「ハウスメイド」出版記念 |
出産のあとは? 出産後(出版)編 お産がたいへんだっていうことは知識的には知っていたけれども、こんなに時間がかかるものとは思ってもいなかった。 「おい、政弥。そんなにイラついてもしょうがないぞ。生まれる時には生まれて来るもんだ。今、茉悠子さんが陣痛と闘っているのだから、我々は無事生まれてくることだけを祈ろう」 「ああ、そうだな」 わかっている。わかっているのだが、二人の子持ちである親父のような余裕は俺にはない。 分娩室に入る前の茉悠子の辛そうな顔を思い出すだけで苦しくなる。いっそのこと立ち会い出産にすればよかった…… 彼女が反対したから止めたんだけどな。 彼女は母親としてもベテランのキミさんに付き添いを頼んでいた。親父の入院中付き添い婦をしていた庄司さんは茉悠子をいたく気に入り、俺と彼女の結婚が決まった後、家政婦としてうちに専属で来ることになった。新婚旅行の間や、茉悠子の悪阻の間もしっかりサポートしてくれて、今では我が家に無くてはならない存在になりつつある。 かなりの時間、そこでそうして待っていただろうか?分娩室があわただしくなり、小さな産声が聞こえた。 「う、生まれた??」 それでもしばらくは声がかからず、焦る気持ちでドアの前に親父と二人立ちつくしていた。 「生まれましたよ〜元気な男の子ですよ!そちらからはいって消毒してその上着を着てください。おかあさんと話した後赤ちゃんだっこできますから」 「は、はい」 俺はいそいでその指示に従い中に入った。 「茉悠子」 「ま、さや、さん……」 掠れた声に憔悴して疲れた笑顔。だけど、ほっとした安らぎの笑みだった。 綺麗だな……野良はどっちかっていうと可愛いって感じなんだけど、今の顔はすごく綺麗だ。母親ってみんなこうなのか?それとも彼女だから? 「大丈夫か?辛くなかったか?」 「ん……だいじょうぶ、だって二人の赤ちゃん産むことができたんだから……このくらい、平気……」 一度、前の旦那の子を流産している彼女は、本当に子供を産みたがっていた。もしかしたら、産んだことによって少しは救われるのかも知れない。いやそうであってほしい。傷ついた彼女はもう見たくない。これからはずっと俺が幸せにすると誓ったのだから。 「よくやったな、頑張ったな」 その頬を優しく撫でる。額の髪をそっと払ってやるとふうっとためいきついて、くすぐったそうに目を瞑って力を抜いた。 まるで子猫が親猫に舐められて安心しきった顔みたいだった。 「どうぞ、赤ちゃんですよ」 「は、はい!」 それは真っ赤な顔した猿のような動物的な顔した赤ん坊だった。 生まれたばかりの赤ん坊ってお世辞にも可愛いってもんじゃないな。ただ頼りなくて、腕に抱いても転げ落としそうで、恐る恐る抱きしめるしかなかった。温かい温もり、片腕でも大丈夫な程の重み。 俺の、子……俺が守ってやらなきゃいけない、俺と茉悠子の子供。 愛しいと、実感するにはまだまだかかるかも知れないが、俺はこの小さな命と愛する妻を幸せにすることを新たに誓った。 そんな可愛らしい誓いはすぐに崩れたがな。 生まれたばかりの赤ん坊はとにかく泣く! 夜中でも、朝でも、昼でも、食事中でも、お風呂でも! 腹が減っても、おむつが濡れても、機嫌が悪くても、暑くても……泣く。 「おい、こんなに凄いものなのか?」 昼間は仕事に行っているからわからないが、退院後、週末や夜中など絶えず起きだしては赤ん坊に手をかけなければならないらしい。茉悠子もすっかりお疲れのようだ。 「それでも今日は機嫌のいいほうよ、賢人は」 その名前にもまた親父が関わってくるから面白くはなかったが、なかなかイイ名前なので俺もそれを飲んだ。将来子憎たらしい兄貴2号みたいになるとはその時はわからなかったから。 とにかく俺も子育てに参加しようと試みたが、家事もろくに出来ない俺にそれは無理のようだった。 おむつにミルク、ようやく首が据わってから風呂に入れる練習はしたが、それまでは親父担当だった。また親父のヤツ上手いんだよな……茉悠子がまたベタ褒めしてたのが気に入らなかったけれども、助かったのは事実だ。茉悠子が風呂に入れない間は親父が早くに帰ってきて風呂にいれ、その分俺が残業するという、どっちが旦那様なんだ?と聞きたいほどの扱いだったが。 「なあ、まだ、アレは無理なのか?」 「え?ああ……1ヶ月検診にいって、それからだと思う。」 アレって言うのはセックスのことだ。普通に溜まってるんだけどな……出産前みたいに身体が使えないというのもあるけれども、ぐったりと疲れた妻に腕枕しても手を出す事はなかなか出来ない。 それでも…… 「だ、だめっ……あっ」 「出にくいって言ってただろ?だから俺が出やすいように吸ってやるよ」 「だって、政弥さんのは赤ちゃんじゃなくて……あんっ」 しょうがないだろ?俺は赤ん坊じゃないんだから。それでも吸い出すと薄いミルクが出てくる。特別美味くもないけれども、愛する妻から出てくるモノは美味しく戴くさ。 感じる彼女の身体を這うように撫で回し、指だけでイカセる。そのあとちょっとご奉仕してもらうのがここのところ、日課だ。 「くっ……いいぞ、茉悠子」 彼女の奉仕の仕方はやはり猫っぽい。その舌使いはミルクを舐める子猫のようだ。舌先で恥ずかしげに舐めあげた後、俺に即されてようやく口に含み、あとは俺の思うが儘ってわけだが、可哀想なので彼女の口の中にはあまり出せないがな。 それでも、俺の性欲を消耗させるには茉悠子を使うしかない。そうでなければ疑われるし、他で使ってない証明をすることも結構大事なことなんだ。茉悠子は一度元夫に裏切られてるからな。 「政弥さん」 「なんだ?」 「あのね、お医者様がそろそろいいですよって……その」 「本当か?」 「う、うん……もう出血も無くなったし。それで、大丈夫そうならって前に言われてたの」 「この間の検診でか?聞いてないぞ、俺は」 「だって言うと期待しちゃうでしょ?」 まあ、たしかに。けれどもいくら俺だって産褥期が終わったばかりの奥さんに無茶なことはしないさ。 だけど…… 「ほんとうにいいのか?」 「その、久しぶりだから、そっと、ね?」 「ああ、わかってる。あ、賢人は?」 「さっきミルクのんだからしばらくは大丈夫だと思う。この時間からだと明け方までは眠ってるから、最近」 「よし、じゃあ久々におまえが抱けるんだな?野良……」 久しぶりに耳元でその名前を呼ぶと、びくりと身体を震わせる。 「結構長かったぞ……おまえが抱けないのはかなり辛い」 「そうみたいね」 くすっと笑うが、俺の下半身はもう期待で一杯、いきり勃っている。 「早くおまえの中に入らせてくれ」 「きゃっ!」 抱き上げてベッドへと向かう。ちらっと覗くとベビーベッドの中の賢人は天使のような顔で眠っている。 「頼むから大人しくしてろよ?」 寝入ってる赤ん坊に一応釘を刺しておく。邪魔されたらたまらないからな。 だが、赤ん坊も生まれて2ヶ月過ぎると赤い色も消えて人間らしくなってくるもんだな。顔立ちも藤沢の血を引いてスッキリとした男前になりそうな顔立ちだ。親父に言わせれば兄貴の赤ん坊の頃の顔にうり二つらしい。つまりは自分に似ていると言いたいのだろう。ったく、俺の子だっていうんだ!俺と茉悠子がアレだけ愛し合った末にようやく出来た子なんだからな。 アレだけ……新婚旅行前と新婚旅行中は、たっぷりと茉悠子の中を味あわせてもらった。朝夜なく、繋がれる限りは繋がったといえるだろう。子供を作るつもりがなかったらアソコまでしなかったけれども、早く子供を作って本当に自分のモノにしてしまいたかった。逃げられないよう、そして安心させてやるために早く茉悠子に赤ちゃんを産ませてやりたかったんだ。前に聞いたあの悲痛な哀しみを、もう二度と呼び覚ますことのないように…… 「茉悠子、茉悠子……」 飢えていた、彼女の温もりに……全て包まれたかった。彼女の中に包まれて、擦りあげて内側で繋がっていたかった。 快感を弾けさせ、全ての感覚を共有するようなセックスは彼女とでなければ出来ない。今夜は無理出来ないが、最後に手や口で慰めてもらうのでなく本当に繋がれるのなら…… 「あっ、やぁ……ん」 どこに触れてもビクビクと震える。茉悠子も感じている、欲しがっているのだと思えばなおのこと下半身が熱くなる。 「母乳が出るようになって、胸でかくなったな、それでも今まで通り感じるのか?感じたらでちゃうんじゃないか?いいのかな、賢人のためのミルク漏らしても」 「い、じわるぅ……今は、あなたの、政弥さんの、なの……」 泣きそうな顔で、それでも素直に求めてくれるのが嬉しかった。 「ああ、ここも、ここも、今は俺だけのだ……あとで賢人には貸してやるだけだからな?」 「あっ、はぁぁん……だめぇ、そこ、あっ……」 子供を産むと身体が変わるって言うけど、アリかも知れない。産褥期もちょこちょこ刺激してたせいかよく濡れてくれてるし、中がこんなに感じるようになるなんて、これからが楽しみだ。 「入れていいか?痛かったら言えよ?やめれるかどうかは難しいけどな……あんまり痛かったらローション使うしな?」 前に風呂場で楽しむためにいい香りのするラブローションをネットで購入してたのを思い浮かべていた。さすがに妊娠がわかってからは使ってはいないが、また出番が回ってきたようだ。今回はこれだけ濡れてれば大丈夫だけれども、ゴムはやっぱりつけなきゃヤバイだろうからな。生理が来ないからといってそのままやっていてその前に二人目妊娠なんてのはよくある話しだ。今回はしばらくは楽しみたいので避妊は必須だな。 「だ、いじょうぶ……でも、もう……欲しいの、政弥さんの……」 うわぁ、子猫みたいに縋る目で欲しがるなよ!もう、駄目、俺…… 「茉悠子っ!」 ゆっくりと宛い入り込むつもりが抑制がきかなかった。 「あぁぁっん!!」 ずぶりと貫いてしまった。 「あっ、ま、さや、さん……」 動きたい。だけど、気持ちよすぎてすぐにでも弾けそうだ。この俺が、これじゃ早漏だぞ?? 「茉悠子、動くなよ、締めるな、おい……」 「んっ……だって、きもち、いいの……」 あの野良が、動きもしない俺のをくわえ込んでビクビクと締め付け、その快感を貪っていた。 「おねがい……動いてぇ!」 半泣きで訴えるその目に俺はぶち切れた。 「ま、ゆこっ!!」 深いのは駄目だとそれでも自重した。だけど、快感を貪る腰は動きを止めてくれない。彼女の中を擦りあげて益々止まれない高みに持ち上げられて行く。 「あぁっ、ひんっ…いい、いっちゃう、政弥さん、あたし、いっちゃう!」 「俺もだ、茉悠子、一緒にっ、くっうっ!!」 我慢なんてきくもんじゃない。薄いゴム越しでも彼女を感じて二人で昇り詰めて、その中に全てを吐き出しても俺の猛りは収まらなかった。 「茉悠子、悪い、もう一回だけ……」 その後何回かもう一回が続いて、最後にはやっぱり口と手を使って貰ったのは、彼女に悪かったなと思っている。 だけど、次に出来るまではたっぷりと抱かせてもらうからな、休めると思うなよ? 俺の野良、いくら抱いても愛しくて終わりが来ないのは、おまえが悪いんだからな。 |
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