2009クリスマス企画

クリスマスは幸せ

 

2009.12.19〜クリスマス前〜
〜朱音〜

 今年も早12月。もうすぐクリスマスがやってくる。わたしとあの人が結ばれた季節に……

 実は今年はとっても大変な一年だった。年初に妊娠してるのがわかって、俊貴さんが大喜びで……ちょうどクリスマス辺りに出来た子かなぁって。まだ聖貴はそんなのわからない年だから、甘えたいわ抱っこされたいわで、わたしのお腹が大きくても関係無しにひっついてくるので、結構辛かった。夏なんか暑いけどあまりクーラーかけられなくって、聖貴のあせもが酷くなるからシャワー何度も浴びせたりと、大きなお腹では重労働だったりした。麻里さんが遊びに来てくれてるときは美奈ちゃんや亜貴くんと一緒にプール代わりに水遊びで結構楽しんでいたけれども。
 結局亜貴くんと誕生日が数日違いという出産日で、思わず麻里さんがにやっと笑ったんだもの。

「やだ……朱音さんところもクリスマスベイビーですか?うふふ」
 生まれてようやく三ヶ月、夜も少しずつ寝てくれるようになった娘、愛音。今度はわたしから一文字取るんだと言って聞かなかった俊貴さんは、愛娘にメロメロだ。ビデオもカメラも聖貴以上に撮ってるんじゃないだろうか?うちの男の子の洋服は全部亜貴くんにお下がりに出したので、反対に美奈ちゃんの可愛いフリフリの女の子服が大量に持ち込まれ、それを着た姿を想像して俊貴さんが『嫁になんかやらんぞ』と訳のわからないことを言い出してるから始末に困る。

「そういえば去年のクリスマスの時、目もうつろで色っぽかったですものね……朱音さん」
 何?何のこと言ってるのよ、もう!
「それで、そろそろ済ませたんですか?」
「な、何を?」
「ナニって……解禁日ですよ!課長待ってるんでしょ?朱音さんと久しぶりにアレが出来る日」
「……も、もう何言い出すのよ!」
「うふふ。でもちょっと怖いかも……だって、課長って凄いんでしょ?」
「えっと……凄いって?」
「だって、日頃の朱音さんみてたらわかるじゃないですか?ああ、昨日は寝かせてもらってないのね、とか。もしかして朝夜連チャン?とか……月曜に来るとそれがすごくよくわかるんですけど?」
 月曜……確かに土日の俊貴さんは、家事を引き受けるからといってやりたい放題というか、限界まで責められてしまうから、起きようとしても起きられない。それなのに、いきなりこの親子は来るから……ね?目の前で聖貴と美奈ちゃん、亜貴くんが仲良く遊んでいる。美奈ちゃんが保育園に通っているから、その帰りに寄ってくるのだけれども。
「朱音さんって、課長以外には?」
「え?」
「男性経験ですよ、もしかしなくても、課長以外無いですよね?」
「そ、それは……」
「ですよね。だったら比べるものがなかったらわかりにくいかも知れませんけど、あんまり普通じゃないと思いますよ、課長さん。うちも調子乗ると結構しつこいですけど……そうだ、朱音さんトコは普段週にどのぐらいの頻度なんですか?」
「もう、そんなこと聞かないでよ……」
「じゃあ、これだけ。一晩に何回ぐらい?」
 何回って、どの何回?わたしがイカされちゃう分?それとも彼の?
「もしかして、何回も……ですか?」
「ま、麻里さん!」
「うわぁ、朱音さん真っ赤……もうそれでよくわかりましたよ。いっときますけど、結婚3年目の夫婦が未だに出来ない日以外毎晩とか、一晩に旦那が何回も求めてくるとか、奥さんがイカされすぎて記憶なくなるとかありえないんですからね」
「え……ありえないの?」
「…………そう、なんですか?今の冗談だったんですけど」
 そ、そうなの??これって変なの?そりゃ毎晩何回もじゃないわよ?向こうだって仕事あるんだし、子供がいるから……だけど、時間が許せばもう一回とか言って乗っかかってくるし、今夜はとことんって言って記憶が飛んじゃうぐらい責められることだってあったわよ?でも、それも全部妊娠前のことで、妊娠中は凄く大事に抱いてくれたし、出来ないときはその……ご奉仕とかさせられたりもしたけれども、ずっと触ってくるのは一人目の時と同じで……二人目の方がつわりもお産も楽だったんだけれども、その分なんか濃密だったような?もちろんそれは子供が寝てからのことで……
「まあ、壊されないようにしてくださいね?どうしても聖貴くん達がみられない時は、電話してもらったら迎えに来て、うちで義母と一緒にみますから、ね?」
「あ、ありがとう……」
 そんな目には遭いたくもないけれども、そうなった時が怖いから、とりあえずお願いだけしておこう。
 ほんとに解禁日が来たら俊貴さんったら容赦なさそうで……怖いから。
「あ、泣いてる……朱音さん」
 愛音のミルクの時間だった。
「ねえ、よかったら今年のクリスマスはうちでやりませんか?23日の祝日に。朱音さん準備大変だろうし、うちなら義母もいるから楽できますよ?その代わりメニューは和風ですけど、近所の人呼んで賑やかにやってるんですよ。それにうちの義母ったら、朱音さんのこと娘みたいに思ってますからね。それでもって、聖貴くんだけなら何日でも預かりますし、愛音ちゃんとセットでも一晩ぐらい全然平気ですよ?そうだ、23日の夜は子供達預けて二人でゆっくりしてくださいよ〜翌日の昼からわたしが送っていきますから。たまには二人っきりもいいでしょ?さすがにクリスマスやイブの夜は家族揃いたいでしょうからね。今年も課長さん25日は有給取ってるって勝さん言ってたから、ゆっくり出来るんでしょう?」
「そうだけど……でも、悪いわ」
「いいんですよ。うちは課長夫婦のためなら何でもやりますよ!お世話になってるし、部下ですから!ごますっておかないと!!」
 笑ってあっけらかんと言ってのける麻里さんには負けてしまう。散々色々あって、散々迷惑もかけられて、それでも今こうやって二家族が仲良くやっていけるのだから不思議だ……考えてみればわたしが富野を好きだったのって、友達としての最上級だったのかもしれないし、面倒見甲斐のある彼を助けることに自分の存在意義を感じていたのかもしれなかった……好意や友情を恋愛感情とすり替えていたに過ぎなかったことに、彼――――俊貴さんに愛されるようになってから気付かされた。恋や愛には誰かじゃないとって限定される言葉がくっついてきてしまうのだ。彼が側にいないと駄目、他の人じゃ駄目、彼がいい、彼じゃないと嫌。彼に愛されたい、そして抱かれたい。彼のために装う自分がいる。彼のために綺麗でいようと努力する自分がいる。彼のために作る食事がある。もちろん自分自身のためもあるけれども、自分の価値観の中にすでに彼が居座ってしまっているのだから……
 子供達のこともあるけれども、今はもう彼のいない生活、人生なんて考えられない。彼を幸せにしているのは自分でありたいと、彼にとっても自分がそんな存在でありたいと願う。
 毎年、クリスマスの季節が来る度に出会った頃を思い返す。結婚記念日ってそのためにあるのだと思う。もちろん翌日の25日は聖貴の誕生日でもあるから、我が子の成長もこうやって振り返っていくのに違いないだろう。24日のイブの夜は夫婦のために、25日のクリスマスは子供達のために。俊貴さんはそう考えて休みを取ってくれているらしいし。
「うちは同居ですから、二人っきりになりたい時は子供達を義母に預けて出掛けてますよ。そしたら結構うまくいってるんですよ?たまには夫婦にもそんな時間必要でしょ。でも、朱音さんの実家って遠いし、課長の実家にわざわざ預けに行くなんて出来ないでしょ?だったらうち使ってくださいよ。わたしたちがこうやって毎年無事にクリスマス迎えられるのはお二人のおかげなんですから!いつも邪魔して愚痴ばっかり聞いてもらってちゃ悪いですもん」
「麻里さんったら……」
 愚痴はこぼすけれども、意外と彼女は姑さんとも仲良くやっている。その姑さんが『出来の悪い子ほど可愛いのよ』といいながら、いざというときに強い麻里さんのこと結構頼りにしてるのだから。まあ、勝よりは断然頼りになるんだけれどもね。
「せっかくのクリスマス、楽しみましょうよ!ね?」
 しっかりと麻里さんに押し切られてしまった……
2009.12.20〜クリスマス前
〜俊貴〜

 今年もクリスマスの季節がやってきた。わたしにとっても待ち遠しい時期でもある。男がこんなにクリスマスをしみにするなんておかしいかもしれないな。だが、この聖なる日は、今は妻となった朱音という女性を手に入れた記念すべき日でもあるし、毎年なんだかんだと違う意味で盛り上がったりしている。イベントに振り回されるつもりはないが、互いを見直し愛情を再確認するにはもってこいの時期かもしれない。
 今年はまた家族が増え、4人でクリスマスを迎えることが出来る。今度は朱音に似て可愛い女の子だ。聖貴はわたしに似てるらしく、少々感情表現も乏しくやたら落ち着いているのが気にくわない。肝の据わった子だと思っていたが、2歳にもなると益々自分の血というか遺伝子を感じる。せめて愛音は朱音に似てあの可愛らしい性格と、りんとした美しさを備えた女性に成長してもらいたい。そして、願わくば富野のような男に惚れたりしませんように!その為には、アイツの所の亜貴とはあまり近づけさせたくないぞ?ただでさえ美奈ちゃんがうちの聖貴と結婚するとか言ってるんだからな。いったいいくつ年上だ?頼むから富野とだけは親戚にはなりたくない!というか、娘を嫁にやりたくないという気持ちはこうやって出来るのか?自分たちのしてきたことを考えると、自分の娘だけはと思ってしまうからなのか?
 とにかく、今年も25日には有給をとっているから、聖貴の誕生日を祝う前と後は……たっぷりと朱音を可愛がってやれそうだ。産後1ヶ月でセックスを再開してもいいと検診で言われたことは知っているが、二人の子育てで疲れている彼女に手を出すわけにもいかず、休日の朝や子供が寝ている間にゆっくりと味見はさせてもらったが、まだ母乳も出ている時期はなかなかその気にもならないのだろう。かるくイカせてやってからこちらも、と言った感じだ。もともと母乳の出にくい朱音は先月から生理も来ていたから、そろそろ身体が元に戻ってきた証拠だと思う。その前に無理させないように抱いていたら、ちょっと不満気味な顔をしていたしね。普段からもっと濃厚なのばかりしていたから、先に彼女の方が焦れてきたのかもしれない。それもいい……男としては言わせてみたいせりふがいくつもある。『もっと』とか『我慢できない』なんて、あの恥ずかしがり屋の朱音の口から聞けたら、かなり昂奮するからね。男の頭の中なんてAVとたいして変わらないかもしれないが、女性がそんな行為を求めていないことも知っている。だから、ゆっくりと追い込むように抱いてやると、自ら色々と口走ってくれるのだ。体中を愛撫すればするほど、わたしに手を伸ばして自分からもしようとしてくれたりするが、どちらかというとわたしは可愛がりたい方だ。奉仕型というか責めるのが好きで、必死で快感に耐える彼女を存分に高めて、一番美味しい瞬間をいただくのがいい。普段から賢くて真面目で、しっかりしている良妻賢母の妻が、淫らに喘ぐ女に変わる瞬間が堪らないのだ。自分がそうさせていると思うだけで、愛しくて、壊したくて、そして夢中になる。最後にはこちらも冷静でいられなくなるセックスは朱音と出会ってからだった。それまではどうやって女性を感じさせれば楽しいか冷静に最後まで観察していたように思う。普段からデカイ声で白々しく喘ぐ女も、自分から男に乗っかって腰振りまくる淫乱な女もたいして面白くなかった。必死で快感に耐え、普段の自分で居ようとしても居られない、別の生き物になってしまいそうで、怖くて震えながら果ててしまう朱音が愛しい。箍が外れた瞬間、どんなに淫乱な女になろうとも、それが自分が開花させたものなら嬉しいというものだ。
 くそ、そんなことばかり考えていたら昂奮してしまいそうだ。こういう時は……

「富野、この書類だが……」
「は、はい!」
 呼ばれて血相変えて飛んでくるおかしなヤツだ。自分が呼ばれる時はミスした時だと思いこんでるな。
「昨日、朱音から聞いたぞ?23日におまえのとこでクリスマスパーティーだってな?」
「あ、はい!和式の家ですが、ぜひ……あ、課長うちの母はまだあったことなかったですよね?麻里のヤツがそこらの俳優ばりにオトコマエだとかなり吹聴しまくってましたから、もしかしたらギャラリーがかなり来るかもしれないっす」
「はぁ?ギャラリー?」
「ええ、近所のオバサンズです。強烈っすよ、うちは下町だから、面倒見が良い分うるさいし態度もデカイですから」
 それはおまえのことかと言いたかったが……
「まあ、見るだけ見たらさっさと帰っていきますから。来るんなら貢ぎ物用意しておけってお袋も言ってましたから、料理だけは豪華になるかもですよ?」
 あいかわらずこいつの思考回路だけは意味不明だ。しかし、こんなやつでも朱音が片想いながらも友達として付き合ってきたヤツだから、悪いとこばかりじゃないって事もわかっている。くそまじめになりやすいオレたち夫婦のために色々とこいつら夫婦が遊びを用意してくれているのだからな。
「じゃあ、世話になるな」
「ええ、その日は聖貴くんも愛音ちゃんも預かりますからね……課長、頑張ってくださいね!」
「……富野」
 言われるまでもない。預かって貰えるなら、久々に彼女を独り占めできる夜というわけか。それも悪くないな……麻里さんはなんだかんだ言っても子育てきっちりやってるしな、一晩ぐらい愛音が泣きわめいても許してもらおう。もっとも男の子と比べて女の子は落ち着いていて、よく飲んでよく寝る子のようだから大丈夫だろう。
 次の日は子供達の事を気にせず抱けるって事か……久々に壊すほど抱いてやろうか?あの感じすぎて苦しくて泣いて縋る朱音が愛しくて、余計に苛めてしまう。わたしは夢中になり始めると悪ガキのように止まらなくなってしまうから。
「まあ、頼むよ」
 にやりと笑うと、富野が引きつった笑顔を返して席に戻って行った。なんだ?あの態度は……まあ、しかたないか。未だにわたしは妻にメロメロなのだからな。
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やってきましたクリスマス〜わたしの一年もこれをやらないと終われない??
しかし早いですね、一年……今年もつつがなく終わりますように(爆)
例年のごとく、無理をしてますが(笑)なんとか連日連載目指しますね〜〜〜
しかし、富野夫妻、彼らがいるから続いてるんだろうなと思う今日この頃……
何とか間に合いましたので引き続き明日もお楽しみ下さいませ♪