バカップルの日常シリーズ
〜姫と直〜 ジュネーブの熱い夜 in Valentine |
〜バレンタインへの道〜 「これ、なに...」 「あ、それは...姫?」 事務所のアルバムの中から見つけた昔の直さんの写真。 机の上の山ほどのチョコレートを前に酔っぱらって得意げな笑顔。な、なんかむかつく!! 「それさ、あたしが撮ったんだよ。2年前だから姫がまだここにいないころね、他の連中とチョコいくつもらえるか賭けしてたらしくって、それで一人勝ちした峯田さんの証拠写真。あたしとしては女の敵〜って怨念込めて撮ったんだけどね。」 ちよの説明聞いて、余計に腹が立ってきた。 「でもさ、今はもう姫一筋なんだから、気にしない方がいいよ。」 そうは言われたけど、でも、でも... やっぱりいやだもん。直さんは社会人で会社でも人気あるの知ってる。この事務所内でも、わたしと付き合ってる事知ってても去年山ほどチョコもらってたし...会社から持って帰ってきたチョコの中には本気見え見えの高そうなメーカーのチョコやら色々あったのを覚えてる。それに比べてあたしのチョコなんて安っぽくって、子供っぽくって...(一応手作りだけど)大人の女の人にはかなわない。 あぁあ、やだな、こんな事考えちゃう自分もやだ。 「姫、今夜寄ってもいい?」 「ちよが来るからだめ。」 「そ、そう...??」 だめだぁ、ついつい言葉に刺が出ちゃう。昔のことだって判ってるんだけど、つい...勘がいい直さんのことだからあたしが怒ってるって判ってるんだろうけど理由までわからないんだろうね。 「姫〜眉間にしわが入ってるよ?」 「ううっ...」 「峯田さん聞いてきたよ、姫の怒ってる理由。取りあえず教えといたから。」 「うそっ!言ったの、ちよ?」 「そしたらね、今年は頑張って姫以外から受け取らないように努力するってさ。」 「ほんと?」 「でもねぇ、取引先とか、断れない奴は仕方ないよ?」 「わ、判ってるよ...」 「でもさ、いっそのことそのまま怒った振りしてれば?バレンタインまで。」 「でも、バレンタインまであと2週間はあるよ?」 「そのほうがサプライズになっておもしろいじゃん。そこそこ機嫌の悪い振りして、バレンタインにばっちりこっちから迫っちゃえ!」 「ちよぉ、何言い出すのよ!」 「でもさ、おもしろくない?あのオレ様を形無しにするなんて考えただけで楽しいよ!」 と色々出される案...で、それにのっちゃった。 そしたらおもしろいくらい直さんが機嫌とって来ようとするんだよね。昨日なんて『カラオケ行ってストレス発散したい!』って言ってたら『じゃあ行こう!』って、そこでわたしがリクエストしたあややなんか歌ってくれちゃったりして...ごめんね〜直さん。その姿は直さんファンや、会社の女の人には絶対見せられないよね?後でちよに報告したらめちゃくちゃ受けたけど。(マジで笑えました。) で、このままバレンタインを迎える予定だったんだけど... 「姫〜あたしジュネーブに行くからね!」 ちよがいきなりそう言った。 「えっと、旅行??」 「ううん、代表で。」 え?代表でって??まさか...のまさかだったのよね。 私たちが所属する非営利団体の代表がジュネーブを視察することになっていたらしい。うちの代表っていうのが...じつはついこの間からあたしだったりする。直さんは何代も前の代表で、ちよは関東の代表。 「でもなんで関東代表のちよが行くのよ?」 「まあ、いいから、だって姫、バレンタインは峯田さんと一緒に過ごしたいでしょう?」 「でも、ちよだって...」 しっかりしてて、頼りになるちよだけど、ちよには片思いの相手がいる。前に振られてるから〜なんて言ってるけど、マジ相手みたいで全然ふっきれてない。それで余計遊んでるのかな?いまは高校生の可愛い子犬のような彼と付き合ってるみたい。本気じゃなくって遊びだって公言してるけど... 実はこの間会っちゃったのよ〜その高校生くんと!すっごくいい子で、「ちよさんの気持ち解ってますから」なんて言えちゃうめちゃくちゃいい子なのよ〜〜!!16だけど、あたしより大人かも...バレンタインデートするって約束してるらしい。 もう、だめだって!そんなことでちよのバレンタインをナシになんて出来ないわよ!! 「直さん、あたしジュネーブ行くから、ごめんね!バレンタインだけど、行ってくる!!」 「ま、待てよ!そっか、ちよがな...わかった、オレも行くから、ジュネーブ!有給とって姫と行くから!」 「ええっ??」 〜バレンタインの夜・姫〜 てなわけで、今ジュネーブです。12日に日本を出て、こっちについて、同じ趣旨の団体さんと交流して、視察してと忙しい日々!よかったぁ、あたしのフランス語通用したよ〜密かにちよに特訓してもらったかいあったなぁ。ここスイス、ジュネーブではフランス語圏内だからね。それと直さんも以前来たときの知り合いもいるみたいで懐かしそうだった。やっぱりね、ちょっとは不安だったのよ、あたしも。慣れない海外だし、そのてん直さんが側にいてくれるのってすっごく心強かったりした。機嫌が悪い振りしてるから、ちゃんと言えないけど...ごめんね、直さん。その分14日楽しみにしててね! 夕ご飯もそちらの夕食会にお呼ばれしてるから、直さんとは別行動。仕方ないけどね。取りあえずあたし達が泊まってるのはこちらの団体が用意してくれたビジネスホテルなんだけどね、そこそこの部屋だし、すっごくロケーションがいいの!!さすがジュネーブって、視察兼ねてで観光じゃないからね。 夜は少しだけ直さんとお話しして(いちおうまだ機嫌の悪い振り...作戦その1だからね)、疲れてるだろうからって早めに部屋に戻ることにした。明日の朝も早いしね。 「あ、姫。明日の夜から部屋が変わるそうだから、朝荷物持って出るようにってフロントから。」 13日の夜、視察から戻ってきたら直サンにそう伝言された。 「うん、わかった。」 で、朝、あたし荷物持って部屋を出て、その日の予定を全部済ませて迎えに来た直さんとタクシーでホテルに帰ろうとしてたんだけど... あたしと直さんのことは、こっちに一緒に来た団体のメンバーは知ってるから、今夜の夕食会はでなくていいよって言われたの。ちょっと恥ずかしかったけど、ここでもバレンタインはバレンタインみたいだし。だからどこでご飯食べようかなぁなんて考えながら... 「あれ、直さん、ホテルに戻らないの?」 帰りのタクシーはいつもと違う方向に向かってるのが判る。 「あのさ、ホテル変えたんだ。」 そう言って連れてこられたのは「Hotel Beau Rivage(ボー・リバージュ)」五つ星のホテル...す、すごい!! あたしもサプライズ用意してたけど、ここまでやられちゃうなんて...あたしの口ってきっとふさがって無くってとっても惚けた顔してるはず。隣で直さんがすっごくうれしそうな顔してそれをみてる。もう、やられちゃったよ...きっとここに来る前に全部準備してたに決まってるよね?ホテルのロビーで散々毒気を抜かれた後、さらにまた... 「直さん、こ、この部屋...だめだよ、贅沢すぎるよ!!」 通された部屋はすっごく豪華なスィート?ううん、日本でもこのレベルのロイヤルスィートは滅多にないはず!(見たこともないけど...)だって、すごいんだよ?寝室に書斎やリビング、客間にサンルーム。着替える部屋まで別にあるし、バスルームも、パウダールームとトイレにが別!それにね、リビングには豪華シャンデリアに、グランドピアノまであっちゃったりするのよ?日本じゃ考えられない部屋だよ...部屋の照明はオールシャンデリア。置いてある家具の一つ一つまでもがさりげなく細工が施されてるもので、もう早く近寄ってじっくり見たい!って気持ちを抑えて直さんにそう言ったの。 「あのね、日本じゃともかく、こっちのバレンタインは女性が男に尽くす日じゃなくて、大切な人に感謝の気持ちを伝える日なんだからね。」 「直さん...」 「それとも姫はこの部屋がお気に召さない??」 「ううん、すっごく素敵!!見てもいい??」 「どうぞ、お姫様。帰るまでここが二人のお城だからね。」 さすがエースでプリンスと呼ばれる直さん。こんな王子様なせりふが自然に出てきちゃうんだもの。 でもすごいよ〜この部屋!ほんとになんて言ったらいいんだろう?あのタイタニックに出てきたヒロインが泊まっていたキャビンをもっと広く豪華にした感じ?? ソファもすっごくヨーロピアンで、ティーセットまでもが...これ、有名なメーカーのだよね? でも一番すごかったのが、ベッド...天蓋じゃないけど、天上から薄いオーガンジーのカーテンがつるされていて、広げるとベッドをくるむような形になってて、これってお姫様?? どうして直さんってあたしがこういうのにめちゃくちゃ憧れてるって判るんだろう?そりゃあ女の子でこんな部屋に憧れない子なんていないはずだけどね。 でもね... 負けてられないの!あたしはジャパニーズガールなんだから!日本の女の子はバレンタインにかけてるんだからね! ちよといっぱい作戦考えて来たんだから... あたしも直さんに好きの気持ちをいっぱい伝えたいの。それをどうやって表現するか...で、ちよの提案その2決行。 「直さん...」 バスルームから出てきたあたしは春霞模様の浴衣姿。えっと、夏の浴衣じゃないよ、寝間着代わりの浴衣だったりする。前でちょこんと蝶々に結んだ帯をするって引くとほどけちゃうやつ...ほんとはお姫様なネグリジェとか考えたんだけどちよが「長い黒髪の姫に似合うのはこれ!そんな大人っぽいネグリジェや下着より浴衣の方が断然いいよ。」って決定。 「姫?おっ...」 ちょっとびっくり顔な直さん。顔に手当ててにやついてる。まずは第一弾成功! それから日本から手作りして持ってきたチョコをベッドの上でさっと開ける。ここからがその3! 「直さん、あたしが作ったの、チョコ食べてくれる?」 直さんはなんで自分で開けるんだって顔してるその目の前で一個口にくわえて、猫のように四つんばいでにじり寄って直さんの口の中に押し込んでそのままあたしから舌を絡めた。一瞬びくって直さんが驚いたのが判ったよ。 実は自分から、なんて初めてだったの。ちよにも『姫自分から舌入れたことなんか無いでしょう?きっと峯田さん驚くよ〜』っていわれた。 とにかく恥ずかしいけど、やるって決めたから... 「ん、んっ...」 途中からはやっぱり直さんにリードされちゃうけど、すっかり食べ尽くすまでキスは続いたの。ちょっととろんて、あたしもなっちゃう。 「ね、いつも直さんが私に色々してくれるみたいに、私もしたいんだけど直さんは私がどうしたら気持ちよくなるの?」 ちょっと露骨だったかな?でもこれが作戦その4だったの。でも恥ずかしくって言った後顔みれなかったよ。直さんもしばらく何にも言わなかったんだけど、少し沈黙の後、 「オレが今から言うこと、イヤだったらイヤって言って。ガマンはなしな?ああ、でも姫軽蔑するかもしれない。今から言うこと聞いたら...」 あたしは覚悟してぎゅ、って直さんに抱きついたの。 「・・・オレの、口でできる?」 え?口で??最初何のことかわかんなかったんだけど...そういえばちよがそういうのあるって教えてくれたっけ?ようやくわかって、すっごく恥ずかしかったけど、言われるとおりしちゃった。 「うっ、姫...」 「ひゃん!」 「ごめん、姫っ」 あたしをそれから引きはがした直さんは、なんかいつもと違って余裕のない様子であたしをベッドに押し倒した。 「姫、すっごく色っぽいよ、その格好...」 自分では判らないけど、浴衣のはだけた胸元と裾。押し倒された勢いでアップにしてた髪留めが飛んで髪がばさりとシーツに泳いだ。 そういってじっとあたしをみていた直さんがあたしの弱いところを責め始める。いつもと違ってすごく性急で... 「やあん...はうん、な、直さんっ!」 「姫、こんな格好してオレのこと誘って、いけない娘だね?」 「あん、ああんっ!」 なんでこんなに感じやすいんだろ?今日のわたし。そう言えばさっき直さんのしてるときからすっごく変な感じだったけど...だって、大好きな直さんだからあんなことできたし、その、してる間になんかすっごくその気になっちゃって... 「姫、姫もがまんできなくなってるんじゃないの?ほらここ...」 「やっ、直さん、も、もう...」 直さんの指があたしの中をかき混ぜる。イキそうになって身体を震わせる。 「だめだよ」 そういうと急にまた体制を入れ替えられた。 「直さん?」 「自分で入れて、好きに動いてごらん?」 ええっ?自分で?でもどうやってやるんだろう?? 「えっと...」 「してくれるんだろ?」 「う、うん、でもどうやって...」 「じゃあ、そのままオレの腰にまたがってまっすぐ腰降ろしてみて?」 ええ、自分でって、ああん、上手く入らないよぉ... 「姫、オレの、ちゃんと手で確認して支えながらゆっくり...」 普段ならきっと恥ずかしくて出来ないけど、...でもあたしの身体は言われたとおりに動いてゆくの。 「んっんっ...」 ゆっくりと直さんを感じる瞬間。自分の意志でしてるって言うことで余計に感覚がとぎすまされてる。 「くっ、姫、いいよ...そしたら自分で動いてみろよ。」 「はあっ、ん、んっ!」 必死で動こうとするんだけどだめ、頭がぼうとなって、おかしくなっちゃう。あたし、すごく感じてる?? 「姫っ!」 もうだめ、自分が支えられなくなったとき直さんが起きあがってあたしを抱きしめる格好で、揺さぶり始めた。 「やぁ、ああっ、いっちゃう!!」 そのままびくびくとイクあたしを、なおのこと責め続ける直さん。もう意識はスパークしてどこかに行ってしまったみたいで... 後は責められる一方で、もう記憶は途中からなかったの... 「姫、バレンタインごちそうさま」 目覚めてすぐにそう言われて、夕べを思い出して真っ赤になってしまったわたしでした。 |