風花〜かざはな〜
番外編
〜社長秘書野本のつぶやき〜
風花
〜社長秘書・野本のつぶやき〜
あーもうまったく、うちの社長ときたらっ!!!
出張から帰ってくると、これだ...
判ってますよ、社長が奥さん一筋だって...
でもね、いい加減出てきてくださいよ!!
ドア越しにお願いを重ねる。
「社長、お願いです、会議の時間が...」
『野本...1ヶ月振りの出張から帰ってきて...2時間しか空けられないなんて、最近職務怠慢ではないですか?...くっ、せめて...あと1時間、作れませんか?』
『あなた、いけないわ、早くお仕事に戻って...あぁ...こんな...無理です...』
『仕方ないだろう?またすぐに出張で、ゆき乃なしの時間がまた続くなんて耐えられない。慎祐さえ居なかったら連れていくのに...くそっ、だから...逃げないで、ゆき乃』
『はっぅん...やぁ、』
激しく交わる音がドア越しに聞こえてくるような雰囲気だった。
実際やってる最中なんだろうけどね、ったくうちの社長は!!
「すみません、けれども、会議の後再び出張で...」
『わかってる、だから、あと、10分まって...くっ、ゆき乃...』
『やっ、も、はっ...あぁ...』
奥さんの声ってむっちゃ可愛い...って、ごめん、静恵、おまえの声も可愛いよ。
がたんって、大きな音が聞こえた。まさか、ベッド以外でやってんじゃ...やってるんだろうよ、所場所かまわず、あの奥さん相手だとまったく見境がないんだから。だからわざわざ会社に来てもらわず、自宅まで社長をお連れしたのに、約束の時間になっても出てきてくださらない。だからオレがこんなところで出歯亀みたいなまねをしなくっちゃならないんだ。まさか会社でこんな社長見せられないだろう??
とにかく、うちの社長ってさ、綺麗な顔してるし、物腰が柔らかいから、優しい大人しいイメージがあるけどけど、中身は侮れない策略家だし、奥さんを前にすると獰猛な猛禽獣に変身するんだよな。
側にいるとしょっちゅう当てられるので、たまったものじゃない。
最近ようやく子育ても落ち着いてきて、二人になれる時間が増えたのもわかる。社長が日頃から身体にも気を使って密かに鍛えてるのも、全部妻の為っていうんだから驚いてしまう。
そのくせ取引先が用意した据え膳には手を出さないんだ。
『あああぁぁ...あなたぁ...』
『ゆき乃ッ...』
静かになったな。終わったんだ...ああ、オレは虚しいぞ。
「待たせましたね。」
カチャリとドアを開けて出てこられたのはいつもの社長。お帰りになられた時より、随分とスッキリした顔しちゃって、まあ...
ちらりと見える、ベッドに伏せる奥方の姿...うわぁ、すげえ服の乱れ方。脱がさないままやりましたって、いってるも同然。おまけに奥様は気を失ってるんじゃ?
「野本、静恵さんに来てもらって。」
「あ、はい」
壊したな...
そんなとき、うちの奥さんが呼ばれる。彼女も奥様が可愛くてしょうがないらしく、奥様も随分したって下さってる。
以前の事件の事があるから、うちのと、藤沢建設の奥方のふたりは特別なんだ。
「じゃあ、行こうか。」
「はい、今日の議題は...」
既に社長の顔に戻っている。やり手で、にっこり笑って甘い顔で相手を油断させて詰めていく手腕は対したモノだ。
これで、もう少し仕事オンリーだったら...それも怖いか。
奥さんとの時間を作るために、最速の手段で契約まで持って行くんだからな。
「野本、会議の後の出張が終わったら3日ほど休むから。」
「そ、そんな、社長!!」
「ゆき乃と籠もるから、邪魔しないでね。」
「社長、せめて2日...」
「ゆき乃がね、二人目欲しいっていってるんだ。判るよね?」
「は、はぁ...」
「野本の所は?」
「え、まあ、もうちょっと空けようかと」
実はオレたち夫婦も影響し捲られて、去年一人目に恵まれたけど、静恵ももうしばらくは空けたいなぁ、なんて言ってて、奥様の所から帰ってきたら、もう積極的で...あはは
社長には申し訳ないけれども、今晩燃えさせて頂きます。
すみません!!
連載終了からはや1年経ちました。 今回は検索サイト様の更新にあわせての番外編です。あともちょっと、色んなサイドからのお話あります。 |
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