ハウスメイド
番外編・雄弥 〜調教〜
「ねえ、君はそんなに物足りなかったの?」
妻は答えない。いや、正確には答えられない。
身体は拘束され、口もきけないような状態だった。
「貞淑な妻の仮面を被って…僕のセックスでは満足出来なかったんでしょう?だったら早く言ってくれればよかったのに」
夫はその優しげなその瞳をふっと翳らせる。
「澄華…君が僕と政弥を比べていたのは知ってるよ?最初にセックスに興味を持った君を優しく抱いたのは僕だ。もちろん、政弥と君が惹かれあっていたのは気づいてたよ。あいつは子供の時から妙に女の視線を惹き付ける魅力をもったヤツだったし、君が望んでいた父親と同じ匂いをもっていたからね。だから僕は、大学進学をきっかけに一旦身を引いたんだよ。まさか、母さんが義父さんに無理矢理されていたことはしらなかったから…政弥と別れた君のことを頼みに来た母から聞かされたときは悔やんだよ。あの時手放さなければよかったと…」
「うーっ…」
何かを訴えようとしても、妻の口には丸いボールが押し込まれていた。
「君が政弥に抱かれてる間、僕の心には悪魔が住み着いたみたいでね。そのことを想像するだけで苦しくて、悔しくて…代わりに随分たくさんの女性を抱いたよ。だけど普通に抱いても満足出来なくてね、だんだんとこういうコトをはじめてしまったんだ。ああ、心配しないで、澄華と結婚してからは他の女性を抱いたりはしていないよ?苛めはしたけれどもね…」
その手が優しく妻の頬を撫でる。
だが妻はなにも話せない…
「どうしたの、澄華?そろそろ反抗的な目が出来なくなってきたようだね。そう、それでいいんだよ。君は僕には二度と逆らっちゃいけないよ?でないと君が欲しいモノをあげられないからね」
ギャグボールを噛まされて、ただひたすたうめき声だけを上げている妻に優しく触れると、そのからだがビクビクと震えた。
「ほら、身体は覚えているようだよ?けれども、おかしいね?最初は媚薬も使ったけれども、今は何も使ってないよ?なのにどうしてこんなにもココを濡らしてるのかな?」
椅子に括り付けられ、大きく開かれた股間。
何もされていないのに濡れそぼりヒクヒクと蠢く妻の秘裂を、その指先が割っていく。
妻の感じる場所を知っていながらそこには触れないせいで、余計にじれったさが増し、愛液を漏らし、越を僅かに動かして、必死に快感を貪ろうとする妻の動きに満足げな微笑みを浮かべていた。
雄弥は澄華の顎を掴み、そっと口元のギャグボールを外す。
「あ、なた…」
「澄華、さあ、言ってご覧?どうして欲しいのか」
「あなたの…が欲しいの…」
「あなたの?もう、僕たちは普通の夫婦じゃないんだよ?」
「あ…ご、ご主人様の、……を下さい、入れてください」
掠れた声は小さく震えている。
「まだ駄目だね」
「そ、そんな…」
「誰のがよいの?ちゃんと言うんです」
「ご主人様の、雄弥さんのがいいんです!他の人じゃ、もうだめなんです…お願いします、狂ってしまうわ、こんな…焦らさないでぇ!おねが…あああっ!!」
気丈な妻が羞恥心も虚栄心も全て捨て去りただ一人の男のモノを強請るとき、ようやく願い通りに満たされた。その瞬間身体を反らして、全身を硬直させて歓びに震えるのを満足げに見下ろすどこまでも優しい夫の微笑が崩れることはなかった。
妻の不満を知ったとき、己の心の中に激しい葛藤が生じた。
大事な家族である弟への嫉妬心もあった。
だが、その不満や、妻の本性に薄々気付きながらも、貞淑な妻を演じる彼女にあわせて穏やかな夫を演技し続けてきた自分だ。
だがソレが解き放たれた。
妻の弟への執着、はしたなくも弟の男根を口に含みいやらしく強請る妻の嬌態。だが、弟は好きな女性のために彼女を退けた。そしてその腹いせにその女性を、こともあろうに自分の父親に襲わせようとしていた。
愚かな…そして、可哀想な女だ。
だが、許せない部分もある。母を苦しめたのと同じ事をしようとしたこと、弟にしか本性をさらけ出さなかったこと。
その事実に対する怒りで、彼の心は完全に本性を現したのだ。
いや、性的な部分だけ解放したのだろう。今まで、弟に対する嫉妬や、妻に対する猜疑心を、強硬な自制心で押さえ込んでいた箍が切れたのかも知れない。
1週間、離れに移って毎夜妻をいたぶり、最初は媚薬を使って狂うような快感を教え、それを与えてくれるのは自分だけだと刷り込んだ。
いくらプライドの高い妻でも、一度崩れると速かった。
特に今回は弟たちがそのきっかけを作ってくれたせいか、精神的な脆さをさらけ出していたので、あっけなく堕ちたとも言えよう。
感謝していいのか恨めばいいのか…
いや、自分は家族を憎んだり出来ない。それはよくわかっている。
父が、そうであったように…
「あぁ、もうイッてしまったの?僕はまだまだなのに…仕方ないですね。」
その身体の拘束を解き、ベットへ運ぶ。
繋がったまま…
「もう二度と僕で満足出来ないなんて言わせませんから。今まで僕の方が我慢していたんですからね?あなたを壊さないように…」
くすくすと笑いながら妻の半身をベッドへ預けその脚を高々と持ち上げる。
「あ…やぁ…あああっ!!」
妻の悲鳴が聞こえても、この離れにだれも近寄っては来ない。
失神するまで攻め続けられた妻の脳裏に浮かぶ以前の計算し尽くされたセックス。
そう、必ず妻をイカせてから、測ったように射精する我慢強い夫。物足りなくなるほど、自分に翻弄されない少し冷めたような表情。
それが全てやりすぎると子供が出来にくいからとか、貞淑な妻に嫌われたくないからといった夫の配慮だったことは後で教えられた。
澄華が政弥と結ばれていた当時、押さえきれない激情に駆られて何度か女性を壊しかけた彼は、妻と結婚したときに、決して妻を壊すことがないよう、大切にすると誓ってそれを自分に律してきたのだという。
その誓いももう存在しない。
目の前の隷属された妻ににっこりと微笑みかける。表情だけは優しい夫の自分。
これからは気を使うことなく、思う存分愛しつくす日々が始まる。
未だ拘束された両腕、ベッドのサイドボードから取りだしたローターが遠慮無く突起という突起を責めはじめる
「いやぁああ!!だめ、やめてぇ!!お、かしく…なるぅっ!!」
なのに動かず、ゆっくりと擦りあげようと蠢く妻の腰を押さえ込み快感がMAXになるまで何も与えない。
「もう、もう、だめえっっ!!」
昇り詰めて、降りて来れない恐怖。
果てしなくその快感は続き、堪えなくなった尿道から何かが溢れ出ようと込み上がってくる。
雄弥はゆっくりと腰を引くとずんと奥深く突き刺した。
「あぐっう!!」
白目を剥いて仰け反る澄華。指先まで硬直している。イキ過ぎて呼吸すらまともに出来ていないのだ。なのに、刺激は続けられ、再び彼は腰を引いた。
「さあ、壊してあげるよ?」
甘い声が澄華の耳元に残り、それを最後に意識が飛ぶほど攻め立てられ、体中から体液を漏らして、そして…堕ちていった。
あがらう事の出来ない快楽の鎖の中に…
雄弥ファンの皆様ごめんなさい。そして内容が期待ほどじゃなくてごめんなさい〜m(_^. .^_)mまあ、この辺りが限界と言うことで(笑)
2009.4.4加筆修正
素材/C.B.PHOTO