ドアを開けたら...

〜広海編〜

「いやぁ!やめてっ...」
俺は涙を浮かべて懇願する竜姫を無理やり抱いた。
初めてだった。俺はてっきり秀に抱かれたんだろうと勘違いしてて...。
そう思わせるほど竜姫は変わってたから。

夏の終わり、久しぶりに現れた彼女は、今までの男みたいなシャツにジーンズなんて格好じゃなく、ノースリーブのタンクトップに流行の膝丈のふわっとしたスカートなんかはいて、そこから伸びるすらっとした手足は意外と白くなめらかなラインで、瞬間的に俺を欲情させた。
(竜姫、あれが竜姫なのか?)
綺麗な顔をしてるのは知っていた。けれどその言動も男らしかったし、さばさばとしたその態度もそれなりに好ましかった。他の女とは違って対等に付き合える俺の親友だったはずだ。
(なのにこの目の前にいるのは誰なんだ??だれが、竜姫を女にしたんだ?)
遊びまくってた自分を棚に上げて、猛烈に湧き出る嫉妬と言う感情に驚きはするものの、身体に点いた火は消えない。
(くそっ!竜姫は俺の物なのに!)
え?俺の物?俺は、竜姫を?そんな風に見てたんだ...。
誰と付き合っても、同じ笑顔で笑い逢える女友達、俺の夢を一番理解してくれる親友。その竜姫は誰とも付き合わない。その気になる奴がいないんだ、と言っていた。秀にだって、最初は迷惑そうにしてたから、何度も釘を刺したんだ。
(俺は安心してたのか?)
雨に濡れたその身体はやけに扇情的で、化粧されたその口元は濡れてるように見えた。竜姫が目の前で濡れた服を脱ぎ始めて、白い乳房と寒さで立ったピンクの乳首が見えたときには、もう俺の理性はぶち切れていた。
だれかにその乳房を与えてよがる竜姫が脳裏に浮かんだのだ。

「くそっ!竜姫!」
「痛いっ、痛いよ!!...広海っ!」
泣きながら俺の名を呼ぶ竜姫。俺が女のような名前で呼ばれるのを嫌っているのを知ってて、決してそうは呼ばなかったのに...。
きつすぎてぎちぎちと音を立てて埋まる自分のものに加えられるあまりの圧力に彼女が初めてだと気がついた。そっと己を引き抜くと初めての印が竜姫の中からも自分のものにも絡みついている。
(う、そだろ...)
そのとたんに襲い来る後悔と、相反する喜び。
考えてみれば、二十歳を過ぎても処女であることは今となっては珍しいことだ。俺にとっての竜姫は誰にもなびかない、女であってそうでない存在だった。けれどそれは竜姫が誰のものにもならない、自分だけの物だと思い込んでいたことに気付き驚愕した。
けれど、こんなことをしてしまったらもう二度と元には戻れない。なのに...
「あたし、広海が好きだったよ?ずっとまえから...」
竜姫はそういって俺を許してくれた。
「ね、最後までしよ?」
っておい、大丈夫なのか?俺だってもう止まんないぞ?
なのに可愛い顔して『優しくしてね』って、それって反則!
あの竜姫がはにかんだ顔して俺の顔を見上げてくる。
一気に押し上げてくる欲望を必死で押さえ込んでまずはちゃんと、やさしく、キスからはじめる。
「んんっ、はぁ...」
ゆっくり解すようなキスのつもりが、竜姫の中に舌を侵入させると、彼女なりに必死で答えようと俺の舌に自分を絡ませてくる。思わず夢中になって吸いたてる。
あまりに竜姫が苦しそうなので、息継ぎしてやると俺達の間に透明な糸がいやらしく繋がっていた。
「竜姫、もっと早くこうしてれば良かった...お前を一杯苦しめちまった。」
何度もごめんと謝った。その度に竜姫の俺の首にかかった腕に力が入る。
「ん...いいの。こうして、キスしてもらえて、抱きしめてもらえて...無理だと思ってたから...広海に女の子としてみてもらえるの、諦めてたから...」
「俺は...竜姫を女だと判ってたのに...。誰よりも一番俺を判ってくれてる、お前を失いたくなかった。親友って言葉に変えて護ろうとしてた。なのに...俺って最低だよな。お前に他に男が出来るなんて想像してなかった。だから...」
「あたしはずっと、広海だけだよ?ずっと広海が欲しかった。親友じゃない、あたしだけの広海が...」
竜姫の腕が伸びてきて彼女から俺を抱き寄せる。
キスしたげな彼女の唇を舌を伸ばして嘗め回す。自然と竜姫の舌が覗き始めるからそれに舌先を這わせる。物欲しげな唇から耳朶まで舌先で移動させて何度も首筋を舐め上げると、竜姫は身体を震わせて甘い声を上げる。
「はあぁん、あん...」
「その声に弱いんだ、竜姫の感じてる声、ちょっとかすれてて、いいよ。」
胸と腰の敏感なラインを、優しく、触れるか触れないかでなぞるとまた震える。
「竜姫、おまえこんなのでそんなに感じるのか?」
「ひゃん、だってもう体が勝手に...はん、あっ!」
胸の蕾も丹念に嘗め回す。そのたびに跳ね上がる竜姫の敏感な体。
「ここは?」
「やんっ、だめぇ、そこは...」
俺の指はすでに竜姫の中心に埋まってる。
ぐちゅぐちゅと音のする竜姫のそこは熱くぬかるんで、俺を欲しいと言ってるようだった。それを知られてしまった彼女は恥ずかしそうに俯く。
「竜姫ぃ、その顔めちゃ可愛い、こっち見て?」
真っ赤な顔して瞳を潤ませる彼女の顎を引き上げて口付ける。そして舌と指を彼女の中で同じリズムで動かす。
「ふっ...ぐっんっんんっ!」
唇を下のほうへ移動させてさっきまで俺の指が埋まってた部分を見つめる。ヒクヒクとうごめくそこに舌を絡める。少し血の味が混ざっていた。丹念に舐め上げるまでもなくそこは十分すぎるほど潤っている。
(ここも可愛いなぁ、こんなに濡らしちゃって、竜姫って男っぽいの見かけだけで...間違いなく今日が初めてだよな、なのにこんな感じやすいなんて...)
そんなこと口に出したらかわいそうなくらい泣きそうな瞳をしてこっちを見てる。
濡れたひだの上で充血して姿を見せる突起も優しく舌で刺激する。
「ひゃん、だ、だめぇ、やん、...あぁん、ああんっ!」
ヒクヒクと震えだす竜姫はもう全身の神経を無防備に晒している。
「ひ、広海ぃ...あ、あたし...ひっく、どうしたら、いいのぉ...?」
感じすぎて自分をどうしていいのかわからずにしゃくり上げ始める。自分で持て余すほどの快感への前兆。俺ももう待ちきれない。先ほどは入れるだけで終わったモノがはちきれんばかりに怒張している。でもやばいよな、俺なんも持ってねえ。さっきはそんなこと考える余裕なかったし...けれどそんな悩みを欲望の激流は待ってはくれない。
「ひ、広海ぃあ、あ...ふぅ...ん」
「竜姫...」
こんな状態の竜姫を放っておけない。とりあえずは俺さえ我慢すれば...
竜姫の濡れてもまだきついその中にゆっくりと自分を埋め込む。
「ああぁぁっ、んっ、くっ...はあんっあん!」
(一回抜いとけばよかったかな? )
後悔してももう遅い。きついけれど、それ以上に俺が入ったことによってまたひくつきはじめた彼女の中は、天国、いや地獄だ。
(これを我慢するなんて、神業に近いぞ?)
処女も、なれた女ともやったことがあるけれどいつも頭の中は妙に冷めていて、まるで映像を見ているようだった。繋がってる部分と触れてる部分だけで現実感を担っていた。それは自分が映画を撮ってるからだろうとか思っていた。好きなように思うがまま女を演じさせる、そんなsexが多かった。女は何度も寝たがっても、こちらは1,2度寝れば飽きてしまうのだ。
(こんなの初めてだ、竜姫を、めちゃくちゃにしてしまいそうなほど...いい。)
竜姫だって初めてのはずなのに、こんなに反応してる。深呼吸しながらゆっくりと動く。いくら感じててもまだ痛いはずだ。そのぐらい我慢しないと...今までひどいことたくさんして来たんだから...。
「あああっ!...いんっ...いいんっ」
竜姫の口からも甘い声が漏れ続ける。すでに快感におぼれる女の声だ。それがまた自分の脳髄を刺激する。その声の度に俺の物を柔らかく締め付ける。
(地獄だ!おまけに生の感触だし...せめてゴムがあれば...もうちょっともつだろうけど、これで際で外に出すのは辛すぎるぜ。)
あまりのよさに思考がごちゃごちゃになってる。
「竜姫っ、頼むからそんなに締めるなよ、俺ゴム持ってないし...やばいよ、お前良過ぎる...」
もう外に出すしかないかと思いかけたとき、竜姫が部員の一人石原が持ってたことに気がついた。駅前でもらったとか言って部室にもってきて皆分けてた。俺も覚えてる。
そっと竜姫の中から出て、ごそごそとロッカーを漁ってそれを見つけた。石原、感謝するぜ、今度お前が見たがってたAV無制限で貸してやるからな!
振り向くと潤んだ瞳で自分の身体を抱きしめながら、俺を見つめる竜姫がいた。
「そんな色っぽい顔して待ってるなよ。」
着け終って竜姫に近づくと彼女の方から手を伸ばしてきた。
「だって、ずっとこうしたかったの。」
(あ、だめ...俺ってもうメロメロかも...)
顔がにやけるのを微笑みに押しとどめてゆっくりと竜姫を組み敷いてその身体を大きく押し広げる。恥ずかしがるその顔がまたたまらない。入り口で少し焦らすともう甘い声で俺を誘う。そこからぴちゃぴちゃと聞こえる音を聞かしてやると、恥ずかしげに顔を逸らしてる。くそっ、こんなに可愛いなんて!気付かなかった俺はほんとに阿呆だ。こうなったら秀にも感謝だ。

「こんどはもうちょっと余裕あると思うけど...」
そういってぐっと奥までもぐりこませた自分を何度かグラインドさせてみる。
「あぁ...ん」
「俺、きっとこのまま、お前に夢中になるんだろなぁ。」
眉をゆがめてため息をもらす竜姫をじっと見つめてぼそりといった。
「あん、広海ぃ...好き...んっ、はあんっ!」
きゅっと、自分のものが締め付けられるのがわかった。
「わぁ、やっぱだめ、お前のそんな顔、声と同時に見せられたら、俺っ!」
限界は突然来た。もう一度くらい竜姫をいかせてやりたかったけど、もう自分で精一杯になってしまう。
「竜姫ぃ!いいよ、もっと声出して?もっと俺ので感じてろよ!」
彼女の足を抱え込んで、これでもかと深く激しくゆすぶる。パンパンと音がするほど激しく自分をたたきつける。ぎりぎりの処まで自分を追い込む。
同時に竜姫の口からは信じられないほど甘い嬌声が漏れてくる。
「はああん、あん、いっ....いいんっ!」
痛がるかと思ってた彼女は感じていた。そして昇り始める。
「竜姫、俺の竜姫!くっ!もう...」
「いいっんっ!...ああああああぁぁっ!!」
限界まで膨張した俺の物から、薄い壁越しにどくどくと熱いものを竜姫の中に注ぎ込んでいく。
ビクビクと身体を振るわせた竜姫は逸らした背をそのままに果てた。


一息ついたら竜姫を送ろう。
そう思ってたら、泊まってもいいって...
確かに、帰れないよな、その格好じゃ。
服はまだ濡れてるし、下着は俺むちゃくちゃにしちゃったし、何よりも竜姫の身体、俺のつけた擦り傷と、痣と、キスマークでひどいもんだ。
「ごめん、ひどくなってる...」
「あたし、すごく痣とかできやすいの。」
白い肌につけた俺の印。かわいそうなくらい赤くなって...
「俺の部屋で手当てするよ。」
そういって部屋へ連れて帰った。

「竜姫、おいで...こっちバスルームだから。」
「うん。」
自宅通学の彼女は友人の濱名美咲の所に泊まると電話をいれたみたいだった。
『普段男っ気ないから、信用ある。』そうだ。これからはしらねえぞ?
「はい、じゃあ脱いで。」
「へっ、なんで広海が脱がす訳?」
「え、俺竜姫にひどいこと一杯したから、今からは竜姫に尽くしてやるよ。」
そういって強引にタンクトップを脱がしにかかる。
「何考えてんの!やだ、そんなのしなくていいっ!」
「照れなくてもいいだろ?もうあんなことや、こんなことまでしたんだから♪」
「何をっ!!ふ、普段は今まで通りがいいよぉ!ベタベタするの広海嫌いだったろ?なんでそう180度かわるかなぁ?」
「そりゃあ竜姫だからなぁ。わかった、みんなの前では今まで通りにするから、二人っきりの時は、何してもOKってことで...」
「や、だめっ、何考えてんんっ!」
まだ何か言いたそうなので、口は塞いでしまう。まったく、竜姫は可愛いんだから。顔真っ赤にして、照れて。いままで一回寝たら自分のもの顔して態度の変わる女とはまったく違うこの反応!
きっと竜姫の事だからみんなの前では平静を装うんだろうな。しばらくは楽しめそうな気がした。
「さ、竜姫お風呂はいろ♪」
「やだよ、そんなの!恥ずかしいだろ?何言い出すんだよ、ったく。」
信じられないといった風に悪態を付く竜姫を尻目に後ろから羽交い絞めにするとその耳元に優しく囁いてみる。
「竜姫、洗ったげるからね。」
「なっ!」
ひと舐めすると『きゃうっ!』と一声叫んで、腰砕けになってる。
「もうだめだよ、あんな竜姫を見ちゃったんだから。」
真っ赤な顔しちゃって、今更恥ずかしがってもね。ま、そこが竜姫らしいんだけど。
「広海の馬鹿!」
バタン!
「おーい?」
あ、バスルームに鍵かけちゃったよ、。しょうがない、ここで待ってるか?いや、もう同じ部屋にいるんだ、待ってればドアを開けて俺の側へ来るんだ。

今宵は朝まで竜姫を腕の中に閉じ込めて眠ろう。
素に戻った竜姫はまた嫌そうな顔をするかもだけど...
またすぐに可愛い顔を見せてもらうよ、二人っきりの時にはね。




竜姫まだかな?
それから1時間30分、出てこない竜姫に痺れをきらしてドアノブを壊したのは言うまでもない。
「馬鹿だな、のぼせるくらいならさっさと出て来いよ。」
真っ赤な茹蛸の竜姫を抱き上げてベッドへ連れて行く。バスタオル一枚なんてそそるけど、今夜は手出しできそうにないか。
「ったく、これからは閉じこもっててもドア壊してでも引きずり出してやるからな、覚悟しろよ。」

湯あたりで真っ赤なのか、照れて真っ赤なのか判らないけれど、このくらい強引にしないと手に入らないのかな?

俺の竜姫は...

Fin