〜月がほほえむから番外編〜
郁太郎のジレンマ2

オレは強引に日向子を大学から連れ出した。
食堂に行っても埒が明かないからだ。宗佑は日向子次第だと言いながら、その日は仕事してもらうだの、あからさまでないにしろ妨害されてるような気がする。オレだって仕事してるからな、毎日暇なわけじゃねえんだよ。
日向子には洋服を贈った。ワンピース、ちょっと大人っぽいかも知れねえな。俺の知ってるブティックって言ったら、前の女房が通ってた店しか知らなくてよ、日向子には大人っぽかったかもしれねえな。前に宗佑も贈ったって聞いてたから、すっげえ気になってたんだ。
で、前に言ってたんだけどよ、「これを着るってことは、覚悟して欲しい」ってな。もちろん、オレに抱かれるってことだ。日向子は戸惑っていたけれど、もう待てないのが事実。
オレここまで待ったのが奇跡なほどだぜ?大体気が短く女に手が早いんだ。だけど、こんなに出せなかったのは奈々子以来だった。
だけど今夜こそ…
慣れないスーツを着て、有名ホテルで食事して、ラウンジで飲んで…
酔った日向子を部屋に連れ込んだ。
無理やりやるつもりはなかった。だけども日向子は本気で嫌がっていなかった。だからオレは最後まで行くつもりで、彼女をベッドに押し倒した。

日向子は、身体を硬くしていた。
慣れてないからだと思ったが、よく見てると違う。我慢してるって感じなんだよな。そして言うんだ。「好きだけど、キスや、こういうのは嫌なの…」って。
どういうことだ?オレは聞こえない振りして愛撫を続けた。日向子の服を剥いでいきながらオレは祈った。
(宗佑、止めるなら今だぞ?オレは…止まらないかもしれない)
このまま日向子を抱いてしまったら。
オレはいいさ、日向子のぜんぶを引き受けるつもりなのだから。だけど…涙を浮かべて抵抗する日向子を見てると、自分の想いが届いてないことと、ついてきた日向子に対する憤りとで、自分が止められなかった。
こんなに日向子が嫌がってるのにやめられないなんて、オレはもうわかってたんだろうか?もう…と。

オレを止められるのはもうあいつしか居ない。
あいつなら今日のオレの行動を読むだろう。
このコースは宗佑に教わったデートコースだったからな。
頼む来るなら早く来てくれ!手遅れにならないうちに…

オレは日向子の下着に手をかけた。

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