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このたびため息の数だけ…が出版されましたw
よかったら手に取ってみてください♪
記念と感謝を込めて…書籍最後の続編後のその後・亮子視点です。

久石 ケイ
「ため息の数だけ…」出版記念
亮子視点〜書籍最後の続編・その後〜
 
まったくあの二人は……
心配で来てみたものの、結局は三谷が奈津美にべた惚れで、何があっても元鞘なんだから。
ああ、疲れた。でも……幸せになって欲しいんだよ、奈津美には、本当にね。
 
「お帰り、どうだった?奈津美ちゃん」
「うん、貧血起こしてたみたいだけど大丈夫みたい。三谷が戻ってきたから帰ってきた」
「そっか、ご苦労さん。もしかしたら泊まりかもと思って子供たち寝かしちゃったよ?」
「うん、いいよ。いつもありがとね、パパ」
家事はプロ並みにこなす旦那様がいればわたしの心配や出番はない。本当にいつも感謝だ。その分仕事も出来て、その上……
「どういたしまして。じゃあお風呂一緒に入ろうか?亮子」
甘い笑顔を頭上から降り注いでくる長身の旦那様。
「もう、恥ずかしいじゃない……」
ママじゃなくて名前で呼ぶときは、その、夫婦モードの時。
「なんで?子供たちはもう部屋だし、いいじゃないか、久しぶりなんだから」
うちも奈津美たちのことは言えない。〆切がなくて家事を終えた彼は積極的にわたしを誘ってくる。
彼はわたしと出会うまでは結構遊んでたらしいことも聞いたけど、それ以来わたし一筋だという。出会ったときはもっとがちがちで子供っぽかったわたし。こんな強気で男勝りで素直じゃない女のどこがよかったんだろう?出会った時は牙向いて逆らうわたしに苦笑いしてたくせに……
 
「奈津美の赤ちゃん、無事生まれてくるといいな」
バスルームでスキンシップをして、誘われるままにベッドに雪崩れ込んだ後だった。子供たちが小学校に入ったのをきっかけに子供部屋に全員移し、寝室は夫婦だけになった。
ちょうど奈津美たちの結婚と重なる時期で、それ以来夫婦の営みも回数が一気に増えた。
行為を終えた後、いつものように眠るまで何かしら話すのが日常。
「そうだな。あの子も苦労してるし、早く家族が欲しいだろうからな」
「……あなたは後悔してない?わたしみたいなのと一緒になったこと。回りにもっときれいな人とかいっぱいいたのにさ」
「それは……浩輔君と同じじゃないかな?」
「三谷と?」
「ああ、あんなに年上じゃなくても他にいたはずだろ?だけど彼には奈津美ちゃんじゃなきゃいけなかった。俺もそうだよ?亮子じゃなきゃいけなかった」
「勝海さん……」
そういってもらえることが嬉しかった。
「気が強くって、頑張りやで。男みたいに振舞ってたけど中身はすっごく女の子でさ。そのギャップにやられたんだよな。俺の腕の中でだけ女にさせたくてさ……実際十分女だけどね」
「も、もう」
わたしが初めて付き合った男も、わたしを女にしたのも、全部彼だった。彼に出会うまでのわたしは随分生意気で鼻っ柱が強くって、男に負けるまいと虚勢を張り続けていた。恋だの愛だのおしゃれなんかもまったく別世界のことだったはずなのに……ふとしたことで知り合った駆け出しのライターだった彼。大人で、でもわたしの神経を逆撫でてばかりだった……
「飽きないよなぁ、亮子は色々やってくれるし?類は友を呼ぶのか知らないけど奈津美ちゃんもいろいろやってくれるし?」
「そ、それは……」
確かにいえるかもしれない。素直じゃないところも似てる。だから放って置けないのだ。わたしは、彼と結婚して子供が出きて、根っこが出来て安心できるようになった。自分が必要とされていることに自信が付いた。だから……奈津美にも早くそうなって欲しかった。
「浩輔君は歳の割りにほんと、いい男だよ。安心して任していいから、自分の旦那様の相手もしてやってくれるかな?」
「し、してるじゃない……さっきも」
バスルームでその気にさせられて、あとはもう彼のなすがまま。大きな声が出せなくて堪えるのが必死だった。
「んーまだ。ようやく〆切過ぎてさ、ちょっと溜めちゃったみたいだね」
「え?」
「もう一回、頑張ろうか?なんなら奈津美ちゃんと同い年の子産む?」
「そ、それはもう勘弁して!」
無理無理、今更そんな……
「どうして?ちゃんと育てるよ。俺が」
「そうじゃなくて、また出来たら、その……」
「ん?」
「二人っきりに、なれないじゃない……」
やっとこうして二人でいる時間が出来たこと、意外と嬉しかったんだから!
「あーもう、可愛いこと言ってくれるね」
「きゃっ」
「浩輔君ほどは頑張れないけど、体力差の分、テクニックで頑張らせてもらおうかな?」
「そ、それは……勘弁して」
勝海さんが本気になったら、わたしなんかあっという間に狂わされてしまうだろう。加減してくれてるのもわかってる。たまに実家に子供たちが遊びに行った時以外は……
あの天国のような悪夢のような交わりを思い出すとぞくっとすると同時に冷や汗がでる。
その時は彼も本気で、また出来てしまう可能性が高いから。
「じゃあ、今夜はゆっくり寝ますか?」
「う、うん!そうしよう、ね」
そういえばこんな思いしなくて済むのは妊娠中だけだった……いや、今はもうすぐ母親になる奈津美のフォローに回りたい。
だけどあの奈津美もいま時分……
 
妊婦なのに、若い浩輔に無茶されていないか、そればかりが気になるわたしだった。
楽しんでいただけましたかありがとうございます!
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