながらに、やってしまえばあっけないモノなのだ。互いを柔らかく見つめ合いながら再び抱きあった。
「あ、恭祐様...まだ...」
初めてのゆき乃を気遣って一度の行為で終わろうとした恭祐だったが、納まらないソレをゆき乃に見咎められて、再びゆき乃に触れられた瞬間、またゆき乃を押し倒していた。
「触っちゃいけないよ?又ゆき乃にしてしまうだろう?」
「いいのに...どうして我慢なさるのですか?」
「ゆき乃は初めてだったし、そんな無茶はさせられないよ。」
「初めてでも、構いません。ゆき乃は恭祐様のモノです。明日、再び供にいられないかも知れないとしたら、後悔するのではありませんか?あたしは...もう後悔したくありません。もう一度、抱いてください、恭祐様。」
「そうだね、もう、後悔したくない。我慢、しないよ?いいの、こんどはゆき乃を気持ちよくさせて上げるよ。もしかしたら、今言ったこと後悔するかも知れないけれども。」
「え?」
「今度は余裕あるから、ゆき乃...」
丹念に愛撫が加えられ、以前の様に交わることなく愛撫を加えられた挙げ句に恭祐に激しく責めたてられて狂わされた。


怖いモノも、何一つない。もう二人を引き離すのは死しか残されていないと互いに思えた瞬間であった。

      

ようやく、です。お待たせいたしました。m(__)m
皆さんの応援が先に風花UPに繋がりました〜〜もう少しだけお付き合いくださいね♪
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