ずっと、そばに...

あのあと...
キスだけで終わらせてくれるのかなって思ったけど、そのままベッドに押し倒されてしまった。
5年分の隙間を埋めるんだって言ったけど、本当にそうするんじゃないかって云うほど遼哉のキスはずっと続いていた。
「紗弓、好き、ほんとこのまま食べちゃいたいくらい。」
繰り返される甘い言葉に、あたしはもうこのまま食べられちゃってもいいかなって思えた。あたしは息切れして声も出せないほどの状態。もう身体から力なんて抜けちゃってる。
やっと唇を開放されたかと思うと、そのまま頬から首筋に遼哉のキスが落ちてきて、あたしはもう背中から腰のあたりがぞくぞくしっぱなしだった。
「あぁ、ん...、んっ...りょうやぁ」
予め、あたしのどこが感じるのかまるで知ってるみたいに、遼哉の舌が耳や耳の後ろを執拗に攻め立ててる。熱を帯び始めたあたしの身体はもう彼にしがみついて喘ぎ声を上げるだけ。
「ピポピーンポーン」
「あん、り、遼哉っ」
「うるさい。」
彼の手がカットソーをたくし上げてあたしの胸に侵入するところだった。
「やん、やだってばぁ、もう、チャイムがなったんだってば!」
「ん、誰か来たの?」
あたしの首筋から顔を上げてやっと止まってくれた。
「多分、和兄だと思う...」
ピポピーンポーンとチャイムを2回鳴らして入ってくるのが我が家のしきたりっていうか、家族が帰ってきたって合図。
「えっ、やばっ!」
急ぎあたしをベッドから起こすと、自分はさっとベッドの乱れを直してブレザーを羽織った。あたしの方を見ると頷いて鍵を開けた。素早い!あたしも急ぎ身づくろいする。あぁ、焦る〜!
「紗弓、玄関に男の靴があったけどお前の客か?」
ノックの後、低くて太い声がしてがチャリとドアを開けた。
「彼氏でも連れ込んでるのかよ?」
そう言って、でかい図体を折り曲げて顔を覗かせるあたしの兄貴。むさくるしいほどでかい!顔は優しいんだけどね...。
「紗弓の彼氏っす。」
「えっ...遼哉、か?」
部屋の中で軽く手を上げて挨拶する遼哉をみて和兄が目を丸くしてる。
「お前ら付き合ってたのか??」
「いや、今日からだよ。和兄、久しぶり。相変わらずでかいなぁ。」
笑う遼哉の頭を和兄がぐりぐりしてる。いまだに小学生扱いみたい。
「そっか、よかったなぁ。紗弓、お前が口きいてくれねえって一時泣いてたもんなぁ。そっか、俺あん時お前殴りに行こうとしたんだぜ?こいつに止められたけど。」
ホントって言って聞いてくるので、ぶんぶん頷く。でも声は出さない。さっきまで散々喘がされて普通の声を出す自信がないんだもん。ちょっとうらめし顔になる。
だって...、どうしてそんなに急に切り替えられるの?あたしまだ身体ガクガクだよ?立てって言われても今は立ち上がれないかもだよ?なんで遼哉は平気な顔してるの!
「和兄、相変わらずこれやってるの?」
そう言う遼哉の手つきはゲームの手つき。そう、昔っからこの二人の共通の趣味だ。それでいて二人ともそこそこ頭よかったりするんだから...
「おお〜今はPS2だ、ソフトみるか?結構持ってるぞ〜」
「みして、俺本体持ってるけどそんなに持ってないんだ。試験前だから借りて帰れないけどさ。」
そっか〜と言いながら和兄は部屋へ戻っていく。その後をついてく振りして遼哉が戻ってきてそのまま座り込んでるあたしの顔を覗き込む。
「紗弓、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないよ...」
何でそこで笑うんですか?
「それはお前が感じすぎるのが悪いの。なあ、明日試験勉強するっていってうちに来いよ。誰もいないしさ♪」
「えっ?」
「続きするからな、絶対来いよ!朝からな。」
ニコニコ笑って部屋を出て行く。
ちょっと、あたし試験勉強どうすればいいんですか?