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社会人編

38
〜甲斐・3〜

「ねえ、いいじゃん……ホテルいこうよぉ?なんなら、ここのトイレでもイイよ」
その女は昔何度か遊んだことのある女だった。久しぶりに昔良く来ていた店に顔を出すと、すぐさま近寄ってきて隣にへばりついていた。
平日は仕事で疲れて眠ってしまえばよかった。朝になって気怠るい身体を起こして会社に向かって、仕事をしている間は余計なことを考えなくて済んだ。だけど、仕事に慣れれば慣れるほど要領よくこなせるようになり、次第に時間も身体も余裕が出来る。週末の金曜日は無理やり残業を作ったり、水嶋さんの誘いを受けたりして何とか独りで居る事はなかったけれども、土日はどうしようもない。男友達といっても、ほとんどが上辺だけの付き合いだったし、今じゃ土日仕事の奴も少なくない。それに……オレが集まりに女とか呼ばなくなったから、余計に声がかからなくなっていた。
土曜の昼間からビールを飲んでボーッとする。だけどやっぱり、部屋の中を見回すたびに志奈子のことを思い出してしまう。結局そこに居たたまれなくなって、騒がしい喧噪の中に再び身を置く。そうすると振り払うのも面倒くさい女が寄ってくるだけで……
「他当たれよ……オレは飲みたいだけなんだから」
「もう、甲斐ったら、何言ってんのよ?前は来るモノ拒まずってくらいしてたじゃん」
さわさわと下半身に触れてくる。そりゃ触られれば反応はスルさ。でも……
「いいから、触るな!」
大きな声をだすと、女は驚いてビクっと身体を起こし、ブツブツ文句を言いながら離れていった。あんな女じゃオレは満足できない……判っているのに、自分の居場所が無くなった子供みたいに夜の盛り場をうろうろと彷徨っていた。


そう……昔のオレは、セックスをただの欲望のはけ口として捕らえていた。初めてセックスを覚えたのも相手は親父の常連か彼女で……興味半分、気持ちよければそれでいい、ただの身体だけの交わりだった。それ以来、やりたくなったら適当にさせてくれる女に声をかければよかった。だけど周りに居た女達は皆、オレを親父の代わりにしている様な気がして……だんだんとそっちの相手はあまりしなくなった。中学で、同級生や先輩なんかに告白されて付き合ったりもしたけれども、それまでの女とたいして変わらない気がした。やりたい時にやれる相手がいると楽だけど、付き合いだすと色々面倒なことだけが増えた。他の女と遊ぶと怒るし、電話やメールを返さないとまた怒る。デートに誕生日にイベント……面倒な上に、付き合ってる女と付き合ってない女とのセックスの違いもよく判らなかった。
結局最後は『冷たい』とか『本当に好きなの?』とか言われたり、他の女とやってるのがバレて別れたりの繰り返し……ただ、同じ学校でそれをやると噂が酷くなるから、できるだけ同じ高校の女とは付き合わない様にしていた。

同じ学校でクラスメイトの――――セフレ。
今まで付き合った女は見た目も派手なかわいい子が多く、そこそこ遊んでいて、そこそこセックスにも積極的な女ばかりだった。だけど、委員長は……今まで抱いたことのないタイプの女だった。もちろん、付き合ったりすると最悪で、本気になられたら無茶苦茶困る相手のはずだった。だけど、彼女は自分から言った。『身体だけの関係』だと……
見た目と身体とのギャップ、真面目な委員長が淫らに乱れていく様は本当に興奮した。それとあの肌触りとそのナカは……最高に気持ちよかった。処女を抱いたのが初めてだというのもあったが、お堅い委員長様を自分で女の身体に作り替えていく事に、興奮を覚えていた。
次ぎの時はもっと……思う存分あの身体を味わいたい。初めてで出血もしていたから、一応気遣って一回で済ませたんだ。その時付き合ってた子は、学校も家庭も煩いらしく、、平日だって塾やお稽古ごとがあって、遊び回ってる割にゆっくり逢えるのは週末ぐらいだった。
だから……溜まってると言えば溜まっていた。若い性欲は毎日出さないと気が済まなくて、セックスを覚えたら自慰行為なんてヤッてられない気もした。
委員長の、あの身体がまた抱けるかもしれない……そう期待して、オレは土曜日の補習が終わった後は決まってあの資料室に足を運んだ。
だけど委員長は来なかった。内側から窓の鍵を壊して、いつでも入れるようにしていたのに……
そこまでしても、オレはあの身体をもう一度抱きたいと思っていた。あの柔らかくて吸い付くような肌、真面目で色気の無いはずの彼女が見せる艶っぽい表情。委員長の定番である三つ編みと縁の濃い眼鏡を取れば、派手ではないが整ってすっきりした顔が現れる。それがオレの愛撫で信じられないぐらい艶っぽく変化し、必死に出すまいと堪える声は色っぽく掠れて、オレのモノを飲み込んだそこはきゅうきゅうと締め付けオレから根こそぎ搾り取ろうと蠢くようで……
思い出しただけで下半身が熱く高ぶり、己の欲望が硬く勃ち上がって来るのが判る。
早く抱きたい……あの身体を思う存分!出来る事なら、こんな声の出せない資料室じゃなく、ラブホかどこか思いっきり声の出せる場所で朝まで鳴かせまくってみたいとも思う。だけど、どう見ても真面目な家に育った風な彼女がラブホに泊まって朝まで男とセックスしまくるなんて考えられない。そんなことを考えながら待っていたけれどもいつまで経っても彼女は姿を見せなかった。
翌週も、翌々週も……
教室で顔を合わせても素知らぬ顔、廊下ですれ違っても見向きもしない。セフレという身体だけの隠微な関係だから、おおっぴらに声をかけるわけにもいかない。いくらなんでもあれきりは無いだろうと思っていたのに?
オレは今日こそは呼び出すつもりで補習が終わるのを今か今かと待ち続けていた。
「委員長」
オレは彼女を呼び止めて男子トイレの個室に連れ込んだ。なぜ来なかったのかと、最初は話しをするだけのつもりだった。だけど、狭い個室の中で身体を近づけた途端、ドクンと身体の中から反応した。間近の委員長から立ち上る匂い、肌の感触、全てが彼女を抱いた日の記憶に繋がる。思わず口をふさいでいた……そして、その気にさせてしまえばこちらのモノと、キスを繰り返しながら制服のボタンを外し、胸元を露わにした。吸い付き、味わい、その肌に口づけの痕を残した。ビクビクと面白いほどに反応する身体を愛撫し、下半身に指先を忍ばせた。だけど前ほども濡れていない。どうしてだろう?だがオレは必死でそこをまさぐる。あの時、あれほど敏感に感じ乱れ濡れそぼったはずなのに……
彼女はこの場所が嫌だという。しかし学校でこもれる場所と言えばトイレか誰もいない資料室や倉庫になってしまう。鍵がいらない場所はここだけだ。まさかこの先にある資料室まで引きずっていけるはずもない。一応他の誰かがいる場所では声をかけたりしないようにと気遣った上でのことだ。委員長だってこんな関係知られたくないだろうし、オレだって……周りにぐちゃぐちゃと騒ぎ立てられたくなかった。
「抱きたいんだ、委員長のカラダ」
そう言った瞬間、委員長の表情が緩んだ気がした。気のせいか?あまり表情を変えない彼女がわずかに喜んだというか、笑ったような気がしたんだ。
まさかな……委員長はこの関係を望んではいない。
だけど、オレは欲しいんだ。あの身体をもう一度、何度でも抱きたい。それにセフレなら、抱く為の面倒な電話やメール、デートやプレゼントもしなくていいはずだ。委員長は理性的で頭もいいから、普段から余計なことは言わないし、恋愛は一生しないと言っていた。だから、カラダの関係に逆上せて理性を欠いたり、途中から勘違いして感情をぶつけて来たりすることも無いだろう。それに頭もいいから、口に出さなくてもこっちの意志を汲み取るのが上手いのは、以前質問した時の返答で感じていたことだった。
抱けない1週間は本当に焦れた。その週末はカノジョとラブホでやりまくったけれども、派手な喘ぎ声を上げられるたびに興ざめした。べたべた甘えてくる態度にも辟易としていた。
あいつがイイ……委員長が抱ければ、こんな面倒な思いはしなくて済む。
待ちに待った次の週、嫌そうな顔をしながらも委員長は資料室に来た。オレは前と同じ本棚の間に彼女を横たえる。その前に髪を解き、眼鏡を外す。その瞬間、委員長が別の女になるような気がした……
オレはそうするのが好きだった。彼女の真面目ぶったいい子ちゃんの鎧を剥ぎ取り、一糸まとわぬ淫らな女に変える儀式のようだった。けれども、オレに愛撫されて乱れ喘ぐ彼女は、どんなに声を上げても、どんなに感じて震えても委員長らしさを残していた。必死で快感に流されまいと、しがみつくように理性を振り絞る彼女。だけどあえなくカラダの快楽に堕とされ、オレにイカされたカラダを震わせて意識を手放すんだ……
そんな彼女に色んな体位を教え込んだ。最初は騎乗位とか屈曲位とか深い繋がりは怖がって逃げていたけれども、だんだん慣れてくるとカラダが欲しがるかのようにオレに絡みつき締め付けてくる。ただ……イキ過ぎた時は過呼吸を起こすのか、マジで動けなくなるらしく、震える指先でオレにしがみついて来る。それがやたら可愛くて……放っておけなくて、元に戻るまで身体をさすったりしてやった。ここまで感じてくれる女も居なかったが、行為の後、こんなに面倒見た女も初めてだった。なのに抱き終わった後にもっと抱きたいと渇望している。
飽きない……彼女となら底知れない快楽の根元までたどり着けそうな気がする。その果てまでいつか二人でイッテみたい。その為には、もっと、もっと、抱きたかった。
「なあ、委員長。おまえ抱くの、やっぱり好きだ」
思わずそう口にしてしまった。こんなにもずっと抱きたいと思う女が今まで居ただろうか?
こっちがそう思う前にやたらと次を求めてくる女に辟易としていたのは事実だ。付き合ってるカノジョじゃ面倒なデートをすませてからラブホにしけ込んでセックスしなきゃならない。金もいるしそれはオレにとって面倒な行為だった。
その点、委員長はいい。ただ純粋に快楽を求めて、身体を重ねるだけの相手。たまに気を遣って、こっちが食事に誘っても委員長は着いても来なかった。教室の中でも態度は今までと全く変わらない。本当に身体だけの関係なんだと、無表情な委員長を目の前にする度に思い知らされた。
仕方ない、そうし向けたのはオレだ。あんなところで、あんな状況で初めてだった彼女を抱いて、快楽を植え付けて再び抱いた……何度も抱いた。早朝に呼び出したこともある。放課後、暗くなるまで交わり続けたこともある。けど、幾ら抱いて身体がなじんでも、心すら開いてくれないことに焦れ始めていた。だけど、その感情がなんなのか、その時のオレには理解できていなかった。場所や回数のせいで満足してないことや、委員長の反応に時々腹を立てて居たから……それが原因だと思っていた。

「甲斐くん、わたしと会ってるのに他のこと考えないでよ!」
「ああ……ごめん。試験近いからさ」
たまに付き合っているカノジョと逢っても、なんだか満足しないというか……つまらない気さえしていた。だけどオレは、カノジョと別れたとしても、委員長と付き合うなんて考えは全くなかった。コレはコレ、それはそれだと割り切って考えていた。
「受験生だって判ってるけど……ね、これから、行かない?今日は少しぐらい遅くなってもイイのよ」
自分からホテルに誘ってくる女。オレが今ホテル代を持っているのかどうかも確認しないで……いつだって男が払うものだって思っているんだろ?自分から誘うなら一度ぐらい払ってみろって言うんだ。オレは別に裕福な家に育ったわけでもない。親がホストクラブをやっているだけで、オレが金持ちなわけでもない。バイトしないと余分な小遣いは貰えない、その辺りうちの親はシビアなんだよな。身内のオレを扱き使ってバイトに払う金をオレの小遣いにすり替えてるだけなんだ。
「悪い、帰るよ」
「甲斐くん?なんで、ちょっとまってよ!」
可愛い、清純だと噂されていた娘だったけど、中身は他の女とかわらない。慣れてるくせに初な振りして誘って、腰振って……裏が透けて見えるような女の演技には飽き飽きしていた。それなら、真っ白な委員長を……志奈子を抱いた方がよっぽど気持ちいいし楽しい。明日は土曜だから彼女が抱ける……思いっきり。そう考えると、久しぶりに逢ったカノジョとやらなかったせいで、溜まった己の欲望を持て余し、自家発電するのももったいないと、オレは夜が明けるまでを悶々と過ごしてしまった。


「鍵が直されてる?」
意気揚々と資料室に向かったのに、窓は開かなかった。よって中には入れず、季節はもう12月だから屋外は寒いし、他に二人きりになれる場所なんてなかなか思いつかない。
「そろそろ、いい頃じゃない?お互いに受験あるし」
委員長は別段残念そうでもなく、さらりとそんなことを言い出した。こっちは昨日から溜まりに溜まったモノを出したくてしょうがないというのに?最近は上に乗って腰を振るのも、深いところでオレのモノを受け入れるのにも慣れて……だけど、態度だけはいつまでも慣れない。そんなところが気に入っていて、楽しみにしていたというのに。まだ……思いっきり抱いてない。学校なんて制限のある場所じゃ、思い残すことがないほど抱けてない!
委員長はオレに『カノジョがいるでしょう』という。確かに昨日まではいたさ。だけど、委員長が抱けるなら別にいいやとすげなく置いてきた。自分だって、オレにカノジョがいると判っていて抱かれてたくせに……密会場所が無くなっただけで、オレには何の未練も残さず『自分なんか抱かずにそっちに行けばいい』と言うんだ。そのカノジョより優先して選んだセフレの女に『いらない』と言われた事がかなり悔しかった。オレばっかりが委員長の身体にガッついているみたいだ。
何でだ?別段特別可愛い訳じゃない。顔も身体も付き合ってたカノジョの方がよっぽど上玉だ。なのに何故オレはこんなにも委員長を抱きたいんだ?
まだ、足りない。全然足りない……
どうすればこのカラダが手に入る?どうすれば好きなだけ抱けるんだろうか?
「終わりにしたいんなら、終業式の後付き合えよ。それで……最後にしてやるから」
ヤケクソでそう約束を取り付けた。
オレはその後街に出て、声をかけて来た女としこたまホテルでやった。だけど……虚しくて、荒れた肌の年上の女はたいして良くもなく、ただ、自慰行為をするかのように腰だけを振って果てた。

テストが終わり、終業式まで1週間と少し……その間、委員長のあの身体を抱けないことが悔しかった。だけど、街で見繕ったところで前と同じになりそうで、それも自重していた。
「よう、史仁!たまには一緒に帰ろうぜ」
声をかけてオレの教室に入ってきたのは香川寛也たち、1年からよく連んでた奴等だった。あまり真面目じゃなかったのでクラスは文系と就職組に別れた、というよりもこのまま奴等と一緒にいても自分が望んだ未来(さき)がないと感じたから、離れた……
「おまえあのK女子高のマイちゃんと別れたって本当か?」
こいつらの話題はいつだってそうだ。女、遊び……オレの側にいればそこそこ女が寄ってくることを知っているから連んでいる、名前だけの友人達。寛也がこうやってオレに聞いて来るのは、オレとマイが別れた事を聞いて、自分の好きな若尾がオレと付き合いはじめたら困るからだ。同じ学校の女とは別れた後が面倒くさいから付き合わないって前から言ってるのに……
マイのことをやたらと勘違いしてるみたいだけど、清純そうに見えるあの女はオレが初めてでもなかったし、あの後切れた声でケータイにかけてきて、こっちがもういいと切れ返すと『いいわよ、別に車も持ってない高校生より大学生の彼の方が色々連れて行ってくれるんだからね!』と。車を持っていて、なんでも奢ってプレゼントしてくれる男がイイのなら、最初っから声かけて来なきゃいいのにと思う。そう問いつめるとマイは拗ねて甘えた様な声でもう一度やり直さないかと言ってきた。
『だって、甲斐くんの方がえっちうまいし、顔も好みなんだもん』
そんな理由で?中身はどうでもいいのかと思った。オレは顔と下半身があればそれでいいのかって。本当のオレを欲しがってくれるような女は居ないのだろうか……
ふと背後に委員長が教室に入ってくる気配がした。なんだ、今の全部聴いてたんだろうか?マイの正体を話してやるとまた香川がのけぞって大げさに喚く。
「おまえらオンナに夢見るなよな。オレらの中身が知れてるように、オンナだって中は同じだよ。見た目と中身が違う事なんてのも、当たり前なの。ほら、意外とそこの委員長なんかが清純そうに見えて違うとか、さ?」
視線で指さすと、帰り支度をしていた委員長の背中が揺れる。そうさ……清純そうに見えるマイがそうじゃなかったように、真面目な委員長も違っていたりするんだ……可愛い顔した女よりも、無表情の委員長の方が抱くとエロくなるし、可愛く見えたりもする。セックスしてる時、必死で声を抑えて泣きそうな顔をして耐える委員長の表情は結構くる。敏感に反応するくせに、その仕草の全てが何度抱いても初めてみたいに緊張して……震えて、逃げて……それがゾクゾクするほど可愛く感じる。
「まっさかぁ」
否定する女子の声。だけど、オレだけは知っている。委員長の本当の姿を……
この時期にカノジョいないままでどうするんだと寛也が煩いから、わざといってやった。
「別に、カノジョじゃないとダメって事もないだろ?我慢できなかった時は、そん時考えるし」
オレにはセフレがいるんだ。面倒くさい付き合いしなくても、満足できるセックスをさせてくれる賢い女。馬鹿な女も、自意識過剰の女も嫌いだった。オレに見返りを求めてくるから。そうじゃない、本当にいい女を見つけたんだ……冬休みに入ったら、呼び出して何度も抱いてやろう、そう考えていると、オレのそのセリフに若尾が『わたしはどう?』と答えてきた。ダメだろ?寛也が凄い顔して睨んでいる。オレはおなじ学校の女とは付き合わない……って委員長も同じだけど。まあ、付き合ってる訳じゃないからそれはいい。
「カラダだけってことで、どう?それでもいいなら、付き合う?」
本当はそんな言い方するつもりはなかった。だけど委員長には、他にもカラダだけでいいって女がいるところを見せておきたかった。期待されても困るから、そんな軽い気分で口にしたけれども、委員長は素知らぬ顔で教室を出て行こうとする。
「委員長、帰るんだ?」
そう声をかけても振り向きもしない。可愛くない女……けど、このぐらいの方がいいかもしれない。セフレとして付き合うには。
「オレたちもどっか行こうぜ」
なぜか完全に無視されたことが悔しかった。それを望んでいたはずなのに?
いいんだ、どうせ……抱けば変わるんだ。あのカラダに触れて、開けば熱くとろけてオレを迎え入れてくれる。オレだけを……オレしか知らないあのカラダで。


持ちきれなかった……
終業式の後帰るなと釘を刺すと、真面目な委員長は帰らずに資料室の前で待っていた。オレも他に場所を探したけれども、体育倉庫や他の場所は他の奴等が悪さに使ってバレたのか、普段滅多に開いていない。終業式の後は、部活に必要な施設以外しっかりと施錠されていた。
連れて行ったのは委員長が嫌だと言っていた男子トイレ。ここしかなかった……さすがに鍵がかかる部屋で自由に出来るのは、トイレの個室以外なかった。この校舎は一般の教室や校舎から離れており、あまり使われてないのは調査済みだった。校内ではじめて委員長とセックスしてから、やたらと出来そうな場所を探したりしたけれども、教室すら下校後は鍵が閉まるのであまりいい場所は見つからなかった。
「やぁ……あ……んっ」
嫌がる委員長のカラダを壁に押しつけて愛撫する。感じさせてイカせてしまえばこっちのものだと思っていた。下半身も委員長に触れた瞬間から硬く勃ちあがっている。鼻腔からシャンプーか石けんの微かな香りがする。狭い個室の中、オレの指に翻弄されて濡れた水音と委員長の甘い喘ぎ声が響く。
「オレの指、美味しそうに2本も根本までくわえ込んで、こんな身体で最後に出来るのかよ?」
耐えるような甘い吐息に似た喘ぎ……幾ら嫌がってもこの間みたいに濡れてない訳じゃない。カラダはしっかり感じて……ビクビクと先ほどから何度もオレの指を締め付けてる。
「ああぁあ!!」
我慢できなかった。委員長の片足を持ち上げて一気に貫く。擦り上げながら突き上げるだけで彼女のソコはオレをきゅうっと締め付けて絡みつくのがはっきりと判る。そう……オレは今日、避妊の為のゴムを使っていなかった。
「んっあぁ」
「なあ、わかる?今日つけてないんだ」
「え?」
委員長は不思議そうな顔をしていた。
「ゴム、つけてない……直に入ってる、志奈子の中に、オレの、そのまま入ってる……」
「や、やめて!!」
その意味が分かったのか、急にオレを押しのけようとするが、無駄ってもんだ。下半身が鍵の様にぎっちりと繋がっているというのに?
体温が高かったのと、それとなく生理の周期は聞いていた。『アレだから』といって断られたらそれをメモっておいただけだけど。今までは出来れば責任というのもあったけれども、女から病気をうつされるのが怖くてあまり生ではしたことがない。最もうつされた経験があるからで、それまでは女が付けなくていいといったら付けていなかった。そっちの方が気持ちいいからそうするに決まってるだろう?だけど、委員長は……オレしか知らない。それに、もし出来ても……責任とってもいいような気がした。彼女だったら子供を大事に育てそうだし、オレだっていざとなれば夜の仕事でも土方でも、なんでもすれば済むことだ。まあ、そんなヘマはしないけど、避妊具を付けていてもあれだけ気持ちいいなら、一度生で入れてみたかったんだ。予想以上に気持ちのイイ、彼女のナカ。
「気持ちいい、志奈子の中……あったかくて、うねってる。おまえもいいんだろ?こんなに濡らして……」
感じてないはずがない、凄く濡れてる……ダメと言いながらも甘い声でオレを煽る。オレも、息が上がる……堪えきれないほどの快感が腰から上がってきて、声が掠れる。本当にこれで最後にするつもりだったのか?こんなに感じてるのに、この関係を止められるのか?オレは……無理だ。ずっと、抱いていたい。
だから、カラダで落とそうとして……さらに脅しとも言える言葉で彼女を捕らえる。
いつも反応してた『淫乱』『いやらしいカラダ』彼女が拒否したくてもカラダが答えを出していて騙せないその言葉に委員長は逆らえなくなる。
「出そうなの判るだろ?ほら、志奈子、おまえだって、こんなに……」
破裂寸前の己の猛りを彼女の濡れた秘部にゆっくりと出し入れする。いつ出てもおかしくないほど張りつめている。何度もゴム越しに果ててるから、委員長だってわかるはずなんだ。
「だめっ!!おねがい抜いてぇ……言う通りにするから……」
好きだと言えよ……オレが、オレのモノが
中に出されたくなかったら、続けると言えよ……
「ん……いい、すき!だから……お願い、抜いてぇ!!」
その言葉が、オレには『出して』と聞こえたほど、委員長の切羽詰まった声にオレは完全に反応してしまって……何度か無茶苦茶に激しく腰を突き上げた後、彼女の秘部に大量の精子をぶっかけた。止まらない射精感に苦笑した。よく間に合ったなと自分で自分を褒めてやりながら……本当は彼女の中に全て吐き出してしまいたかった。
目の前で泣きそうな顔で喘ぐ委員長が愛しくて、オレは下半身を精液まみれの彼女に擦りつけながら唇を重ね食らいつくしたい衝動を抑え込んだ。
「今日は、震えないんだ……そうだよな、最後までイカセてやってないもんな」
それでもぐったりとしたままの委員長を腕の中に閉じこめて、不思議な安堵感を覚えていた。
その後、今まで学校で会うだけで必要なかったケータイのナンバーを聞き出した。冬休みの間、そのカラダを独占するために……
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